“スコアアップ”に絶対に必要なことは? 「できるかぎり…」と目澤秀憲コーチが解説
目澤秀憲が、アマチュアに向けてスコアアップ法を教える連載。第2回目は、ミスをなくすためのスキルアップの方法をレッスンする。スコアメイクに直結するのは「できるかぎりミスをしない」ことだ。
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スコアアップするために必要なことはなにか?
ナイスショットでピンに絡める、ドライバーで飛ばす、長いバーディパットが決まるなど、ゴルフはさまざまなハッピーが得られるスポーツです。そして、このコーナーを読んでいただいているみなさんは、そんなプレーがスコアアップに結びつくことを望んでおられることでしょう。初めてコースに出た方でもないかぎり、スコアアップはゴルファー共通のテーマですから当然です。
ところで「スコアアップする」とはどういうことだと、みなさんはお考えですか?
もちろん、1打でも少ないストロークであがることですが、問題はそのやり方。スコアアップにつながる考え方や方法は、ゴルファーによって異なっていなければいけません。
たとえばプロのトーナメントは、アンダーパーの戦いになります。パープレーでは勝てませんから、少しでもスコアを縮めるプレーを展開します。
しかし、アマチュアゴルファーにそんなゴルフは必要ありません。また、ハンデが少ない人と多い人では、スコアアップするために考えなければならないことや、やるべきことが違います。
そして、それを正しく把握するには、自分にできるゴルフをすることが大前提にないといけない。とりわけラウンドでそうしないことには、今の自分の力を適正に判断できないためスコアアップの糸口さえ見い出せません。
「そんなの当たり前!」と思っている方も多いでしょう。でも、この機会に本当にそんなゴルフをしてきたか、今もできているか振り返ってみてください。叩いた次のホールで取り返そうとしたり、林からパーオンを狙うなど、プロでも滅多にやらないことをしていないでしょうか?「自分とは無縁」と思っている方でも意外とやっているもの。心あたりがあるなら、自らスコアアップのチャンスを逸しています。
いい条件下でのミスをできるかぎり減らす
ゴルフで「いいスコアを出す」とは、バーディやイーグルを獲りにいくことではありません。これは唯一、すべてのゴルファーに共通して言えることです。もちろんプロもそうで、うまい人ほどそういうゴルフをしています。
これを実戦にあてはめると、できるかぎり大きなミスを減らすこと。とくにボールのライがいい、ターゲットをクリアに狙える、無風など、いい条件下でショットやアプローチ、パットが打てる状況でミスをしないことが重要になります。ではミスをなくすためのスキルアップ法をレッスンしていきましょう。
インパクトしやすいかどうかはアドレスで決まる
スイングが十人十色なように、アドレスも身体的特徴によって人それぞれ。「これでなければダメ!」という万人に共通する絶対的な正解はありません。
とはいえ、アドレスはインパクトのしやすさを決める大切な要素。理にかなったスイングをするためにはアドレスとの一貫性が欠かせず、それを満たすために必要なアドレスの条件はいくつか存在します。うまくスイングできない人は、その条件を満たしていないかもしれないので、ここで紹介するポイントをできるだけ守るようにしてください。
まずは前傾姿勢。アドレスする際には、真っすぐ立った状態から股関節を折り曲げ、骨盤を前に傾けます。深く倒すとキツいので、そうならない程度に前傾します。
股関節から前傾し最後にヒザをゆるめる
そこからヒザを少しゆるめる感じで曲げたら、腕をダランと垂らした位置でクラブを持ってソールする。これでグリップエンドとお腹の距離が一定になります。この要領でセットアップすれば、とくに背すじをピンと張ったり、お尻を後ろに突き出す必要はありません。
ヒザを先に曲げてしまうと股関節から前傾しづらく、ボールと体の距離も一定にならないので、ヒザは最後にゆるめましょう。
アドレスのミスを防ぐには、股関節の付け根にクラブをあてがって構えるのがおすすめです。股関節から前傾できるだけでなく、腰、ヒザ、肩といった体のラインがそろいやすく、前後左右の体重配分も整います。
上体は右に傾いても骨盤の高さはそろえる
また、普通にアドレスをとると、自分から見て右手が下、左手が上になります。これに伴って右肩はやや左肩よりも下がり、背骨は少し右に傾きますが、それにとどまらず、骨盤も右に傾いてしまっている方が結構います。
上体が右に傾いた際にバランスを取る意味で、やや左足体重の感じになって右の骨盤がわずかに下がる程度ならかまいませんが、左の骨盤が明らかに高く、目標方向に突き出ていたらアウトです。逆に、右の骨盤や右ヒザが前に出るのもいけません。
骨盤の右傾は最小限にとどめること。上体は右に傾いても骨盤の左右の高さはそろえておく意識で構えてください。完成したアドレスを正面から見ると、上半身と下半身の向きがそろい、頭はボールよりも右に位置しています。
ドライバーのアドレス、アイアンのアドレス
PGAツアーを見ると、ターゲットに対してスクエアに構えてストレートボールを打っているプレーヤーはほとんどいません。彼らのアドレスのベースにあるのは、イメージしたボールを打つこと。それをやりやすくするために、ボール位置やスタンス幅、向きなどを決めています。アドレスがスイングの一部になっているわけです。では、この前提でドライバーとアイアンのアドレスを比べてみましょう。
ドライバーはアッパーブローのアドレス
ドライバーのアドレスでは基本的に、ボールが左足寄りで頭がボールより右に位置しています。これに伴い上体は右に傾きます。
このボディバランスを崩さずに高くティーアップしたボールを打てば、ヘッドの最下点がボールより手前になり、ヘッドの上昇過程でボールをとらえるアッパーブローのスイングになります。
