ショートゲームがすぐ上達!プロ&コーチ5人がわかりやすく解説
巻頭は、2023年度に掲載したレッスン記事のなかから、とくによかった記事を編集部員が厳選してお届けする「2023ベストレッスン」。今年もスコアアップに役立つ至極の上達法が集まりました!そして400号記念企画は、創刊から32年を振り返りながら、過去の記念号と現在のスイングとギアを比較。各年代と今との違いをご覧ください!
【関連記事】フェースのどこに当たれば1番飛ぶ…!? パラダイム Ai SMOKEでガチ試打検証
ライによってはこっちが安全!SWと決めつけず9Iも持っていこう
グリーンまわりはSWやAWしか使わないと、攻め方が限定されてしまいます。できればもう1本、9番アイアンくらいのクラブを持って行きましょう。
9番アイアンでの転がしは、意外に多くの場面で有効です。ピンが奥にある場合などグリーン面が広く使えてランニングアプローチがしやすい場面や、本来なら球を上げたいようなピン位置でも、冬の花道のように芝が薄くてザックリしそうなライやSWではボールの下をくぐってしまいそうなラフなどでは、ロフトの立ったアイアンのほうがミスなく打ちやすいのです。
「SWのほうが寄りそうだ」と思っても、ちょっと立ち止まって「9番アイアンのほうがミスしにくいのでは」と考えてみてください。意外に活用できる場面は多いはずです。
〝乗せる〞ことを優先するなら意外と9Iがいい
砲台グリーンやボールからエッジまでの距離が遠い場合、「SWのほうが寄る可能性が高い」場面でも「ミスせずグリーンに乗せる」ことを優先するなら9番アイアンが有効なケースは多い
アイアンはロフトが立っていてバンスが小さいからやさしい
ウエッジ(左)よりもアイアン(右)のほうが、ロフトが立っていてボールを前に飛ばしやすい。またアイアンはバンスが小さいので、薄いライでもソールが跳ねにくい
冬の薄芝はとくにアイアンの転がしが便利!
左右均等・等速でパターのように振る
9番アイアンで転がすときは、スタンスを狭めてボールの近くに立ち、あまり手首を使わずにパターのように横からボールをヒットしよう。左右均等・等速でスイングするのがポイント
編集部からのコメント
試してみたらオールシーズンよかった!
掲載時は冬だったので、9番アイアンでのアプローチで寄せワンを獲りまくっていました。転がしでの寄せがうまくなったので、春になっても、夏になっても9番でアプローチしていたら、いつしか「転がし王子」といわれるまでに(笑)。チャックリばかりだった私を救ってくれた鈴木コーチに感謝です!
石川純平
●いしかわ・じゅんぺい/1980年生まれ、千葉県出身。ゴルフ場勤務経験もあり「現場」をよく知るコーチ。石井忍主宰の「エースゴルフクラブ神保町」でチーフインストラクターを務める。
距離に対して振り幅を決めるのは古い!“感覚重視”の大きさでOK!
距離に合わせて振り幅を決める。これは、距離感がよくない人にとっては逆効果になっている場合があります。「ここからここまで振る」という意識が強いと、決めた位置までクラブを操作しようとしてリキむ。スムーズな動きも妨げられるため、ミスヒットが出やすくなってしまいます。
アプローチの距離感は下手投げのイメージといわれますが、まさにそれ。下手投げで目標まで投げるときは「ここまで振り上げる」なんて意識はもたず感覚重視で投げていますよね。バックスイングの大きさはある程度アバウトにしたほうが、距離感はよくなるものなのです。
アプローチはフィーリング命!?アバウトで開眼するなんて!
編集部コメント
「アプローチの新レッスン」と題した企画。これまで常識といわれていたことが、じつは今は違う!というレッスンのひとつで、毎回振り幅を時計の文字盤の「何時から何時」と決めていた私の固定観念を覆す内容でした。バックスイングを感覚重視でアバウトにしたら、力が抜けて動きも滑らかに。距離感だけでなくミート率もよくなりました!
