パターの打ち方・ストロークの基本!パッティングコーチが解説
人気パットコーチがツアープロに教えていることを伝授!今回レッスンを担当してくれるのは、橋本真和さん。
橋本さんは数多くのプロゴルファーへパッティングの指導を行ってきたため、パッティングに悩みを持つ方へしっかりとアドバイスしてくれます!
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パターの打ち方の基本
正しい「理想形」を知ることが大前提
私は多くのプロゴルファーにパッティングを指導していますが、パットがうまくなるために何が大事かといえば「目指すべき正しいことを知り、それに近づけようとする」です。プロ・アマ問わず、できるできないの以前に、何が正しいのか、どうあるべきか、を理解して動かなければ、練習しても上手にはなれません。
パットが入らない原因は、大きく分けて4つあります。1つは打ち出し方向のズレ。フェースの向きやストロークの軌道が悪いのが原因で、狙ったところに打ち出せない。または、インパクトの再現性が低いことにもつながります。
2つめはタッチのズレ。ズレ以前に、距離感の基準がない人も多いですね。3つめはボールの転がり。これはインパクトロフトや打点など、主に上下方向の問題だと考えてください。そして4つめがラインの読み。これは経験が重要ですが、どんなに完璧なストロークをしてタッチが合っていてもラインが違えば入らないので、とても重要な技術なのです。
パターが苦手な人が「入らない!」原因はこの4つ
まずは、「ボールが入らない」に対する原因を紹介していきます。
1.打ち出し方向のズレ
フェース向きやストロークの軌道がわずか2、3度ズレるだけで、狙ったところに打ち出せない。再現性も低下し、意図したボールが打てない。動きだけでなく、アドレス時の精度も非常に大切になる。
2.タッチのズレ
タッチ=距離感が合わなければ、狙ったところに打ち出せてもボールをカップインさせることはできない。基準となる距離感があり、それを状況に合わせて自在に調整できることが重要になる。
3.転がりが悪い
グリーンコンディションに応じてボールに適切な順回転を与えることができなければ、転がりが不安定になってしまう。ストロークやタッチのイメージをボールの転がりに反映させられない。
4.ラインが読めない
どんなにいいストロークをしても、ラインが読めていなければカップインさせられない。過去の経験から、傾斜の向きや度合いを正しく判断し、そこからボールの転がりを推定する技術も求められる。
正しいパターのストローク軌道とは?
「軌道に対して」フェースが真っすぐ!3つの鉄則も守る
ストロークは「真っすぐ」が理想ですが、この「真っすぐ」を誤解している人が多いので、まずはその正体を正しく理解してください。というのも、パターにはライ角があるので、ヘッドをターゲットラインに「真っすぐ」動かすことがクラブ的な「真っすぐ」ではないのです。
ヘッドの軌道は、個人差がありますが10~20度くらいのゆるやかなアーク(弧)を描きます。飛球線方向から見て、シャフトの傾きが変わらないまま動くことがポイントです。
そしてこのアークを描くヘッド軌道に対して、フェースはつねに「真っすぐ」。ターゲットラインに対しては開閉して見えますが、軌道に対してはつねに直角を保って動いているのです。これにはシャフト軸での「ねじれ」がないことが大切です。
「真っすぐ」動かすには、スタート地点に歪みがないことも重要。アドレスには細心の注意を払ってください。
鉄則1 シャフトの傾きを保った振り子運動
ヘッドがゆるやかなアーク軌道を描くと、シャフトの傾きが変わらない。シャフトが面をなぞるようなイメージでストロークしよう。
鉄則2 ヘッド軌道に対してフェースが直角
フェースはターゲットに対しては開閉するが、弧を描く軌道に対してつねに直角になっている。これが本当の「真っすぐ」だ。
鉄則3 シャフトがねじれずに動く
フェースが軌道に対してスクエアであり続けるためには、シャフト軸上の「ねじれ」がないままクラブが動くことが重要だ。
正しいストローク軌道を覚えるための3つのポイント
橋本さんによるポイントを解説していきます。
Point1 体を預けずに真っすぐ構える
アドレス時に体が左右に傾いたり歪んでいると「真っすぐ」の基準がズレてしまう。腕を左右に開き両肩の高さがそろったポジションからグリップを作り、前傾してアドレスしよう。
Point2 ツマ先と腰の向きに注意
アドレス時の足のツマ先の向きにも注意。「真っすぐ」に構えているつもりでもツマ先の向きが変わると腰の向きがズレて、構え全体の「真っすぐ」が
損なわれやすい。
Point3 スクエアフェースの見え方を知る
床に貼ったガムテープなどにフェースを真っすぐ合わせてセットし、そのときにどう見えているかの「見え方」をチェック。自分の感覚とのずれを認識しよう。
パターの理想の振り方は?
