
パー3でミスを簡単に防ぐためのポイント!プロが解説
ティーアップしてアイアンを打てるのに、思うようなショットにならず、ボギーやダボを叩いてしまうことも多いのがパー3。
その原因は「パー3特有のロケーションやメンタル状態にある!」という奥山ゆうしプロが”マインド”を変えつつ、ティーイングエリアを有効に使う、ミスを防ぐスイングのポイントをわかりやすくレッスンします!
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パー3、こんなミスをしていませんか?

「ピンまで150ヤードだから7番アイアンだな!」。パー3のティーイングエリアでよく聞こえてくる会話ですが、この安易な判断がミスの8割を生んでいるといっても過言ではありません。距離が短く、ワンショット成功すればバーディチャンスにもつけられるパー3は、ティーショットでピンばかりを見てしまいがちですが、じつは罠がたくさん仕掛けられています。
池やバンカー、ティーイングエリアの向きや風向きがその代表例。球筋や使用番手は、それらを観察し「打ってはいけない場所」を特定して決めるもの。さらに、ティーアップの位置や高さも「パー3攻略」に欠かせない要素です。これを学んで、もうパー3でボギーやダボを打つことをなくしましょう!
打球の高さも飛距離もバラついて安定しない

ティーアップすると打ちやすさは上がるのに、その高さがバラバラだと打球の高さも飛距離もバラついてしまう。解決策は一定の高さ、技量やスイングタイプによっての適切な高さにする、だ。
グリーンに乗せることばかりに気をとられてしまう

パー3はグリーンが目の前にはっきりと見えるので「乗せたい!」という気持ちが強くなってしまう。この気持ちがリズムの乱れやリキみを生み、あらゆるミスを引き起こす。
ミートしたのに見当違いの方向に飛んでしまう

練習場は目標を向いたガイドラインが多いが、コースではそうはいかず、構えの向きのエラーが意図しない方向に飛んでしまう原因。ティーイングエリアでも真っすぐ構える技術を身につけよう。
池やバンカーなどハザードを必要以上に気にしてしまう

視界に入るハザードは気になるが、コースを正しく観察・分析すれば意識から遠ざけられる。「あっても気にならない」マインドに切り替えればスイングに集中できる。
必要な情報をもつことで不要な不安をなくす

ピンまでのほか、手前のグリーンエッジまで、池やバンカーを超えるまでの距離も測るとセーフティエリアの幅がわかる。ピンを点で狙うよりも、10~20ヤード幅で打つほうが、精神的に余裕が生まれミスショットを回避できる
パー3で最初に考えるべきことは「罠にハマまらない」です。ティーイングエリアに立ったら、コースをよく観察し「あのエリアに飛ばせればバーディチャンス」「ミスしても、あそこならパーが拾える」と、スコアを想定したゲームプランを立ててください。すると、コースのなかに、セーフティエリア(リスクの少ない場所)が見えてきます。狙う範囲も広くなり、メンタル的にも余裕が生まれるのでナイスショットの確率が格段にアップする。仮にミスショットをしても想定内のミスになりやすく、あたふたせず冷静に対処できるので寄せワンの確率も上がります。
また、風に対しても「ショットの邪魔をするもの」ではなく「ショットを助けてもらえるもの」という考え方にシフトしましょう。たとえば「フォロー=リキまなくていい」「左から=左の池が怖くなくなる」など、ポジティブな“マインドチェンジ”が、ティーショットを大成功へと導きます!
風のチェックはクラブ選択の最重要ポイント

短いアイアンほど球が高く上がり、風の影響を受けやすい点をアマチュアは見逃しがち。風向きがわかりにくい林間コースなどでは、スコアカード裏面などに印刷されているコース全体図に、当日の風向きを書いておくといい。
「クラブ選択」と「ティーアップ」でも戦略を強化できる

【クラブ選択】
ピンまでの距離を打てるクラブ、その前後のクラブの合計3本から選択し、さまざまな攻め方を考えるクセをつけることが大事。
パー3のティーショットは、多少のミスをしても必ずグリーンまで届く番手を選んでください。たとえ1ヤードでも「届かない」と思ってしまうと、脳は“リキむ”信号を出し、ミスを誘発します。奥に池などの危険地帯がある場合をのぞいては、オーバーを嫌がらずに大きめのクラブで打つ。そもそもコースに行って、練習場と同じ力感で打てているアマチュアはほとんどいないので、大きめの番手でリラックスして打つくらいでちょうど。風が強いときは、大きめの番手でハーフショットすると弾道が低くなり、風の影響を抑えられます。
クラブを決めたら、次はティーアップ。まずは“スタンス”と“ボール位置”の両方が、平らになるところを見つけてください。なるべく練習場と同じような環境を作ることが、ショットの成功率を上げるコツ。さらに、なんとなくティーマーク間の真ん中にセットするのではなく、ピンポジションやコースロケーション、自分の球筋に合わせてティーイングエリアの横幅を広く使いましょう。

ドローの人は左端から右サイド、フェードの人は右端から左サイド狙いで構えると、ホールをボールが曲がっていく方向へ広く使えるので、ミスしてもリスクが少ない。

2クラブレングス以内まで後方に下がることもできる。ティーマーク付近は、打つ人が多くライが 荒れがち。芝がキレイに残っているうしろのエリアがオススメだ。

ボールをクリーンに打てるくらい(写真左)が通常だが、スコア100前後の人は、1センチ程度浮かせるのがオススメ(写真中)。地面とボールの間の”許容範囲”を広げることで打ちやすくなる。ただし「高すぎ」(写真右)るとフェースの上っ面に当たり、飛距離を大幅にロスしてしまうのでNG。
「グリーンセンター」とは左右の真ん中だけではない!

