飛んで曲げない球を打つ秘訣は…?人気コーチが“飛ぶスイング”を解説

ヘッドスピードやミート率を上げるには、力は入れるよりも抜いたほうがいい。しかし、いざボールを目の前にするとリキんでしまうアマチュアは多い。

その原因は「テクニックではなく、心の問題です」とマスター今野。脱力するには “ 成功体験 ”と“ 勇気 ” が必要なのだ。

「力を抜いたほうがいい!」とわかっていてもできない……

「リキんではいけない。リラックスする」というのはレッスンでの常套句で “脱力” は間違いなく大切なこと。「力を抜いたほうが飛ぶし曲がらないことがわかったら、あとはその成功体験を信じて実行し続ける。力を入れないことに対しての恐怖や不安をもたない、躊躇しない。力は弱めるけど気持ちは強く! “勇気” をもってスイングしてください」(今野)

「脱力」できないのは心の問題!?

タツ したいことの反対のことをしないとうまくいかないことがあるのが、ゴルフの難しいところだよね。

今野(マスター) 「あべこべ」ですね。たしかに多いです。

タツ 僕が一番うまくできない、忘れちゃうのが「脱力」なんだけど、これもあべこべだよ。

今野 パワーを出す、クラブや体の動きを制御するには力を入れたくなるのに、それはダメといわれますからね。

タツ でも、それに関しては答えが出た。クラブを動かす以前に体を動かしている。その体はリキまないほうがスムーズに動くから脱力しないといけないんだ、と。

今野 いい考え方ですね。加えてアドバイスするなら「クラブも体の動きも管理できるわけない」と思うといいですよ。

タツ 管理したいのに、できないの!?

今野 できませんね。とくにもっとも速いスピードで振るドライバーはまったく管理下に置けません。

タツ マスターのドライバーって惚れ惚れするほどの精度をもっているじゃない。

今野 ドライバーが一番得意ですが、軌道もインパクトのこともまったく考えていません。

タツ もしかして天才?

今野 いえいえ。試行錯誤して出た答えです。力を入れて制御したほうが精度は上がると思っていた時期がありましたが、飛んで曲げない球を打つには「勢いに任せる」が結論でした。

タツ 慣性とか遠心力を使う?

今野 結果そうなりますが「筋肉でできることなんてかぎられている」という発想ですね。ドラコン選手に聞いても、ほぼ全員が「筋肉は使っていない」。それと「スイング中に意識していることはない」といいます。

タツ でもドラコン選手って、みんなマッチョじゃない。

今野 あれは車でいえば排気量みたいなものですね。アクセルを軽く踏んだだけでも大きな力が出せるエンジンを積んでいるだけで、それをフルパワーで使おうとはしていません。

タツ 勢いって、そんな雑なことでいいの?

今野 まったく雑ではないです。むしろ究極のゴルフは管理しないことだと思います。

タツ 振り子運動的なこと?

今野 私は、振り子は共感しにくかったです。だって、体に支点を作ってもヘッドとの間にある腕は動くしヒジはたたむし。

脱力は “信じる心” と “勇気” をもって実行し続けるのみ!

タツ じゃあマスターは何でその境地にたどり着いたの?

今野 精神論みたいな話になりますが、信じる心ですね。タツさんも力を抜いて振ったほうが、ヘッドスピードは上がるのはご存知ですよね?

タツ うん。素振りで試すと如実にわかる。でも実際にボールを前にして打つとなるとこれが……

今野 わかっているのに信じきることができない。ヘッドスピードだけではなく、ミート率などの精度も自然に上がりません? ところが、調子が悪くなるほどクラブと体の動きを自分の管理下に置きたくなるから力が入る。

タツ まさにそのとおり。悪循環だね〜。

今野 理屈じゃなくて、力を入れすぎないほうが飛ぶし曲がらない。それを実践してみて、結果を見て、よかったからやり続けるという成功体験を積み重ねていったら、リキまなくなりました。

タツ そんな単純なことだけど、決め手はまさに「信じる心」だったということか。

今野 プロは本当に、アマチュアが驚くほど力使っていないんですよ。その力感を疑似体験できるマシーンもいずれ開発されるかもしれませんね。

タツ 数十年先かもしれないけど、マスターのこの予言が当たるか楽しみだね。

いかがでしたか? ぜひ “脱力” する “勇気” を持って飛距離アップに繋げてみてください。

マスター今野一哉
●こんの・かずや / 1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスター兼ゴルフのプロコーチ・RainbowFM(88.5MHz)の「サタマ二♪」(第2土曜 15:00-16:00 オンエア)で、ラジオパーソナリティも務める。キッズゴルフクラブ代表。

写真=鹿野貴司
イラスト=野村タケオ
協力=LaFace

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