硬い地面に効く“タイスピナー”って何?アプローチを極めてうまく寄せよう!

アプローチの技術に悩むゴルファー必見!今回はアプローチの技、「Thai Spinner」をご紹介。この記事を読んでスコアアップを目指そう!

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グリーンまわりでの秘技「タイスピナー」とは?

タイスピナーの「タイ」は国の名前、「スピナー」は回転するものという意味で、僕がアジアンツアーを回っていたころに習得したアプローチの技です。

東南アジアのゴルフ場は地面がとても硬く、現地のゴルファーは子どものころからこのアプローチを技のひとつとしてもっていて、僕は日本でもシードを獲得したことのあるタイ人のタマちゃんこと、タマヌーン・ スリロット選手との練習ラウンド中に遊び感覚で打って寄せていました。

打球の高さはヒザよりも低い。地面が硬いのでヘッドが刺さらず、
ほぼ打って終わりのインパクトになる

その球筋は転がしのように超・低弾道で打ち出されたボールが、キャリーしてからは超・激スピンによってブレーキがかかりゆっくり転がっていく。そのため、日本のゴルフ場でも冬のカチカチに凍っている、カラカラに乾いているライやグリーンに向かって、芝が薄く地面がむき出しになっている硬いベアグラウンドで有効です。

曲芸のようなもので実用性はない、と思われるかもしれませんが、打ってみるとアプローチの弾道の高さやスピンにおけるメカニズムや本質を知ることができる。アプローチを極めるための知識と経験が学べるので、これを機に練習場でもコースでも試してみましょう。とくにこの時季、グリーンや地面が凍っていてうまく寄る気がしないなら、タイスピナーにぜひ挑戦してください。

田島が打ったあとにフィニッシュをほどいて打球の行方を長く見続けるほど
ゆっくり転がっていくが、これがグリーン奥から10フィートのスピードの下り傾斜から
寄せているのだから驚きだ!

キャリー

・5ヤード前後
・地面スレスレを飛んでいく超・低弾道
・出球は強くて速い

ラン

・ファーストバウンドで急ブレーキがかかる
・スピンがほどけずゆっくり転がっていく

タイスピナー「使う状況」

ワンクッションめはカラーかグリーン上に!

グリーンからこぼれて薄い、硬いライならチャレンジチャンス!

5ヤードくらいのキャリーでグリーン近くまで届くエリアの…

冬のゴルフでもよくあるグリーンが硬くてボールが止まらずこぼれてしまった、または寒さで飛ばずに少しショートした、そんなときはタイスピナーの出番です。距離は打ち出しが超・低弾道なので、5ヤードくらいしか出ない。そのキャリーが「カラーかグリーン上に落ちる」距離が範囲内です。それより手前のラフにキャリーすると激スピンがかかった球なので、芝に食われて大ショートしてしまいます。

ライは芝が薄いカラーや硬い地面だったら、ますます使いどき。湿ったやわらかいウエットなライや、ラフからは芝が枯れていても球が高く上がってしまうし、芝を噛むとスピンがかかりにくくなるのであまり適しません。

タイスピナー「構え方」

タイスピナーの生命線「超・鋭角ダウンブロー」のためのアドレス

ボール位置は右ツマ先の前よりもっと右!

構え方のポイントはボール位置。右ツマ先の前か、さらに右寄りにセットします。これはタイスピナーの生命線ともいえ、超・鋭角な・ダウンブローを作るためです。

フェースを開くとバンスが使えてより刺さらない

スピンを増やす準備としてフェースを開いて構える。フェースを開くことでバンスがつくので、より地面に刺さりにくくなる効果も出る

タイスピナー「打ち方」

縦コックオンリーで上からドン!

コック&リリース

打ち方はじつにシンプルで、手首を縦に折るコックを使って振り上げたら、コックをほどきながらインパクトへ。右寄りに置いたボールに向かって振り下ろせば、ヘッドの入射角は自然に超・鋭角になります。

ヘッドを上からドン!と落とし、打って終わりでOK。地面が硬いのでヘッドが地面に刺さりすぎることもありません。

バックスイングの軌道はややアウトに上げる

縦コックのみのバックスイングなので、ヘッドはやや外に上がっていく

インパクトゾーンのヘッドの円弧も「縦」をイメージ

超がつく低弾道とスピンがかかるメカニズムも知っておいてください。通常のアプローチのヘッド軌道はほぼレベル。それに対してタイスピナーは、描く軌道の円弧が立って縦になります。これによってロフトが立ち、ボールを押さえつけるようにヒットできる。これは、イメージとしてもっておくこともオススメです。

開いたフェースをねじって戻す

閉じるよりも“ねじる”イメージです

開いたフェースをねじって戻すのはタイスピナーにかぎったことではないスピン増のテクニックです。
ねじり戻すことでボールがフェースに乗るし、方向性もよくなります。

ねじる動きはヘッドのみでなく、手元や体でも行ないつつ、ボールを押さえつけるようにねじっているのがプロの技です。

フェースを開いたまま打つと右に飛んでしまう(×)。ねじって戻す動きを加えた田島の打球は左、ピンまでのスライスラインに乗る方向に正確に打ち出されている(○)。

いかがでしたか? この記事を参考に、タイスピナーを習得しましょう!

レッスン=田島創志
●たじま・そうし/1976年生まれ、群馬県出身。2000年プロ入り。03年「久光製薬KBCオーガスタ」でツアー初優勝。ゴルフ全体をとおして広く深い造詣をもつ理論派プロで、とくにアプローチは自他とも認める多くの引き出しをもつテクニシャン。

写真=竹田誉之
協力=日神グループ平川CC

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