飛ばしの秘訣は捻転差?ツアー屈指の飛距離を誇る佐藤心結のスイングを解説

2024年の女子ツアーで初優勝を飾った選手を2号にわたり解説。

今回ピックアップした3選手は、かねてより優勝が期待されていた実力派たち。

竹田麗央や岩井姉妹のように年間複数優勝をあげる強者たちを破って栄誉を手にしたスイングを、じっくりと見ていこう!

シャローアタックから繰り出す
ビッグドローで飛ばすアスリートスイング

アドレス

Point
ボールは少しスタンス中央寄りにセット

一見、普通のアドレスに見えますが、ボールポジションに少し特徴があります。ややスタンスの中央寄りにセットされ、球筋を低いドロー系にしたいという意図が感じられる。

また、このボールポジションには、肩が左を向いてしまうのを防ぐ効果もあり、これもボールをしっかりつかまえるための準備といえるでしょう。

バックスイング〜トップ

Point
体幹はすでに切り返す方向に力がかかっている(画像右)

テークバックでは手元や腕の動きは少なく、下半身の体重移動から始動しているので、少し体が右サイドへスライドします。このとき、シャフトに負荷がかかるのでしなりが発生する。最近の選手には多い傾向ですが、佐藤選手もトップポジションが低いタイプです。

しかし、形だけ見てマネをしてはいけません。これはバックスイングで振り上げたクラブの勢いを、しっかりと体幹の筋力で受け止めているからコンパクトなトップになるのであって、決してパワーを抜いているわけではないのです。

切り返し〜インパクト

現在ツアーで活躍している選手のなかでも、とくにアスレチックなスイングではないでしょうか。切り返しでこれだけ骨盤が先行しても胸が閉じているので、体幹の捻転差はすさまじいです。このとき腕が体幹から外れてしまいやすいですが、背中側の筋肉でしっかりとコネクションを保っています。このコネクションがあることによって、回転の力を100%クラブに伝えることができる。

インパクト手前では軸が少し右うしろに倒れることで入射角がアッパーになりやすく、スピン量の抑えられた強い球が打ち出されます。

フォロースルー

Point
ヒザが伸び切らないことで骨盤がスムーズに回転する

左ヒザが伸びきっておらず、まだ踏み込む力にゆとりが見られます。シューズがめくれていないところを見ると、左足の内側にしっかりと体重がかかっていますが、この体勢は左股関節の可動域の広さがなせるものでしょう。

両腕は体の正面にありますが、こちらについても肩甲帯(肩まわり)の柔軟性の高さがポイントとなっています。顔を早めにターゲット方向に向けることでスムーズに回転できるようにしているのは、アマチュアも参考にできるポイントです。

いかがでしたか? 佐藤選手の顔の動きを参考にスムーズな回転を身につけてみてください。

佐藤心結

●さとう・みゆ / 2000年生まれ、神奈川県出身。161cm。22年にプロ入りし、ツアー参戦3年目。24年の前半は予選落ちも多かったが、徐々に調子を上げてスタンレーレディスホンダで初優勝。ドライビングディスタンスは12位、ツアーを代表する飛ばし屋のひとり。ニトリ所属。

解説=田中 徹

●たなか・とおる / 1988年生まれ、千葉県出身。「1兆個のドリルをもつ男」と名乗り、インスタグラムのリール(動画)が大人気。「Bull Golf」など都内でレッスンも行なっている。Bull Golf代表。

写真=ゲーリー小林
撮影トーナメント=ワールドレディス サロンパスカップ、ニチレイレディス、アース・モンダミンカップ

※選手の成績やデータは11月9日現在

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