
基礎の向上は冬だからこそ“インドア”で!練習方法を解説
自宅や最寄り駅に近い室内練習場“インドア”を利用するゴルファーが増えている。とくに冬は寒くもないので練習に精が出る。
そんなインドアをもっと上手に活用する「インドア利用者、必読の練習法」で、冬はもちろん、オールシーズン、効率よくスピーディにうまくなろう!
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インドアで集中練習!正しい構えと正確な飛距離を作ろう

インドア練習の最大のメリットは、景色や風などに左右されないことです。屋外のレンジやコースだと、環境や状況、ターゲットへの意識などによって、構えがどうしても崩れやすい。
「崩れたアドレス」からいいボールを打つのは難しくなってしまうのですが、アマチュアの多くはアドレスではなく「スイングが悪い」と思いがち。すると、あれこれと改善を試みて“迷宮入り”してしまうというパターンも多く見られます。

気温・気圧が一定、風がない、傾斜がない=ライが一定、ターゲットが近い
しかしインドア練習場は、夏でも冬でも、朝でも夜でも、つねに同じ環境で練習ができるうえに、足元は平ら、ライも一定、目の前にネットやスクリーンしかありません。そのため、正しいアドレスでのスイングづくりができます。
また、近ごろは弾道計測器が完備されている施設が多いので、”自分自身の飛距離を知る”練習もオススメ。「通常はこれぐらい飛ぶ」という番手ごとの飛距離をインドアでサーチしておく。基準(ニュートラル)の飛距離をきちんと知っておくと、コース上で正しい番手選びができる。ニュートラルからアレンジして、飛距離を調節するコース攻略のためのワザも身につきます。
弾道計測器も充実!

近ごろのインドア練習場のほとんどは、弾道計測器を導入している。天候や環境に左右されない一定の状況で、飛距離やスピン量など“ニュートラルな自分“のデータをとろう。
遠い目標ばかりに向きを合わせているとクロスした構えになりがち

アドレスは、基本的にはボールからのターゲットラインと平行に立つのがスタンダードとされています。ところが、コースや屋外のレンジでスイングを続けていると、遠くの目標物に対して意識が向いてくるので、無意識に体が目標物に向いてしまいがち。結果としてボールからのターゲットラインとスタンスや肩のラインがクロスしてしまい、それがミスショットの温床となります。

インドア練習は、ネットやスクリーンが近いので、目の前にあるボールとアライメントに集中することが可能。アドレスのズレをリセットしたり、正しく直すことができるのです。これをぜひ定期的に行ないたいので、あえて「インドアで練習する日」を設けてほしいくらいです。

ズレたアドレスからのスイング は、右にも左にも曲がりやすい。 これを「スイングのせい」と思う前に「アドレスのズレ」を疑う。そのズレを正すには“インドアでの練習”がオススメだ。
”オールスクエア”がアドレスの基本

スクエアなアドレスづくりには、マットの線などを大いに利用しましょう。まずは、マットの向きに沿って、スタンスの向きがスクエアになっているかどうかを確認。そこから、ヒザ・腰・肩のラインも平行に合わせていく。コースでは「足の向きは平行だけど肩の向きがクロスしている」ケース(その逆もある)など「何かが合っていて何かが間違っている」パターンが多くあります。
すべてスクエアに構え、気持ちよくスイングしたときにどんな球筋になるのかを確認することも重要。それが自分の“真の”持ち球を見つけることにもつながります。

インドアでもショット前のルーティーンを丁寧に行なうことで、ラウンドでアライメントがズレにくくなる。
スパットは「ふたつ」作るのがグッドアライメントのコツ

ボールの前だけに設定したスパットは、見方によってアライメントがズレやすい。
前後にスパットを設けることでズレにくくなり、スクエアに構えられる。
コースでもスクエアに構えるためのコツをお教えしておきます。ターゲットとボールを結んだライン上の「ボールの前後」にふたつの目印を見つけてください。ボールの「前」だけにスパットを設定する人はいるでしょうが、これだけだとラインはズレてしまいがち。前後に目印を置くことでラインがバチッと明確になります。
ふたつのスパットを結んだラインが決まったら、それに対して平行に構える。アドレスが決まったら、インドアでの練習と同様に目標方向は気にせず、スイングに集中!これをコースで実践すれば、アライメントによるミスショットはかなり減るはずです。
コースマネジメントはキャリーでジャッジする

弾道計測器は「総飛距離(トータル)」と「キャリー」が表示されます。このデータで、見てほしいのは断然「キャリー」のほう。自分が各番手でどのぐらいキャリーを出せるのかを把握しておけば「越えられるハザード 」も正しくジャッジできますし「飛んではいけないグリーン奥」に打ち込むことも回避できます。

一定の環境下で練習できるインドアで、自分の通常のキャリーを確認しておけばラウンド時には、風向きや高低差で「±5ヤードくらい」などの判断の正確性も増す。自信をもってコースマネジメントができるようになります。
自分の「エースボール」で計測できるのもインドアならでは


