「負けず嫌い」桑木志帆、初シード獲得した2023年について語る
ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくために様々なことを考え、走り続けている。
どんなことを考え、どのようにゴルフに向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。
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file 64 桑木志帆
できるようになる成功体験がモチベーションになっている
球筋をドローからフェードに変えた
――今シーズンも残りわずかですが、振り返ってみていかがですか?
桑木:けっこう充実していたなと思います。
――なかでも印象に残っている試合はありますか?
桑木:資生堂レディスです。
――2位になった試合ですよね。
桑木:はい。プロになってはじめてのプレーオフで、一番優勝に近かった試合でした。負けてしまったけどいい経験ができたと思います。
――昨年よりも好成績が出ていますが、調子がいい理由は何だと思いますか?
桑木:オフに球筋をドローからフェードに変えたことだと思います。ドローが強かったときは、右ピンに向かって打つのが難しくて、チャンスでもなかなかピンにつけられないときがありました。もともとドローの幅を狭くできたらいいなと思って練習していたんですが、それが結果的にフェードになりました。
――技術面以外で変わったことがありますか?
桑木:精神面はだいぶ落ち着きました。
――もともとはどんな感じだったのですか?
桑木:ミスに対してすぐに怒っちゃったりして、切り替えがなかなかできなかったんです。今は比較的、安定した心でプレーできています。
――何かきっかけがあったのですか?
桑木:知り合いの紹介で1回だけメンタルトレーニングを受けました。怒ってしまうと自分にとってマイナスなことしかないから、そういうことは避けて、自分にとってプラスになるように自分の機嫌を自分でコントロールする方法を学びました。
――今後、改善していきたいことは何ですか?
桑木:アプローチです。昨年より力を入れて練習しているので、少しは成長も感じられています。
――どんな練習をしていますか?
桑木:寄せ方のバリエーションを増やすだけでなく、試合ではいろいろなライから打つので、その経験をもとに、こういうアプローチでミスしたから、こういう練習をしようという感じで、自分の苦手なことを中心に練習しています。
――どんなアプローチが苦手ですか?
桑木:ラフからのアプローチがけっこう苦手。球を上げるアプローチが好きじゃないんです。
負けず嫌いな性格でゴルフが続けられた
――ゴルフをはじめたきっかけは?
桑木:4歳のときに、父に練習場に連れていかれてはじめました。
――お父さんが教えてくれていたのですか?
桑木:はい。今の父はすごく優しいんですけど、当時は指導がすごく厳しかったんです。どうやら、そのときからプロゴルファーにしたいと思っていたみたいで。
――厳しいとゴルフが嫌いになりませんでしたか?
桑木:父は私が負けず嫌いなのを知っていたんだと思います。「やめろ」っていわれたら「やめたくない」って感じで、ケンカしながらもやっていました。ゴルフの面では甘やかされなくてよかったなって思いますね。反発心でゴルフを続けられました。
――今は厳しくなくなった?
桑木:高校生ぐらいからゴルフに関して口出しすることはなくなりました。いつもと違うなって思ったときに、ちょこっといってくれるくらいです。
――ゴルフをやめようと思ったことはありましたか?
桑木:よくありました(笑)。それこそ、中学生のときに中高一貫校に入って、高校にもそのまま進学する予定だったんですが、高校のほうはゴルフ部がなかったんですよね。岡山理科大学付属高校の方が「ゴルフ部に来ないか」と声をかけてくださってギリギリまですごく悩みました。結局、その高校に行くことに決めたんですが、今思えばその選択がなかったらプロになれていなかったと思います。
――中学生のときはプロになるつもりはなかった?
桑木:プロになりたいと思ってゴルフをしていたんですけど、現実味もなかったし、中学校がすごく楽しかったので、友達と離れたくないというのはありました。
――高校のゴルフ部はどうでしたか?
桑木:全寮制で、私たちが1期生ではじまったんですが、最初は同期が5人。みんなで寮に住んで、切磋琢磨して成長し合えたって感じですね。
――1期生となると、入学するのはすごく悩みそうですね。
桑木:だからめっちゃギリギリまで悩みました。
――最終的に決断した決め手は?
桑木:入学前に懇親会みたいなのがあって、5人でご飯食べに行く機会があったりして、それでガンバってみようと思いました。
――同期を見て決めたのですね。
桑木:そうですね。同期のなかに中学生のときから知っている友達がいたのも大きかったです。
――今まで長くゴルフを続けてきたと思いますが、モチベーションになったことは何ですか?
桑木:アマチュアのときは、レギュラーツアーやステップアップツアーに出られることがありがたくて、そこに合わせてガンバるのがモチベーションになっていました。プロになってからは毎週試合があるので、モチベーションを保つのが難しんですが、昨年できなかったことが今年できていたりとか、2カ月前にできていなかったことが、今できるようになってきたとか、いろんな成功体験があって、それがすごくうれしくてやりがいもあるから、調子が悪くてもまたガンバろうって思えますね。
――毎週試合があるのは大変ですよね。オフはどんなことをしていますか?
桑木:ゴルフをしないことはないですが、地元に帰ったら、友だちと遊んだりとか、高校の同級生と旅行に行ったりしています。
――ゴルファーとして芯になってることを教えてください。
桑木:1番はどんなに苦しくても諦めないことです。
――諦めそうになるときはどうやってこらえていますか。
桑木:昨年は試合中に予選落ち確定になると、諦めてはいないんですが、うまくいかないことが多かった。でも今年は予選落ち確定でも、優勝に届かなくても、来週につなげていけるようなゴルフができたらいいなって思って、全力でガンバっています。
――これからもゴルファーとして生きていくと思いますが、どんな選手になりたいですか?
桑木:優勝はもちろんしたいんですけど、 長くレギュラーツアーに出られる選手になりたいです。そういう意味で、上田桃子選手や菊地絵理香選手は、今でも上位で戦っていて、カッコいいなって思います。
――最後に、残りの試合はどんな戦いをしていきたいですか?
桑木:絶対に優勝はしたいんですけど、最近はいい成績が出ていないので、徐々に順位を上げていけたら、と。最終的な今年の目標は、メルセデスランキングでトップ10に入ることです!
いかがでしたか?桑木選手の活躍に注目しましょう!
桑木志帆
Profile:●くわき・しほ/2003年生まれ、岡山県出身。今シーズンはブリヂストンレディスで3位タイ、資生堂レディスで2位、北海道meijiカップで2位に入るなど、優勝の期待がかかる若手注目選手。
写真=ゲーリー小林
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