藤田さいき、連戦のなかでの“唯一無二の味方”を語る!10年ぶりの優勝への意気込みも

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフを「よりよいもの」にしていくために様々なことを考え、走り続けている。

「どんなこと」を考え、「どのように」ゴルフに向き合っているのか。

今回は藤田さいきプロのインタビューをとおして、その姿を探っていく。

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全英女子オープンで得た新たな経験

――今シーズンは、国内ツアーで何度も優勝争いに加わっていますが、前半戦を振り返っていかがですか?

藤田:いい状態でやれていたと思います。パッティングの調子がすごくよかったし、ショットが多少ブレてもショートゲームが悪くなかったので、大きく崩れませんでした。

――優勝まであと一歩の惜しい試合がたくさんありましたが、一番印象に残った試合は?

藤田:フジサンケイレディスのホールインワンですかね(笑)。優勝うんぬんよりもあれが一番印象に残っています。

――フジサンケイレディスも惜しかったですよね。

藤田:はい。2位でした。勝ちきれないのはなぜなんだろうと、その原因をスコットランドに探しに行ったんですが(笑)。

――全英女子オープン(以下・全英)はいかがでしたか?

藤田:スコットランドに行った記憶はあるんですが、ゴルフをした記憶が……(笑)。あっという間に始まって、あっという間に終わった感じですね。

――楽しめましたか?

藤田:楽しかったかといわれたら、楽しくはなかったですね(笑)。いっぱいいっぱいで。全英に行くことが決まり、周りの人からコースの情報などはもらってはいたのですが、実際に行ってみると感じたことは違ったりもして。現地では、いろいろなものをひっくり返されました。やはり「経験」が必要で大事だと改めて感じました。日本では経験が邪魔をすることもあるといわれたり、自分でもそう思っていたんですが、全英はとにかく経験がないとダメだと思いました。他の選手よりも長くゴルフをしているので、難しい状況に遭遇しても「これやったことあるな」と感じられるなど、経験はあるほうなんですけどね。

――2005年からプロとして活躍されていますもんね。

藤田:経験値だけでいったら若い子よりはありますが、全英だけはすべてを駆使しても何もできなかったです(笑)。

――長くゴルフをしてきて、辞めたいと思ったことはないですか?

藤田:ずっと思っていました。今は思っていないですが、プロになったばかりのころはずーっと連戦しているのがつらくて、辞めたいと思った。それからコーチだった父が病気になり、見てもらう機会がなくなり、自分で考えてやるようになってシードを落としたときは、本当につらかったですね。もう辞めどきなのかと思いました。2019年にQTを受けたのですが、プロになる前に受けた以来だったので、12、3年ぶりでした。QTってつらいじゃないですか。「これ以上つらいことはないんじゃないか」と思い、これを乗り越えたからいけるだろうとも思いました。

――QT後は成績が一気に上がっていますが、気持ちの面での変化が大きかったんですね。

藤田:そうですね。ゴルフはメンタルで結構決まるんだなって思いました。

――ゴルフを続けられたモチベーションは?

藤田:この10年、優勝していないので、あと1回優勝したいという気持ちでやってきました。

――今シーズンは、手応えがあるのでは?

藤田:それこそ全英に出させてもらって、打ちのめされ、またこうしようああしようと、自分の気持ちが締まった感じがあります。自分のなかでダラっとした部分があったので、それを締めるいいきっかけになりました。

――日本ツアーでの今後の意気込みは?

藤田:まだちょっとスコットランドでできた心の傷が……(笑)。その傷を労わりながら戦っていきます。本当にすごくいい経験ができたので、この経験を無駄にせず、もっとゴルフを仕上げて優勝を目指してガンバりたいと思います!

旦那さんが唯一無二の存在

――藤田選手にとっての恩人はどなたですか?

藤田:主人ですね。もともとすごくプラス思考の考え方をもっていて、私がマイナスなことを考えたり言ったりすると「そうでもないんじゃない?」って。側で支えてくれているな、とすごく感じます。

――藤田選手はポジティブなイメージがありました。

藤田:最初はポジティブじゃなかったんですよね。結婚して、主人の考え方を聞いてそういう考え方もあるんだなって。周りにもすごくいい人たちが集まってきて、すごく応援してくれるし、言うべきことはしっかり言ってくれる。人間的にすごく成長できていると思います。そういう意味では周りの人に恵まれていますね。

――旦那さんの存在がとくに大きかったのですね。

藤田:唯一無二の味方なので。

――プレーのことを話したりもするのですか?

藤田:あまりしないですが、ふと「今日こんな感じだったね」って言われたときに、そんなふうに見えたんだと驚くことはあります。

――近くにいるからこそわかる違いですね。

藤田:自分でもわからない部分だったりするので。気を遣って言わないということがなく、ズバッと言ってくれるのでわかりやすいですよね。アドバイスとまではいかなくても、そのひと言で違うことをしてみようという気持ちにさせてくれます。

――ご自宅では?

藤田:結構仲がいいほうで、何でも話します。食べたいものとか、やりたいことが似ているんです。

――旦那さんにひと言メッセージを送るとしたら?

藤田:感謝しているので「ありがとう」と伝えたいです。私たちがすごくお世話になっているとても仲がいいご夫婦がいるのですが、私が19、20歳くらいのときからファンでいてくれて今回の全英も応援に来てくれたんです。すごく愛情を感じますよね。その夫婦の仲のよさをずっと見ているので、自分たちも仲良くいられるのかもしれません。

――その方たちが、理想の夫婦像なのですね。

藤田:ああいう夫婦になりたいですね。私のネイルもその奥さんがやってくれているんです。私の爪をキレイにしたいといって、ネイルの学校に通って、ネイリストになったんです。

――すごいですね!

藤田:本当にすごい。それを聞いたときは本当にびっくりしました。そういう優しい方が私の周りには本当にたくさんいて、感謝の気持ちだけはいつももっています。

――今、女子プロ界では若い世代の選手が増えていますが、プレッシャーはありますか?

藤田:一緒に戦ってはいますが、彼女たちは私よりも小さいころからゴルフをしていて、とんでもない努力と勉強をしたり、いろいろなことを調べて取り入れてやっているので、逆に尊敬しています。でもその子たちと違うとは思っていなくて、この子たちから得られるものは何だろうといつも考えています。プレーのなかでつねに彼女たちから、何か情報を得られないか、私にもできることがないかを探してラウンドしています。

――最終的な目標は?

藤田:不動裕理さんなど、素晴らしい先輩たちのように尊敬される、みなさんの心に残るプレーヤーになりたいと思っています!

いかがでしたか? 今後も尊敬されるプレイヤーを目指す藤田プロの活躍に注目してみてください。

Profile
藤田さいき
●ふじた・さいき/1985年生まれ、栃木県出身。168cm。今季はフジサンケイレディス、リシャール・ミルヨネックスレディス、宮里藍サントリーレディスで2位と大活躍。2011年以来の優勝に期待がかかる。チェリーゴルフ所属。

写真=小林司、田中宏幸

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