
女子プロ3人のアプローチを解説!インパクトの強さで距離感を変えるのはNG
ピンはすぐそこ。短い距離だけに確実に寄せたい状況だが、ミスしてしまう人が多い。
そこで、3人の女子プロのアプローチを手本に、マネたいポジションごとに解説します。
確実に寄せたい短い距離で失敗しないコツや、成功の秘けつを教えます!
インパクトの強さで距離感を変えるのはNG

スイングの大きさや強さはスタンス幅とリンクする。
短い距離は「狭く」構えよう(①)
20ヤード前後の短いアプローチで、まず大事なのがアドレス。私が注目するのはスタンス幅で、距離に対して幅が狭すぎると腕の運動量が増えて、手首をこねるなど手打ちの原因になってしまいます。反対に幅が広すぎるのは、体全体を使う量が多くなってしまう。バックスイングでクラブを上げすぎたら、そのぶんインパクトでブレーキをかけてしまうなどでダフリやトップのミスが起こります。
距離に合ったスタンス幅で構えることが大切ですが、アマチュアに多いのはどんな距離でもスタンス幅を変えずに打つ人。前述したように、近い場合は狭く、遠い場合は広くというように、距離に対してスタンスの広さを変えましょう。
短い距離でのスタンス幅の目安は、亀田選手のようにスタンスを完全に閉じるか(①)、靴一足分あけて立つ。体を大きく動かしすぎてしまう人に効果的で、手を動かしすぎる人は体を回転させて打つ意識を強くもってください。

打つ前にフィニッシュの位置を決めて、それを再現。
体をしっかり回して打てる(⑧)
手打ちを防ぎ、体を回転させながら打つには、先にクラブを収める終着点を決めて、そこを目指してフィニッシュをとるといいですよ(⑧)。

亀田愛里
●かめだ・あいり/1992年生まれ、静岡県出身。160cm。13歳からゴルフをはじめ、14年にプロテスト合格。20年はレギュラーツアー1試合、ステップ・アップ・ツアー7試合に出場した。紫CCすみれC所属。
「肩から先はなにもしない」が基本

手を使ってフェースを開かないほうが体を回しやすくなる(②)
短い距離のアプローチは手を使いがちですが、肩から先はなにもしない、させないのが基本。手先を使うのは基本どおりでは「うまくミートできない、寄せられない」状況のときだけ。それ以外は、基本に忠実に体を使ったシンプルなアプローチのほうが失敗しません。
これは特殊な状況でなければプロも同じです。臼井選手の②のバックスイングを見ると、体をしっかり回しています。フェースは開かず、閉じているように見えますが、これは手を使っていない証拠。フェース向きは閉じているのではなく、アドレス時(①)のフェースの向きをキープしているのです。

体の回転主体で振るとここではヘッドが体の左ではなく右側に位置する(⑦)
アマチュアの場合、バックスイングでフェースを開いてしまう人が多いですが、フェース向きが変わるとクラブの重心も変わるのでスイング軌道がブレやすくなります。フェース向きも軌道も安定させるには、体の回転に手がついてくるように動く「同調性」が大事。短い距離では、とくに注意したいポイントですね。

臼井麗香
●うすい・れいか/1998年生まれ、栃木県出身。158cm。19年はアクサレディスで6位タイ、センチュリー21レディスで4位タイ、富士通レディースで10位タイに入った。ディライトワークス所属。
インパクトゾーンが低く長くなる

手を構えた位置に戻すが腰を回しながら戻したいので少しオープンスタンスで構える(①)
淺井選手の注目ポイントはインパクト。ボールを高く上げて寄せるタイプですが、アマチュアはボールを上げようとするとインパクトでフェースを寝かせてしまい、ダフりやトップのミスが出ます。プロは高く上げようとしても、アドレス時のロフトどおりにインパクトします。これは、ウエッジはロフトが寝ているので「ミートすればロフト通りに高く上がる」とわかっているからです。

右ヒザを左ヒザに寄せるように動かして打つと右手首が伸びにくくなる(⑤)
ミート率を高めるためには、淺井選手の④のインパクト前から⑥のフォローにかけての、右手の角度が「く」の字になる手首の背屈をマネしましょう。こうすると、手首が悪さをしたり、ロフトが変わってしまうこともなく、低く長いインパクトゾーンがつくれる。右手でボールを押して打つイメージももてば、ミート率が大きく上がります。
これはアドレスの時点で右手首にしっかり角度をつけておくといいですね。インパクトでその形を再現するように手元をアドレスの位置に戻す。ただし、あくまでも体を回転するスイングのなかで戻すので、腰を回しながら打つことを忘れずに行ってください。

淺井咲希
●あさい・さき/1998年生まれ、兵庫県出身。151cm。19年のCATLadiesでツアー初優勝を果たす。20年はスタンレーレディスで2位タイ、富士通レディースで4位タイに入った。小杉CC所属。
いかがでしたか。3人の女子プロのスイングをぜひ参考にしてください。

解説=横山清人
●よこやま・きよと/1980年生まれ、熊本県出身。03年プロ転向後、陳清波に師事。現在は東京ゴルフスタジオ、フォーシーズンズゴルフガーデンなどで多くのアマチュアをレッスン。
写真=中野義昌、相田克己