
ゴルフはなぜ左手だけにグローブを着けるのか?その理由を解説
ゴルフはなぜ左手だけにグローブを着けるのか?マスター今野は、一般的にいわれている理由とはまったく違う説をあげ、さらには検証も行った結果、”右手だけグローブ”の驚くべき効果を発見したそうだ。
左手だけにグローブを着けるのは単なる固定観念!?

レン マスターはパットのときグローブ外す?
今野(マスター) 外しますね。ただ、「フィーリングが出る、感じられるから」など、一般的にいわれている理由とは違います。左手だけグローブをする理由と同じですね。
レン 左手にグローブは当たり前じゃないの?
今野 フレッド・カプルスや全盛期の不動裕理プロ。最近では堀川未来夢プロがノングローブですよ。
レン ホントだ。ネットで検索してみたけど堀川プロは「手のひらの皮膚感覚を大切にしたいので、ゴルフをはじめたときからしていません」って書いてある。やっぱり、フィーリングを大事にしたいからじゃない。
今野 いや。「ゴルフをはじめたときから」という理由のほうが大きいと思いますよ。諸説ありますが、グローブを着けてプレーをするようになった理由、聞きます?
レン 聞こうじゃないの。
今野 ゴルフが誕生したころは、主に欧州の貴族たちがプレーヤーでしたが、貴族って手のひらがデリケートだったらしいんですよ。当時のグリップは木の棒に皮を巻いたものでしたから凹凸があって、手のひらにかかるダメージが大きかった。そこで皮でグローブを作り、両手にしたそうです。
レン そのころは両手にしていたのね。
今野 はい。でも皮って高いじゃないですか。やってみたら左手のほうが摩耗が激しい。だったら左手だけでいいや、となったみたいです。
レン それって左手のひらが傷みやすいから、という確固たる理由になるんじゃない?
今野 ところがですね。今のグリップは表面形状や素材が進化していて滑らないから強く握る必要もなくなりました。グローブをしなくても平気、といえるくらい。
レン マスターはショットでは、グローブをしているんでしょ?
今野 してますよ。その理由は堀川プロの話に戻るんですが、私は逆に「ゴルフをはじめたときからしていたから」なのです。最初に「左手はグローブをするんだよ」って教わり、そういうもんだと思い込んで疑いもしなかった”固定観念”でやって来た結果ですね。
レン じゃあ、今はしなくてもいいくらい?
今野 いや、しないと気持ち悪いです。することに慣れちゃっているから。
レン ということは、グローブは単なる習慣じゃない。
今野 そうですよ。パットでグローブを外すのも、練習でも本番でも日ごろからしないで打つからです。
レン 今やグローブがそんなにも意味がないものとは……
今野 意味はあるんですよ。グローブをすると力が自然に入ります。たとえば握力が落ちてきシニアは、両手にグローブをするとクラブをしっかり握れます。それを知って実験してみたんですよ。
レン どんな実験?
今野 右手だけグローブをすると、球がめっちゃつかまります。意識しなくてもフェースの返りが強くなるし、左手だけグローブをしているときよりもインパクトで力が入ります。これはスライス防止の特効薬だと思いましたね。
レン 右利きの人は右手のほうが握力が強い場合が多いから、それでバランスとってるかもね。
今野 それも一理あります。検証の結果、ドローヒッターが右手だけグローブをしたら大変なことになりましたし、スライサーは右曲がりが軽減されましたから信憑性はあります。
レン 即効性があるなら、右手グローブがバカ売れするかも。
今野 はい。自信をもってオススメできるんですが、これでスライスが直ってしまうと我々インストラクターは商売あがりですよね。
レン グローブ屋になったら?
今野 「しなくても平気」ともいっているのにですか?(笑)
いかがでしたか? 右手だけグローブ、ぜひ試してみてください。

マスター今野一哉
●こんの・かずや/1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスターを勤めるプロコーチ。24時間ゴルフのことを考えているので、寝言でもゴルフの話をするそうだ。キッズゴルフクラブ代表。
イラスト=野村タケオ