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まるで宝の地図⁉ 全英オープン選手のヤーテージブックを見せてもらった!

一般アマチュアが見ると、まるで宝の地図のようなプロのヤーデージブック。

それに、さらに不可解な斜めの破線罫が引かれていた“全英仕様”の謎に突撃!

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複雑怪奇な全英オープンのヤーデージブック

写真①

今年の全英オープンは、スコットランドのロイヤルトゥルーンで開かれた。”ポステージスタンプ=切手”の愛称で知られる8番(パー3)が有名だが、そのほかのホールの風景を覚えている人は少ないのではないだろうか。アウトの9ホールはクラブハウスから海岸沿いを南へ伸び、10番からは方向を180度変えて北に向かうのだが、ティーイングエリアからの見え方が変わるのも特徴だ。

選手の大まかな感想をまとめると「インのホールはティーイングエリアからフェアウェイが見えない」という。そんなコースの攻略法を探りながら練習ラウンドをする桂川有人と話をしたら、ヤーデージブックもかなり特殊であることがわかった。

写真②

練習日、10番ホールからスタートする桂川有人(写真②)と同じ目線でティーイングエリアからフェアウェイ方向を眺めると、あるはずのフェアウェイがまったく見えない(写真③)。打つべき方向には、草の生い茂った丘があり、少し谷間になった場所を抜ける歩道が見え、その丘の左側には茶色のゴース(生い茂ったイバラのやぶ)がある。

日本やアメリカの一般的なコースは、ティーイングエリアからフェアウェイが見え、左右のラフまでの間を狙ってティーショットを打つが、ロイヤルトゥルーンの10番からは丘しか見えない。すでに数回、練習ラウンドをこなした桂川は

「はじめてプレーしたときは、どこに打てばいいかまったくわかりませんでした。何度か練習しているので今は狙いがわかってきたんですけど、左の丘の上あたりを打っていきます」とのこと。

”左の丘”といわれても、いったい丘のどのあたりかがよくわからない。そこで、ヤーデージブックを見せてもらった(写真①)。ティーイングエリアからの風景写真が入っているものが最近は多いのだが、ホールの俯瞰図に何やら不可解な「A、B、C、D、E」という5本の斜め線が描かれている。ちょっと見ただけでは意味がわからなかったので桂川に解説を求めた。

「この10番は、丘を越えた向こう側にフェアウェイが左斜めに広がっています。なので、ティーショットが飛びすぎると右のラフに突き抜けてしまう。ヤーデージブックの斜め線は、それぞれのラインに打った場合に、ラフに突き抜けるまでの最大距離を示しているんです」

写真③

桂川がターゲットとして利用するのはEのライン。左側のゴースより少し右のバンカーの上を狙うと、最大325ヤードでラフに到達することを示している。ティーマーカーの場所によって調整を加えるが、桂川の場合は「3Wで打つのが最適」という意味で、手書きで「3W」(写真①の下)と書き込まれている。もう少し左を狙う場合はドライバーでも大丈夫ということで「1W」と書いているのだ。

「ただ、これは風がない場合です。10番でコースが方向を反転するので、風があると飛距離に大きく影響します。横風になったら、もうどこに打っていっていいかわからないですね(笑)」

実際、練習日にはリンクス特有の風はかなり弱かったが、本戦に入って風が強まった。狙いが見えない方向と強風が吹くなかへ覚悟を決めて打っていかなければならないプロの心情を思うと、リンクスの求めるゴルフが日本やアメリカと異なることを味わう一場面となった。

いかがでしたか? 全英仕様のコースで戦う選手たちを応援していきましょう!

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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