小野耕平
●おの・こうへい/1997年生まれ、茨城県出身。中央学院大ゴルフ部を経て、指導者の道へ進み、石井忍主宰の「エースゴルフクラブ」のインストラクターを務める。研究熱心で、物理と感性を両立したレッスンが持ち味。
スイング幅は変えない!距離の打ち分けに大事なのはスタンス幅とフェース向き
バンカーショットは、飛ばしたいときも飛ばしたくないときも、同じように大きな振り幅でゆるめず振り切ったほうがスイングが安定するので、大きなミスは出ません。スイングを加減せず、フェースの開き方とボール位置、スタンス幅で飛距離の調節をするのがオススメです。飛ばしたいときは、フェースの開きを抑え、スタンスを狭めにします。ボール位置は少し右寄りにし、ちょっとハンドファーストになってもOKです。
反対に飛ばしたくないときは、フェースを大きく開いて、スタンスを広げて構える。ボール位置は少し左寄りにし、ハンドレート気味に構えましょう。
飛ばす・飛ばさないの打ち分け
バンスを使うためにフェースは開くが、開き加減を抑えめにし、ボールを右寄りにすることでロフトを増やしすぎない。スタンス幅を狭めてしっかり回転し、飛距離を出そう
フェースを思い切り開き、ボール位置も少し左寄りにしてウエッジのロフトを増やす。スタンスを広げて下半身の動きを抑制することも、飛距離を抑える効果がある
編集部コメント
バンカーは出すだけならなんとかなるので、距離を打ち分ける技術を身につけたいと思っていました。このレッスンのとくにいいところは、ピンが遠ければ「飛ばす」、近ければ「飛ばさない」とシンプルなところ。距離を何ヤードずつと細かく打ち分けるなんてできませんが、大雑把に「飛ばす、飛ばさない」だけでピンに寄るようになりました!
ボールの下までヘッドを届かせる 軸を左に傾けたままスイング
打ち込んだら思ったよりも、ソールが跳ねてしまったり、砂が取れる量が少ないと、飛びすぎてしまうホームランの危険があります。
狙っているピンの奥にOBや池、別のバンカーがある場合などは、ホームランは避けたいですよね。そういう場合は、ダフリ気味で飛距離が出なくても仕方ないとあきらめて、絶対にホームランしない打ち方を選択しましょう。
ホームランの防ぎ方は、飛ばしたいときと逆。上からしっかり打ち込んでヘッドを砂に深く潜らせます。このときちゃんとウエッジのバンスが使えていれば、脱出できないような大ダフリのミスにはなりにくいので、フェースはある程度開いてください。
大事なのは球を上げようとしないこと。肩のラインが左下がりになるように左サイドを低くセットして、カット気味に振ってしっかり打ち込んでいきましょう。
ホームランを絶対避ける!
ホームランの原因はコレ!→薄く取ろうとしてクリーンに当たってしまう
砂が薄く取れすぎたり、ソールが跳ねて刃が直接ボールに当たってしまうとホームランになる(×)。多少上から打ち込めば、飛距離は出にくくてもホームランにはならない(〇)
ホームランしないコツ① フェースを開きすぎず少しハンドファースト
ボール位置はスタンスの真ん中くらい。左足体重でややハンドファーストに構える。バンスを効かせるためにフェースは少し開いておこう
ホームランしないコツ② 軸を左に傾けたまま右上から左下に振る
アドレスで作った左に傾いた軸に沿って、右上から左下に振っていく。打ち込んでも、フェースを開いてバンスが使えれば大ダフリにはならない
ホームランしないコツ③ カット軌道でOKクラブが寝ないように注意
スイング軌道はカット気味でOK。ダウンスイングでクラブが寝てインサイドから入ると(×)、ソールが跳ねやすくホームランの危険が高まる
ホームランしないコツ④ 球を上げようとせずロフトを信じて打ち込もう
球を上げようとすると軸が右に傾き大きなミスになる(×)。フェースを開いたぶん、通常よりもロフトは増えているので、そのロフトを信じて打ち込もう
編集部コメント
出てショートならまだしも、出たのにホームランはスコアも精神的にも大ダメージ。それを避けるコツは4つも必要なのかと思ったけど、読んでみると振り方は「カット軌道で上からヘッドを入れて球を上げようとしない」と簡単でした。アドレスを左に傾けておくのがポイントなので、バンカーが苦手な人はぜひお試しを!
