イップス克服には〝異次元〞の動きが必要!ツアープロコーチが対策法を解説

〝イップス〞は 「自分はならない」と思っていませんか?

決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!

なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。

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〝異次元〞の動きで克服する

ショットが不調だと逃げ道がなくなる
もっとも厄介なのは〝ショットイップス〞だという。「ゴルフはショットからはじまっていくので、それが不調だといいスコアに戻す逃げ道が早い段階でなくなってしまいます」(石井)

隣のグリーンに飛ぶほどボールが大きく曲がった

最初に「イップスが起きた」と思った記憶は、今でも鮮明に覚えています。ツアーに参戦していた30歳前半のころ、茨城県の試合会場での200ヤードほどのパー3。グリーンの右サイドを狙う状況でしたが、4番アイアンで放った弾道は、グリーンよりもはるか左に飛ぶ、どチーピンショットになったのです。

イップスにもいろいろな種類があって、ダウンスイングでクラブが下りてこなくなるような、体がブロックしてしまう重度のイップスもあります。

そこまでではないにせよ、意図せず体が反応して、とんでもない大きなエラーになることもあり、私の場合はひどいときになると残り100ヤードをウエッジで打っても隣のグリーンまで飛んでしまうような有り様でした。これではプレーヤーとして戦っていくのは、難しくなりますよね。

高いトップ位置からループするスイングに

私が学生のころは、今のように緻密なスイングメソッドがあるわけでもなく、弾道計測器によって数字をチェックしたりすることもできませんでした。プロのスイングをマネてみたり、「頭を残せ」といった格言めいたものをヒントに、自分で工夫してスイングを作っていったものです。

私はフェースをクローズ気味にインサイドに引いて、そこからフェードを打っていました。これは高いトップの位置からループするスイングにつながるので、今もできれば直したいと思っています。

イップスの症状が出ていたころは、このインサイドから下りてくる度合いが過多で、とんでもなく右方向に飛んだり、それを嫌がるためかひどいチーピンになっていました。自分ではそれを意識しているわけではなく、ストレートに近い球を打とうと思って振っているのに打球が大きく曲がってしまうので非常に悩みました。

自分の感覚を大きく裏切る必要

イップスは度合いも違えば、その症状もさまざまですが、克服する答えは技術のなかにあるはずです。イップスが起きているとき、そこには〝技術的な大きなエラー〞も必ず起きている。イップスにかかる入口も技術だし、克服に向かう出口もまた技術だと思っています。

しかし、技術的な大きなエラーが出ている人ほど、それを修正するのはとても困難です。その人は真剣に真っすぐ打とうと思ってスイングしているのに、結果は意図したこととは大きくかけ離れた、打球が左右に大きく曲がるショットになってしまう。それは、自分が正解だと思って行なっていることがだいぶ間違っているためで、そこには大きな認識のズレが生じています。

技術的な修正でイップスを直すには、自分の感覚を大きく裏切る必要がありますが、それは大多数の人にとって〝異次元〞の感覚になるでしょう。最初は感覚的に気持ち悪いのは当然なのですが、本来の正しい動きとその人の感覚がズレているところを擦り合わせる作業が必要。

たとえば、右ヒジを絞りすぎていてクラブが寝てしまい極端にインサイドから下りてきてしまうスイングは、右ヒジを絞る加減やインサイドから入る度合いを弱めようとするよりも、真逆のスイングで振ることが有効です。

私の場合を例にあげると、左サイドを縮めて右肩を高く保つような動きを大胆に行なうことで、よくない動きが中和されました。もちろん感覚的な気持ち悪さはありましたが、そこは慣れるまで辛抱強くトライしました。

Lesson

【左スイング】自分の意識
【中スイング】実際の動き

[症状] 右ヒジを絞って打っていたが思わぬ球が出てしまう

ダウンスイングで右ヒジを強く絞っていたが、予期せぬプッシュアウトやチーピンが出ていた

[対策] 思い切って左サイドを縮めて右サイドを高くする

自分が意識するよりも大胆で極端な動きをすることで、実際の動きにようやく悪い動きが出なくなった

いかがでしたか? イップスかもと思ったら大胆な動きを取り入れてみましょう。

解説=石井忍

●いしい・しのぶ / 1974年生まれ、千葉県出身。2010年からツアープロコーチとして活動開始。これまで、多くの選手をサポートし、優勝やプロテスト合格へと導いている。「エースゴルフクラブ」主宰。選手時代には自身にイップスの兆候が現れ、その克服法を研究中。

構成=コヤマカズヒロ
写真=竹田誉之

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