ゴルフ好きほどかかりやすいイップス!脱却する方法は…?プロが解説
”イップス”は「自分はならない」と思っていませんか?
決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!
なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。
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慣性モーメントを活かしてイップスから脱却する!
ジュニア時代にはない緊張が生まれた
ジュニア時代から試合に出ていて、世界ジュニア選手権で優勝することもできましたが、そのころはあまり緊張することがありませんでした。プロ生活をスタートさせたのは、98年から2000年代に入るまではアジアンツアーで。国内ツアーに本格参戦したのは01年からで、前年に鷹彦スリーカントリークラブ(※現・袋田の滝CC)で行なわれたQTに出場。
最初に「イップスかな?」と思ったのは、そのQTのセカンドのときで、2パットでパーなら通過するという場面で手が震えはじめたのです。いま思い返すと「このパットに生活がかかる」と思って緊張を感じたことが原因だったのかもしれません。
一度仕切り直して打ったのですが、わずか4、5メートルのパッティングを1メートルもショートしてしまいました。幸いその次のパットが入り、QTは通過できましたが、それからその嫌な感覚がときおり出るようになりました。
50センチのパットがかすりもせずに外れた
パッティングでの私のイップスは、手が動かなくなることです。とくに左手が思うように動かなくてスムーズに振れない。ショートパットは、2メートルくらいなら大丈夫ですが、50センチくらいのタップインできる距離をかすりもせずに外すこともありました。
この症状が表れたのは01年のツアー参戦中で、たとえば、予選を通過するか、しないかという状況での終盤。17、18番ホールあたりで起こります。それでも毎回起きるわけではないし、当時は自分でもイップスとは思っておらず、そこまで深刻にとらえてはいなかった。そんな状況の繰り返しが、07年くらいまで続きました。
中嶋常幸プロにアドバイスをもらう
06年にツアー初優勝ができましたが、07年にはイップスの症状がひどくなりました。緊張するとショートパットで手が動かなくなり、その症状が普段のゴルフでも出るように。そのころ、中嶋常幸プロに「これを使うといいよ」と勧められたパターがあり、それはシャフトが長めの中尺(38インチ)で、ライ角もかなりフラットに調整されているオデッセイの2ボールパターでした。
いわゆるネオマレットといわれる大型ヘッドで、大きい慣性モーメントを活かすとイップスになりにくいというアドバイスでした。
その年、シードは落ちましたが、これでQTを突破することができました。イップスの感覚のもっとも嫌なことは「気持ち悪い感覚が残る」ことです。ゴルフ場を離れてもその嫌な感覚は残っていて、夜眠れないほどの気持ち悪さがありました。
Lesson
[症状]手が思うように動かない
オーソドックスなスタイルでのパッティングストロークだと、手が思うように動かなくなった。市原の場合は、左手が前に出なくなったという
[対策]大胆に打ち方を変えてみた
右手をビリヤードのように持つ「クロウグリップ」や長尺パターなど、これまでとまったく違うやり方でストロークすることで、イップスが緩和された
いかがでしたか? イップスは誰にでもなる可能性があるので、対策を知っておきましょう。
解説=市原建彦
●いちはら・たつひこ/1978年生まれ、神奈川県出身。06年「アサヒ緑健よみうり」でツアー初優勝。現在はレッスン活動とともに、ミニトーナメント「FJツアー」を主宰。ツアー参戦中の2000年ごろイップスの兆候が現れたという。
構成=コヤマカズヒロ
写真=相田克己
協力=ゴルフラボ
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