また、ドライバーは一番長いクラブ。ボールからもっとも離れて立ち、スイングアークも大きくなります。遠くに立って大きく振ることで、ヘッドスピードが上がり飛距離が出るわけです。ただし、ミスを恐れてボールに当てにいこうとすると、右肩がボールに近づいたアドレスになりがち。これだと上体が突っ込んだインパクトになります。
アイアンはダウンブローのアドレス
一方、アイアンはヘッドの最下点がボールよりも先になる、ダウンブローで打ちたいクラブです。基本的には地面のボールに対してクラブヘッドが上から入るスタイルなので、ボールに対してやや上体がかぶるイメージのアドレスになります。
7番アイアンを例にとると、スタンス幅は肩幅と同程度。スタンスラインが目標方向に対して真っすぐになるように立つのが基本です。スタンスの幅が狭いので、ボールの位置は左目の下くらいが目安になります。これでボールと頭の位置関係を保って振れると、ヘッドの最下点がボールの先になるわけです。
ドライバーでは上体がやや右に傾くと話しましたが、7番アイアンでは背骨のラインがボールの真上にくるように真っすぐ立ち、真上からボールを見下ろすイメージになります。
参考までに記すと、ロングアイアンとショートアイアンでは、スタンスラインを少し変えると打ちやすくなります。
ロングアイアンでは、右足を少し背中側に引いてクローズドスタンスにすることで、クラブが鋭角に入りすぎるのを防げます。
ショートアイアンやウエッジでは、右足を前に出してオープンスタンスにするとダウンブロー軌道に入りやすくなります。スタンスラインのひと工夫で、入射角を一定に近づけ、ヘッドの最下点を理想的な位置にできるのです。
スライスやフックのミスはアドレスに起因していることが多い
ショットではスライスする方もいれば、フックで悩んでいる方もいます。両方とも出てしまって収拾がつかない方も多いでしょう。
人によって千差万別のスイングですから、ミスの原因もまたしかり。みなさん一人ひとりの症状を見られればいいのですが、そうもいきませんので、すべてのゴルファーに必ずやっていただきたいことをお話しします。
スライスする原因の多くはアドレスにある
それは、アドレス時の体の向きや上体の傾き具合をチェックすることです。これらはクラブの軌道に大きく影響します。
たとえばアマチュアの方のほとんどは、ボールとターゲットを結んだターゲットラインに対して体のラインがスクエアになるようアドレスしようと心がけていると思います。しかし、そのつもりでも体のラインが目標より左を向いていたらどうでしょう?体が向いた方向にスイングしてもターゲットラインに対してはカット軌道でクラブが動きます。正しく振れても結果的にスライスになる確率が高いのです。
スライスすると即スイングを疑い、修正に走るゴルファーが多いですが、このケースではお門違い。修正どころか迷いを深めることになります。プロが入念にアドレスをチェックするのは、こういったことを予防するためです。
クロスハンドでアドレスすると右肩が前に出ない
ゴルフでは、クラブをグリップすると自分から見て左手が上、右手が下の位置関係になります。普通にクラブを持って構えると右腕が左腕よりも上になり、右肩が前に出やすくなる。こうなると結果的に両肩を結んだラインが左を向き、前述のようにカット軌道になります。また、トップで上体が左に傾きやすくもなります。そのままダウンスイングすると頭が突っ込んで極端なカット軌道になったり、ダウンスイングで体が右に倒れ、インパクトでフェースが開きます。
というわけで、まずチェックしてほしいのは両肩の高さです。右手が下になるということは、右肩が左肩よりも下がるのが自然。こうなっていれば右肩は前に出ません。
そもそも右肩が前に出ても気づかないのは、下半身のスクエアにとらわれているから。つまり上半身と下半身がねじれた構えになっていることが問題なのです。
これを防ぐにはアドレスする前に、左右の手を入れ替えて握るクロスハンドグリップで構えるといい。右手が上になれば右肩は前に出ません。その肩のラインを保ったまま普通のグリップに戻せばいいのです。
スプリットハンドでアドレスし体の傾きを適正に
一方、フックのミスが出る方は、体の傾きに問題がある場合が多いと言えます。
インサイドからボールをヒットする意識が強いと、アドレスでボールの右側をのぞき込むような格好になります。これに伴い頭がボールよりも右にきて右肩が下がるため、上半身と下半身の向きにズレが生じてフックを誘発します。バックスイングで上体が起き上がったり、ダウンスイングでのアーリーリリースをもたらすのです。
この傾向がある方は、アドレス前に両手の間隔をあけたスプリットハンドで構えることをおすすめします。そのまま動き、左腕が地面と平行になったところで左肩が下がり、左腕より右腕が上にあるか確認するのです。フックやダフリが多い人は、左肩が高く、右が低くなる傾向があります。
いかがでしたか? 目澤コーチのメソッドは、実践してみたくなりますよね。
目澤秀憲
●めざわ・ひでのり/1991年生まれ、埼玉県出身。5歳からゴルフを始め、プロゴルファーを目指す。日本大学法学部卒業後、「TPI」(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート。アメリカのインストラクター養成プログラム)を知り、セミナーを受講して感銘を受ける。24歳で指導者に転身後は、ボストンでの語学留学を経て、TPIの5つの資格のうち「ゴルフ」と「ジュニア」の最高水準であるレベル3を取得。一般ゴルファーへのレッスンをしながら、2021年には松山英樹と専属コーチ契約。松山のマスターズ日本人初制覇に貢献した。ゴルファー個々の身体的特徴に合った動きを教える「コーチング」をベースに指導。昨年から河本力のコーチも務め、ツアー優勝へと導いた。
文=岸和也
写真=高橋淳司
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