「これから逆襲」天本ハルカ、初優勝の気持ちを語る!

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。

どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

【関連記事】原英莉花のフォローのフェースに注目!どこを向いているかで球筋を操作できる

「ケガも治ったのでこれから逆襲がはじまります」

「プロテストに通るまでの期間が今の私を作ってくれた」

畑岡奈紗、渋野日向子など、国内外で活躍する「黄金世代」の選手たち。かつての勢いも昨季あたりから落ち着いてきたように見えたが、今季は初優勝や復活優勝が相次ぎ、ここまで国内7勝と“ゴールデンエイジ”が再び輝きを取り戻している。

そのうちの1勝は4月のパナソニックオープンで初優勝を果たした天本ハルカだ。ほとんど予選落ちをしないその安定感で、順調にステップアップしている彼女だが、プロテスト合格に5年を要している。それから初優勝にたどり着くまでの思いや、その先に見据えていることについて語ってもらった。

──7月に痛めた手首はよくなりましたか?

天本:思ったより時間がかかりましたが、8月のCAT Ladiesでようやく普通に振れるようになったので、これから巻き返していければと思っています。

──それはなによりです。さて、今季ここまでの手応えは?

天本:昨年終わりからのいい流れを、うまく継続できています。プロ3年目で1番の手応えです。

──オフに何か特別なことを?

天本:いつもどおり1月から始動して、技術面ではショートゲームを中心に、フィジカル面ではあちこち痛めないように、体の使い方などを見直しました。

──ショートゲームの向上が、今季好調の要因ですか?

天本:そうですね。それともうひとつは試合の組み立て方です。昨年は初日から飛ばすと、最終日に気負いすぎてしまったり、考えすぎてしまったりとスコアが伸びないときがよくあって、目標にしていたトップ10になかなか届かなかった。だから昨年の後半から考え方を少し変えてみました。

──どのように?

天本:力配分やメンタルも含めて、最終日に向けてどう上げていくかを考えるようにしたんです。3日間や4日間トータルで組み立ててみると、やはり悪いときのしのぎ方が大切になってきます。ショートゲームの向上はスコアの安定につながりましたし、実際に最終日に伸ばしてのトップ10入りを達成できました。

──ゴルフをやっていて、これまで壁にぶち当たったことは?

天本:たくさんありますよ(笑)。1番高かった壁は、やっぱりプロテストを通るまでの5年ですね。こんなにかかるとは正直思っていなくて、最初の2年くらいは「どうしてこんなにうまくいかないのか……」と悩みました。でもプロで活躍するためには、足りないところが山ほどあるのは理解していて、その期間にたくさんの課題に取り組めたことが、現在の私を作ってくれていると思っています。支えてくれたトレーナーやコーチ、私に関わってくださったすべての人には感謝しかありません。

「初優勝で変わったこと」

ゴルフへの気持ちは
子どものころからまったく変わっていないです

—―4月の初優勝のときのことを聞かせてください。

天本:うれしかったのですが、正直「少し早かったかな」と。調子がものすごくよいわけではなかったのと、優勝のためにはまだ足りない部分があるはず、と思っていたので。優勝の前の週、全米女子オープンの予選会を通過できず、その悔しい思いを試合にぶつけることで勝ったのかなと(笑)

――優勝した翌日から人生が変わりましたか?

天本:変わりました(笑)。みなさんにたくさんの祝福をいただきましたし、取材もたくさんしていただいて、今まで囲み取材をうけるようなタイプではなかったので、なんだか不思議な気分でした。

──19アンダーは大会レコードでしたね。最高の気分で翌週の国内メジャーを迎えることになります。

天本:迎えました(苦笑)。気持ちは入っていたのですが、その週はいつもと違う1週間だったからか、集中力が低下していたのかもしれません。調子は悪くないのにスコアが出ない。そのあとの何試合か少し悩んでしまいました。アースモンダミンカップあたりで復活するんですけど、今度は手首のケガ……。今季はよい悪いの波が大きくて、いつもの私らしくないけれど、いい経験をさせてもらっていると思うようにしています。

──先ほど全米女子オープンの話が出ましたが、将来は海外でのプレーを?

天本:最終的には向こうでプレーしたいです。まずはスポットで参戦しつつ、あと2年くらいで年間女王をとって、日本でしっかり結果を残してからと思っています。そのために、やはり国内メジャーで優勝しておきたいんですよね。(原)英莉花ちゃんとかはそれがあるから(国内3年シードが保証されるので海外への挑戦もしやすい)。9月からの国内メジャー、しっかり準備してそこで結果を出したいなと。これからの進路を決める大きなターニングポイントになるかもしれないです。

──気分転換はどんなことを?

天本:月曜に休めるときは、部屋でゆっくりドラマや映画を観たり、たまにジョギングをしています。あと1番のリフレッシュはチェリー(愛犬♂)かな。試合がある日もテレビ電話を。名前を呼ぶとカメラ目線をくれます(笑) 

──最後に天本ハルカにとって「ゴルフ」とは?

天本:最後に難しい質問(笑)。なんでしょう? まず私は本当にゴルフが大好きで、それはゴルフをはじめた子どものころから、まったく変わってないんです。「好きなことでも毎日練習とかってキツくない?」とたまに聞かれますが、これがぜんぜんキツくなくて、もう楽しくてしょうがないんですよ。ゴルフのことを毎日考えていても飽きないし、ゴルフのない生活は考えられない。この先ずっとゴルフと一緒にいるんだろうなって。それこそ恋人みたいな存在っていうか(笑)

──なるほど。それはもはや「伴侶」ですよ(笑)

最後に自身のゴルフへの愛を、真っすぐな言葉で語ってくれた天本選手。どの選手もゴルフを愛しているのは間違いないとは思うが、天本ハルカの熱量はほかの選手のそれを遥かに超えている。プロテストの壁も大きな財産を土産に乗り超え、安定感という武器をもって、順調にツアーを突き進んでいるところだ。

狙う国内メジャータイトルも今季残り2試合となった。天本ハルカが次の進路への扉を開ける音を、今季中にぜひとも聞いてみたい。

いかがでしたか? 天本ハルカプロの活躍に期待しましょう!

天本ハルカ
●あまもと・はるか/1998年生まれ、福岡県出身。2021年に5度目の挑戦でプロテストに合格し、2022年からJLPGAツアーにフル参戦中。予選落ちの少ない、堅実で安定感のあるプレーが持ち味で、今季4月「パナソニックオープン」で初優勝を飾った。今季中に複数回優勝を達成することを宣言している。明治安田所属。

文=ひよこきんぎょ
写真=小林 司
撮影トーナメント=NEC軽井沢72

【あわせて読みたい】

人気女子プロの“バッグの中”は何が入ってる?ラウンド中の勝みなみに突撃!

「7番アイアンで200ヤードも飛ぶ」ってマジ!?“飛距離”に特化したアイアン4選

7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説

関連記事一覧