「自分のキャリーを知る」の応用編です。球筋によってのキャリーも把握する。ストレートを基準にすると、フェードのほうが少し飛ばず、ドローだと少しキャリーが伸びるのが一般的な傾向。これらを把握しておくと、番手間の「ビットウィーンの距離」が残ったときに、球筋での飛距離の調節ができるようになります。
また、自分が普段愛用しているコースボールで計測するのもオススメ。よりリアルなキャリーの飛距離を知ることができます。屋外レンジとは違い、拾えますからね(笑)。

ラウンド時に使用するボールで計測してみよう。ツアー系のボールにもディスタンス寄り(右)とスピン寄り(左)があるが、測ってみるとキャリーが異なる。「計測データを見ながらエースボールを決めるテストを行なうのもインドアならでは、ですね」(溝間)
打球の行方が気にならないからスイングに集中できる

ボールのゆくえは、屋外レンジよりもインドアのほうが気になりません。弾道計測器が完備されていて“弾道の軌跡”が描かれても気になりにくく、直し方や動き方など「スイングだけに集中できる」というメリットがあります。反復練習を行なうにはもってこいですね。
また、スイング動画が撮れるカメラもついていたら、必ずチェックしましょう。自分のスイングを客観的に見られるので、スイングづくりにはとても有効です。コーチに習っている場合は、事前にチェックポイントを聞いておき、それを実行できているかを確認する。何をチェックすればいいかがわからない人は、この記事を参考にしてください。
スマホのカメラでもOK!

カメラつきではないときは、スマホ撮影で代用。最近のスマホのカメラはすぐれているので、計測器と同様の撮影とチェックができる。スマホ用の三脚を購入して使うと便利!
ハーフウェイダウン時のヘッドポジションが
スイングの合否をわける

アドレス時のヒジとボールを結んだラインが「エルボーライン」
ダウンスイング、とくにハーフウェイダウン時に、ヘッドがエルボーライン上を通っているかをチェック。ここが、きれいなクラブパスを描いているかの判断基準となります。
エルボーラインからヘッドが大きく外れたスイングは、プレーンが大きくズレていることを意味し、フック・スライスが強くなりがち。
こまめに動画を確認しながら、このライン上をヘッドが通過するように練習すれば、見た目も結果もグッドなスイングになっていきますよ!

ラインよりヘッドが下
→フックしやすい

ヘッドがライン上
→ストレート

ラインよりヘッドが上
→スライスしやすい
【Drill】ボールゲートドリル

エルボーラインをヘッドが通るようにするためには「ボールゲートドリル」が有効です。打つボールの後方に、ボールをふたつ置いて、それに当たらないように打つ。
簡単なようで意外と難しいこのドリルですが、これができるようになると自然にクラブパスが整います。最初はゲートの幅を広くして、そこから少しずつ狭くしていきましょう。
アプローチも「インドアならでは」を活用して練習する

しかし、ネットまで近いインドアでは目標を気にせずスイングに集中!
振り幅、加速感、ミートに徹することが正確な距離感を出す大前提となる
インドア練習では、アプローチもたくさん練習してください。「インドアでは飛距離(キャリー)を正確に把握する」と前述しましたが、ショットだけでなくアプローチも!です。グリーンが近づいてくると安心感を覚えるのか、距離感を雑に考えてしまう。「なんとなく」では距離感を正確に出せません。

コースでは見た目の距離感で打ってしまいがち。
見た目には錯覚もあるため、これでは正確な距離感が養えない
また「スイングに集中できる」のもインドア練習のメリットといいましたが、アプローチでもターゲット方向への意識をなくし「この距離は、この振り幅で、この強さとスピードで」という基準を作ることに集中できる。アプローチ練習も、ラウンド時に使うエースボールを打つと、より距離感の精度がアップしますよ。
衝突エネルギーのMAXをスイングの最下点にもってくる

アプローチは、振り幅の大きさを左右対称にしておくのが基本。左右対称にすることでスイングの最下点に衝突エネルギーのMAXをもってこられるので、振り幅に対しての距離感がそろってきます。
自分では左右対称に振っているつもりでも、実際にはフォローよりもバックスイングのほうが大きいなど、自分のイメージしている振り幅とズレていることが多々あります。ここでもカメラが設置しやすいインドアで動画を撮ってチェックしながら練習しましょう。イメージと実際の動きのギャップを埋めていくことが上達への近道です。

衝突エネルギーのMAXがインパクトよりも先にきてしまう。
バックスイングが小さいのはその逆で、どちらも距離感が一定にならない
結果を予想するゲームで上達!

屋外レンジでは、否応なしに打球の結果が見える。結果が見えない、見えたとしても気になりにくいインドアでは、ゲーム感覚で「自分の感覚と結果を一致させていく」練習もしてみましょう。
打ってすぐに計測データを確認せず、まずは、 「こうなった」と“予想”してから確認する。ショットでもアプローチでも機器からの正確なデータと自分の感覚を近づけていく練習はとても有効です!
いかがでしたか? このレッスンを参考に、インドア練習場を活用してみてください!

レッスン=溝間祐輔
●みぞま・ゆうすけ/1990年生まれ、東京都出身。大手不動産会社勤務からゴルフインストラクターへ転身。室内練習場「BLUE WORLD GOLF STUDIO」を中心にレッスンを行なっていて、インドアでの指導や上達法はお手の物!
構成=石川大祐
写真=竹田誉之
協力=BLUE WORLD GOLF STUDIO
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