目指す動きは「完全な振り子」
パッティングストロークは、プレーヤーが余計な力を加えない重力にまかせた「振り子」が理想です。バックスイングで上げたぶんだけフォロースルーが出る左右均等の振り幅。厳密にはインパクトの衝撃でロスするぶんフォローのほうがわずかに小さくなるのですが、それは意識する必要はありません。
振り子の支点は胸の中心付近。アームロックグリップなどの特殊な場合を除けば左右に偏らない真ん中で、腕の長さやライ角にもよりますがみぞおちからノドの下の間の胴体内部にイメージするとよいでしょう。
また、ストロークは上部写真のように振り子の支点とヘッドの重心を1本の長い棒でつないだまま振る動きが理想です。支点が前後左右にブレないこと。そして、支点とヘッドとの距離を変えずにストロークすれば、前述した「ゆるやかなアークでフェースが軌道に対してつねにスクエアな状態」を保って振ることができます。
手首やヒジなどが、余計な動きをしないように注意してください。
ヘッドと胸が棒で繋がっているイメージ
胸の中心にある支点とヘッドの重心が、長い棒でつながったまま振り子運動をするのが理想のストローク。支店の位置がブレないこともとても重要。
パターの打ち方で多いNGな動き
体の動きのNGを紹介していきます。
NG1 腕の伸縮
アドレス時に作った腕の形が崩れてヒジが伸び縮みしてしまうと、支点とヘッドの距離が変わってストロークが安定しなくなる。
NG2 手首がほどける
ストローク中に手首の角度が変わると、支点とヘッドの距離が変わるだけでなく、軌道の最下点やインパクト時のロフトも変わってしまう。
NG3 ヒジが抜ける
上記2つのNGと連動するが、上腕と体の関係が崩れてヒジが抜けてしまうのも「振り子」の動きが損なわれるので絶対にNG!
パターのおすすめの練習方法
アライメントスティックを使って練習しよう
橋本さんによる、アライメントスティックを使った練習を紹介します。
Drill1 2本のスティックをX字に組んでワキに挟む
支点とヘッドの距離を保つドリル。2本のアライメントスティックを輪ゴムなどで留めて「X」状にする。2つの端をそれぞれ両ワキに挟んだまま、交差点が手元付近にくるようにストロークしよう。
Drill2 片ワキに挟んで振る
手首の動きを抑えたいときはスティック1本を使う。左手首を意識するには左ワキに端を挟み(右を意識する場合は逆)、中ほどを一緒にグリップしたままストローク。
パターのタッチの作り方
テンポをそろえることがタッチ作りの基本
パッティングのタッチは振り幅で作りますが、このとき重要なのがストロークテンポです。ストロークは「振り子」なので、どんな振り幅でも1往復にかかる時間は同じ。ロングパットの大きな振り幅でも、つねに同じテンポでストロークすることがタッチをそろえる基本なのです。
個人差はありますが、メトロノームのテンポでいうと90bpm(1分間に90拍)前後が理想。始動からフィニッシュまで約1.3秒です。このテンポを保つことが、振り幅によってきちんと距離を打ち分けるカギになります。
ボールにいい転がりを与えるためには、インパクトロフトが大事です。一般営業のゴルフコ ースなら、だいたい1.5度が理想。だからパターのロフト選びも重要になってきます。
最後にライン読みですが、これは自分自身の傾斜の感じ方と、その傾斜でボールがどう転がるかの経験値を蓄積するしかありません。ぜひ斜度計などを使って練習してください。
ストロークテンポを一定に
どんな 振り幅でも1回のストロークにかかる時間は同じ。理想は80~100bpmの間で、1ストローク約1.3秒のテンポでストロークしたい。
クラブの重さだけで加速する
自分の力でクラブを加速させようとすると、再現性が低くなり軌道やフェース向きが乱れてしまう。クラブの重さだけでヘッドが加速し、インパクトで最高速になるのが理想。
練習法:ヘッドに乗せたコインが切り返しで落ちたらGood
自分の力でヘッドを加速させる必要はないが、重力によってダウンスイングでヘッドが加速していくことを理解し、決して減速させないように注意。ヘッドに乗せたコインが切り返しで落ちればOKだ。
いかがでしたか? 橋本さんが教えるパターの基本を押さえて
練習してましょう。
レッスン=橋本真和
●はしもと・まさかず/1984年生まれ。科学的なパッティング理論に基づき多くのプロゴルファーを指導するカリスマパッティングコーチ。埼玉県の「越谷ゴルフリンプライベートスクスタジオ」を主宰する。
構成=鈴木康介
写真=田中宏幸
協力=越谷ゴルフリンクスプライベートスタジオ
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