”グリーンのセンター狙い”が基本ですが「左右の幅の真ん中とカン違いしている人が多いですね」(写真左)と奥山。センターとは前後の縦幅の真ん中も含まれる。左右だけでなく、前後にも安全圏を作ろう。
ショットの型を覚えこませ本番で演じる

練習場ではうまく打てるのに、コースだとミスが頻発する人はスイングの「リズム」が崩れている可能性が高い。そこで前出の「コースレイアウトチェック」「クラブ選択」「ティーアップの工夫」と合わせて「リズム」を意識しましょう。
「イチ・ニ・サン」のリズムに合わせて「アドレス・トップ・フィニッシュ」の順でスイング。フルショットとハーフショット、どちらも同じように行なってください。さらに、バランスのよいフィニッシュをとるように心がけると「スイング中の緩み」「ミスを怖がってのリズムのバラつき」を防ぐことができます。いいスイングができたらカッコいいフィニッシュがとれるのではなく、美しいフィニッシュを目指すことでスイングもよくなるのです。
そして、これをコースで実践するには「ダンサーが踊る」のと同じように「覚えたスイング(振りつけ)をやりきる」ことがポイント。「お客さんにどう思われるか?間違えないように踊れるか?」などと心配していたら、いいダンスなんて踊れませんよね?練習したとおりの“振りつけ”(スイング)を気持ちよく演じましょう!

フルショット(上)とハーフショット(下)の両パターンを練習し、実際のコースでも得意なスイングを選択。「アドレス・トップ・フィニッシュ」それぞれのポジションと「イチ・ニ・サン」の数字をリンクさせることで、ナイスショットのリズムを体に覚えさせる。

正しくボールコンタクトすることに意識が向きすぎてしまうと、自然なスイングができない。「フィニッシュへ」の意識もきちんともとう。
本番力を高める「実践本意」な練習をしよう!

バックスイングでヒールアップ、切り返し後に左足を踏み込みながら打つ。ナイスショットを打つことよりも、体の動きにフォーカスして行なう(写真左)
上半身が下半身を追い越さないように注意することが重要なポイント(写真右)
プロは練習場から、すべて本番を想定したショットを打ちます。技術面だけでなく、精神的にも本番に近いシチュエーションで慣れておくことが、いつもどおりのプレーを可能にするのです。コース内では上体に力が入り、ミスが出やすくなるので、手先に頼ることのない下半身リードのスイングを練習してミスの幅を小さくしておく。芝の上でピンに真っすぐアドレスをするのが苦手な人は、普段の練習から毎ショット目標を変え、ターゲットに真っすぐ構えられるようにすることが大切です。
最後に、みなさんがティーイングエリアで、よく頭の中に浮かぶ言葉は何ですか?「乗せたい」とか「うまく当たるかな?」などいろいろあるでしょうが、練習場でも必ずその言葉を唱えながら打ってください。ネガティブな言葉を思い浮かべても、そのあとにナイスショットが打てるように練習をすれば、脳は言葉と行動をリンクさせて記憶します。コースでふとネガティブワードが出てしまっても、その言葉が逆にナイスショットを呼び寄せてくれますよ!
目標に対してスクエアに構える練習

補助としてアライメントスティックなどを使いながら、スクエアに構える練習をする。毎ショット目標を変え、自分が左右どちらの方向を向きやすいのかもチェック。

スクエアに構えるためのポイント!

スパットは、ボールの前のみだと、視野が目標方向に移動してアライメントが崩れ、真っすぐの感覚が鈍くなる。とくにボール位置が左へ寄る長いクラブは、スパットを後方にも設定しよう。
言葉と行動をつなげる

ティーイングエリアでは 、プロも不安になるもの。その不安を最小限にするためにも、練習のときから頭の中に自然に浮かんでくる「ネガティブワード」と上手につきあうことが最高の対策だ。
いかがでしたか。奥山プロのレッスンをぜひ参考にしてください!

レッスン=奥山ゆうし
●おくやま・ゆうし/1983年生まれ、埼玉県出身。日本大学ゴルフ部卒業後、2010年のプロテストに合格。レッスン動画を配信しているSNSの登録者数は22万人を突破し、数多くの芸能人のコーチも務める。
構成=岡田豪太
写真=田中宏幸
協力=取手桜ケ丘ゴルフクラブ(アコーディア・ゴルフ)