鈴木大哉
●すずき・だいや/1999年生まれ、埼玉県出身。日大ゴルフ部出身で、卒業後、昨年9月のプロテストに合格。300ヤードを超える飛距離と小技のテクニックを兼ね備え、新人戦をプレーオフで制して優勝した。フリー。
パッティングはスティック2本ティー1本でアドレスもストロークもよくなる!
平らなところにスティック2本(クラブでもOK)を並べて、ボールから1メートルくらい先にティーを刺し、そのティーに当てる練習をしています。これはきちんと真っすぐ打つためのドリルですが、そのために必要なスクエアなアドレスや正しいストロークを同時にチェックできます。どこでもできる練習法なので超オススメですよ!
「ティーの真芯」に当てる
打球が「ティーの真芯」をヒットするのも、完璧な真っすぐが打てた証拠になります。練習グリーンではティーを刺しますが、小さい物を置くのもOK。カップより小さい目標に当てるシビアな練習は、正確性をより上げる。本番ではカップが大きく見える効果もあります。
スティックを参考にスクエアな構えを作る
ターゲット(ティー)に向かってスティックを並べているので、それに合わせて体やスタンス、フェースの向きをスクエアにする。ストロークもスティックのラインを参考にすれば、正しい軌道を意識したり、インやアウトにズレていないかのチェックができます。
スティックの間のど真ん中を転がす
打球は2本のスティックの間のど真ん中を通す。スティックの幅内を通ればOKではなく、左右に1ミリもズレないように転がします。
特別な道具がいらいない一石四鳥のドリル!
さすがは今季もパッティングのスタッツ2部門で上位にいる愛ちゃんのドリル。スティック(またはシャフト)とティーは誰でももっているし、このドリルだけでアドレス、ストローク、ボールのタッチや方向性までよくなって一石四鳥!
今すぐできるパッティング練習法です!
鈴木愛
●すずき・あい/1994年生まれ、徳島県出身。今季は北海道meijiカップで優勝し、ツアー通算18勝。17、19年には賞金女王を獲得したパットの名手。セールスフォース所属。
ライ角どおりに打てているか、も重要!「押し出してしまう」はアップライトに、「引っかけてしまう」はフラットに調整
パターのライ角はとても大事です。ソールを地面にピタっとつけることで、パターが正しいアドレスをナビゲートしてくれる。ライ角どおり振ったり打つことは、真っすぐ打ち出すポイントにもなります。
しかし、ライ角を逆手にとって方向性を上げることもできます。今回、標準的なライ角の70度から、プラス4度(アップライト)とマイナス4度(フラット)に調整したパターをアドレスとストロークを変えずに打ってみましたが、目標よりもアップライトは左に、フラットは右に出る。これを利用すると、打球が右へ出る傾向がある人はアップライト、左へ出る傾向がある人はフラットにすると、狙ったラインに真っすぐ打ち出せます。
フェースの向きが変わりやすい!トゥが浮く(アップライト)と左、ヒールが浮く(フラット)と右を向く
アドレスを変えずにライ角のみを変えたパターを構えると、アップライトはトゥが浮き、フェースは左を。フラットはヒールが浮いてフェースは右を向きます。このフェース向きをスクエアに向けて構えてもいいですが、肝心なのは「インパクト時」です。
スクエアに構えても、インパクト時にヒールやトゥが浮いてしまう人が多く、これではそもそものライ角も、調整したライ角の意味もなくなってしまうので「ライ角どおりに打つ」のも大切です。インパクト時のライ角がどうなっているかは、ボールの近くにスマホを置いて撮影すれば、簡単にチェックできますよ。
「ライ角」は今年のパット界の流行語!?
編集部コメント
今回、ベストレッスンをセレクトしていて、パットのレッスンでもパター選びでも「ライ角」という文字がたくさん出てきました。昔からいわれてきたことですが、近ごろ改めて重要視されている感じがする。たしかに大川コーチが解説しているとおり、ライ角が合っていないと狙ったところに打てませんよね。なので、この記事もベストレッスンです!
大川夏樹コーチ
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