
ダウンブローの全てを解説!アイアンが劇的にうまくなる
アイアンは、ダウンブローのインパクトが必須というのが常識です。しかし、アイアンが苦手なアマチュアは多く、その原因は大きな誤解をしているから。ダウンブローを言葉の印象から「鋭角な入射角で上から打ち込むインパクト」とカン違いしているのです。
ボールの赤道の下にヘッドを横から入れる

最下点の手前でインパクト !
“急降下”はダメ
本来のダウンブローとは、軌道の最下点の手前の、ヘッドが着陸態勢にある状態でインパクトすることを指します。しかしこのとき、鋭角に“急降下”で打ち込むのではなく、ゆるやかな入射角の“低空飛行”でとらえるのが理想なんです。
なぜなら、ボールを芯でとらえるためには、アイアンのリーディングエッジをボールの赤道より下の「ゴールドアングル」に潜り込ませたい。これは“急降下”ではむずかしいのです。“低空飛行”でボールの下にヘッドを横から潜り込ませるインパクトこそが、正しいダウンブローの正体なんです。
⚪︎ リーディングエッジがボール赤道の下にしっかり潜る

ゆるやかな入射角なら、アイアンのリーディングエッジをボールの赤道より下の「ゴールドアングル」に潜り込ませやすい。このとき最下点の手前でインパクトするのが本当のダウンブロー
✖︎ 鋭角に上から打ち込むことがダウンブローではない

鋭角に打ち込もうとすると、リーディングエッジがボールの赤道の下に入り込みにくく、芯でボールをとらえられない
✖︎ ダウンブローとは上から打ち込むことではない!

しっかり上げて飛距離を出すには下半身は左6:右4上半身は左4 : 右6重心でインパクト!

上半身:頭と目を右に残してインパクト
上体が右に少し傾いた状態で頭と目をボールの後方に残す「ビハインド・ザ・ボール」を保つ。ボールを右側から覗き見るようなイメージでインパクトを迎えよう。

下半身:左に多めに乗ってインパクト
上体は右に傾いても、下半身はしっかりと左に乗った状態でインパクトすることが大事。ただし横に揺さぶるのではなく、回転のなかで左に乗ることが大事。
急降下で打ち込もうとすると上体が左に傾き、頭と目がボールの先にきてしまう

下半身まで右に残ると、最下点がボールの手前にくるアッパーブローになってダフる
上体が右に傾けばシャフトのしなりを使える
では“低空飛行”のダウンブローでボールをとらえるためにはどうすればいいか。最大のポイントは目と頭をボールの右に残してインパクトすることです。
“急降下”で打ち込もうとするとどうしても上体が左に突っ込みやすい。ダウンブローにとらえるアイアンでも「ビハインド・ザ・ボール」は必須なのです。
ただし、下半身も右に体重が残るとあおり打ちになってダフリます。上半身は6対4で右、下半身は6対4で左に重心があるインパクトを目指してください。
これは、左右5対5の状態から腰を少し左にスライドさせつつ左に乗り、上体を右に倒すのがコツ。そしてスイング中には、体を止めずにしっかり回します。
上体が右に傾いてインパクトできれば、シャフトの“しなり返り”の途中でボールをとらえられ、きれいなターフが取れるんです。
上半身
左腰を左に当てて上体を右に傾ける

左右5対5の状態から腰を少し左にスライドさせ、左足の外側の壁にぶつけるイメージ。上体が自然と右に傾き、右体重にならずに頭と目を右に残すポジションを作れる。

下半身
左腰を引き上げながら回転する

下半身の回転が止まるとスイングが詰まってしまう。ダウンスイングでは左腰を斜め後ろに引き上げながら、左カカト側に体重を乗せてスムーズに回転して振り抜こう。

シャフトの“しなり返り”のタイミングが合う

上体の軸が右に傾くと、シャフトはその軸の延長線上で“しなり返る”ので、そのしなり返りの途中でインパクトできる。
重心位置が弧を描いて移動する

ダウンスイング時の重心は右から左に弧を描いて動く。切り返し後、左足の前側から左カカト側に乗っていくことで回転を
赤道の下にフェースが横から潜り込むイメージを養う

⚪︎をほんの少し下向きにセット(画像左)
丸印をフェースに向け、少しだけ下向きにセット。ここにリーディングエッジを当てようとすると、“急降下”ではなく自然と“低空飛行”のインパクトイメージが身につく。
ダウンブローは“段”ブローだ

インパクトではボールの重みとインパクトの衝撃でヘッドが地面方向に沈み込むと同時に、ボールがフェースを駆け上がる現象が起こる。これによって軌道が“段”になり、右図のようなターフが取れる。

正しいインパクトのイメージが養われる
最後に“低空飛行”のダウンブローをイメージしやすい練習方法をお教えします。
まず、ボールの赤道をイメージできるライン上にペンで直径1センチくらいの丸い印を描いてください。そしてその部分をフェース側に向け、ほんの少し下向きにセットします。あとはこの丸印にリーディングエッジを当てるイメージでスイングするだけです。
「ゴールドアングル」にヘッドを潜り込ませるイメージがわきやすいことに加え、この丸印がフェースのどこに当たるかがわかるので、結果の確認もできます。
実際に打ってみると、フェースに転写されたペンの跡がかなり上めにつくことがわかると思います。これはインパクトの衝突時にフェースがボールの重みで沈み込んでいる証拠。ヘッド軌道がインパクトで“段”になりターフが取れるイメージが体感できると思います。

Point ヘッドを台形としてイメージしてみよう

インパクト時に起こる現象は、アイアンのヘッドを薄い「板」として考えるよりも、ティーマークのような大きな「台形」の物体として考えたほうが“低空飛行”も“段”もイメージしやすい。
いかがでしたか? 低空飛行ダウンブローを意識して打ってみましょう!

レッスン=吉本 巧
●よしもと・たくみ/1980年生まれ、兵庫県出身。14歳で渡米しアマチュアとして活躍したのち、プロとなり、アメリカのミニツアーなどを転戦。現在は銀座ゴルフアカデミーでレッスンを行う。
構成=鈴木康介
写真=田中宏幸
協力=取手桜が丘GC(アコーディア・ゴルフ)