「300ヤード飛ばす」ヘッドを“最大限”に加速させる秘訣を男子プロから学ぶ
今回は、300 ヤード飛ばすためのお手本にしたいツアーきっての飛ばし屋・永野竜太郎プロをピックアップ。
300ヤードは無理でも、自分に合った「飛ばしスタイル」を見つけて学ぶことで、大幅な飛距離アップが望めます!
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飛びの秘密:超ワイドなバックスイング
スイングの大きさを変えながら効率的にヘッドスピードアップ!
【アドレス】
やや右足に体重が乗った状態の構え。一見すると手元よりもヘッドが前方にセットされて見えますが、インパクト時はヘッドが遅れてきます。その際、フェースが少し右を向きやすいので、ストロンググリップにしておくことで、それを回避しています。
【バックスイング】
永野選手の特徴ともいうべき非常にワイドなバックスイング。左足のカカトの浮きは肩の回転が止まらないためのものです。一般的にはスエーしやすい動きですが、右足でしっかりと体重を受け止めています。これは右足首よりもヒザが、ヒザよりも股関節が内側にあるという位置関係によってもあきらかです。
永野竜太郎
●ながの・りゅうたろう / 1988年生まれ、熊本県出身。181cm、85kg。23年は初出場の「全米オープン」で20位に入るなど健闘し、国内賞金ランキングも自己最高の9位。23年のドライビングディスタンスは309.38ヤード。フリー。
飛びの秘密:神速の踏み変え術
ワイドなバックスイングの勢いを利用し体幹の “ハリ” MAXで最大加速!
【アドレス~テークバック】
体に緩みがなく、はじめから少しハリのあるアドレスで、クラブに大きめの負荷をかけたいことがうかがえます。バックスイング時の負荷へ耐えるため、右足のほうが左足よりも傾きが強いのが特徴。テークバック時は、手を使わずに体重移動からスタートしており、クラブヘッドにかかった慣性でシャフトがしなっているのがわかります。
【トップ】
飛ばし屋の共通項、とてもワイドなバックスイングとトップポジション。左腕が長いままトップへ向かっているうえに、右腕が重なって見えるということは両腕が体の正面にとどまっていることを意味します。体幹部分の柔軟性と引き戻す強さの両方が備わっている証です。
【ダウンスイング~インパクト直前】
切り返しで一瞬沈み込んだあと、左足で踏み込むことで一気に骨盤が開きます。肩のラインと腰のラインに大きなズレが発生するので体幹部分にある背筋や腹筋にハリが出るのが特徴。筋肉は伸ばされてから収縮するときにもっとも大きな力を発揮するので、この ”ハリ感” を利用してスピードを生み出しているのです。
勝俣陵
●かつまた・りょう / 1995年生まれ、埼玉県出身。174cm、73kg。21年 「日本プロ」で9位。23年の「マイナビABC」初日にはツアータイ記録の3イーグルをマークするなど、爆発力がある。23 年のドライビングディスタンスは300.72ヤード。JPアセット証券所属。
飛びの秘密:超絶拮抗スイング
上下左右、回転。すべてのズレを上手に利用してパワーを増大!
【アドレス】
特徴的なポイントはふたつあります。ひとつ目はハンドファーストな構えでロフトが立った状態かつ、フェースを閉じて構えていること。手元よりもクラブが遅れてインパクトすることを計算してのことでしょう。ふたつ目は、右足のツマ先が外を向いていること。これによって右股関節の可動域が広くとれるのでバックスイングを深くすることができます。
【テークバック~トップ】
少しだけヘッドを先に動かすことで腕が伸ばされています。腕の長さが最長のままバックスイングを行なうので、左足からグリップまでがとても遠い。少し背中が反っているのは、このあとダウンスイングで背中が丸まっていく準備です。
【ダウンスイング】
野球のバッターが前足を踏み込むかのように、ツマ先が少し内側を向いています。地面と足裏の摩擦を余すことなく回転力に変えているのです。大きく開いた腰のラインに対して肩のラインは右後方を指しており、体幹部には非常に強いハリが生まれています。 右の腰が高く維持され、クラブがインサイドから入りすぎないようにすることでショットの安定性も確保。
杉原大河
●すぎはら・たいが / 1999年生まれ、徳島県出身。175cm、80kg。東北福祉大学在学時にABEMAツアー史上3人目のアマ優勝。23年シーズンで初シード獲得。23年のドライビングディスタンスは312.99ヤード。フリー。
解説= アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史) / 1987年生まれ、神奈川県出身。 “アッキー” の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。
写真=ゲーリー小林