スピンアプローチの超簡単な打ち方は?「ウィークグリップで…」とコーチが解説

アプローチの高さや球質を打ち分けるために、スイング自体を大きく変えるのは難しい。グリップの握り方だけなら簡単に変えられる

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握り方を変えればスイングも自然と変わる

スイングを大きく変えて打ち分けるのは難しい

アプローチを寄せる確率を上げるには、状況に応じていろいろな球を打ち分ける必要があります。

しかし、スイングを何種類も使い分けて球筋を打ち分けるには練習量も必要ですし、何より複雑で難しい。それよりもグリップの握り方を変えてしまえば、スイングを大きく変えなくてもクラブの動きやインパクト時のフェースの当たり方が自然と変わるので、よりシンプルに打ち分けができます。

具体的には、球を転がしたいときはストロンググリップに、球を上げたいときはウィークグリップで握る。スピンを利かせたいときはウィークグリップで、さらにフィンガー気味に握るのがポイントです。

握り方に応じて球の位置や構え方も変わってきますが、それも「グリップによって結果的に変わる」という感覚です。

①ランニングアプローチは→ストロンググリップ
②ピッチショットは→ウィークグリップ
③スピンアプローチは→ウィーク&フィンガー

また、別日には「握る」ポイントをレッスンしてくれました。

ストロングで握ればフェースがかぶってロフトが立つ

自分の目で見て、左手の薬指のナックル部分まで見えるように握るのが目安
ストロンググリップで握り、ボール位置は右足ツマ先前。ボールを右寄りにすれば軌道の最下点の手前で当たるのでロフトが立つ。左に飛ぶミスも防げる
上から打ち込んだり、ハンドファーストを強めようと意識する必要なし。自然な振り子でスイングしよう

ランニングアプローチは、ウエッジのロフトを立ててインパクトする必要があります。しかし、スイングのなかでロフトを立てようとすると、リーディングエッジが刺さってザックリなどのミスが出やすい、インパクトでパンチが入りやすいといったリスクがあります。

転がしたいときは、普段よりストロンググリップで握ってみましょう。自然とフェースがかぶってロフトが立ちます。ただし、これだと打球は左に飛びやすいので、ボール位置を普段よりも右寄りにすることで相殺すれば、スイングを変えなくても打球が低く出て転がるアプローチが打てます。

スイングの余計なアレンジは無用です。首の付け根を支点とした、自然な振り子でスイングすればOK。左手の人差し指と親指でクラブをつまんで引っ張るようなイメージをもてば、リキみもとれてインパクトが安定しますよ。

支点である首の付け根がグラついたり(×左)、浮き上がったり(×右)しないように注意
首の付け根を支点に振り子のようにスイング
首の後ろ側の付け根付近に支点をイメージし、自然な振り子でストロークする。支点のズレを防げば軸ブレも起きないので、インパクトが安定する
左手の親指・人差し指で引っ張るように振る

球を上げたいという意識が生じると、小指側にギュッと力が入りやすい。これを防ぐために、左手の親指と人差し指でクラブをつまんで引っ張るようなイメージでスイングしよう

小指、薬指、中指の3本はゆるめたままでもOK
「引っ張る」イメージで振りましょう!

また、別日には「手首」についてレッスンしてくれました。

ウィークグリップは手首をやわらかく使いやすい

左手をグリップに横からそえるように持つため、左手は人差し指のナックルしか見えない
ボール位置を左足ツマ先前にセットし、ややハンドレート気味に構える。体重配分は左右5対5か、やや右に多めにかかってもOKだ
スイング自体は自然な振り子のイメージだが、手首がやわらかく使えるぶん球を拾って上げやすい

球を高く上げたいピッチショットでは、左手を横からそえるようなウィークグリップで握ります。こうすることによって、手首をやわらかく使いやすくなる。ウエッジのロフトを増やしやすくもなるため、ボールをスムーズに拾って高い球を打つことができます。

グリップでなくスイングで球を上げようとすると、軸が右に倒れたり手ですくい上げるような動作が生じ、ダフったりトップするなどの大きなミスが出やすくなってしまいます。

スイングは、ランニングの場合と同様、首の付け根を支点とした振り子が基本ですが、インパクト前後から左肩が上がっていくような感覚でフォローを出していくのがコツです。こうすることによって手元にブレーキがかかり、自然とヘッドが走ってボールをきれいに拾える。打ち出しは普段よりも高くなり、フワッと上がって止まるアプローチが打てますよ。

左肩を上げながら手元にブレーキをかける

インパクトからフォローにかけて、左肩を引き上げるように体を回していく。これによって手元も引き上げられてブレーキがかかり、ヘッドが走る

手前からヘッドを引きずって球を拾う

球を上げる場合でも、スイングがアッパーになるのはNG。左肩の動きによってボール手前からヘッドが引きずられて、横から払うようにインパクトするイメージで打つ

クラブを引っ張って横からボールを拾うイメージ(○)。「押す」動作はNG だ(×)

また、別日には「握り方」をレッスンしてくれました。

切り返しでシャフトに負荷をかけるために指をうまく使いたい

フィンガーグリップでウィークに握る
グリップを指で引っかけるようなフィンガーで握る。手のひらは少し浮く感じでもOK。左手はウィークグリップ。ボール位置は真ん中より少し左にして、若干ハンドレートに構える

少し上級編になりますが、低く打ち出してスピンで止めるアプローチについて説明します。

この場合はピッチショット同様、ウィークグリップで握りますが、グリップを指に引っかけるフィンガーグリップで握るのもポイントになります。

スピンアプローチはヘッドスピードを上げてボールにスピンをかけるため、速めのテンポでスイングし、切り返しでシャフトをしならせるような負荷をかける動きが求められます。

この際に、ウィークグリップでロフトが立ちすぎないようにすることに加え、クラブを加速させるためには指を上手に使えるフィンガーグリップが有効なのです。

ヘッドスピードを上げるためには、切り返しで手元を左にスライドさせるようにして、右手首が甲側に折れる方向にタメを作る。そこからクラブを引き上げながらヘッドを走らせ、加速させていきましょう。

クラブを横に引っ張って時間差を作る

切り返しでクラブをターゲット方向に引っ張ることでタメを作る。このときフィンガーで握った指を使ってシャフトをしならせるような負荷をかけてヘッドを走らせよう

振り子の支点をスライドさせてから引き上げる

バックスイングでクラブが上がったあと、トップに達する前にグリップエンド(支点)を左にスライドさせ、その後、支点を引き上げていくことでヘッドを走らせる

いかがでしたか? フィンガーグリップで握り、低く打ち出してスピンで止めるアプローチを練習してみましょう。

レッスン=安岡幸紀

●やすおか・ゆきのり/1988年生まれ、高知県出身。高知高校ゴルフ部で活躍。卒業後、指導者の道に進み、日本プロゴルフ協会のティーチングプロA級を取得。東京都の赤坂にある「ゴルフスタジオ ザメッド」でアマチュアレッスンを行なっている。CHEERS GOLF代表。

構成=鈴木康介
写真=相田克己
協力=日神グループ 平川CC

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