“パター”でのアプローチのやり方!「成功」の秘けつと「寄る」テクニックとは?
グリーンまわりまでスムーズにきても、アプローチでダフリやトップをしてしまうと流れが悪くなり、スコアも崩れてしまう。そのため“パターで寄せる”を多用する人がいますが、うまく寄せられていますか? 安全・確実、大きなミスにならないはずが失敗して「これならウエッジで打てばよかった……」と後悔する。そうならないための成功の秘けつと寄るテクニックをレッスンします。
ミスの”幅“が確実に狭まる! プロでも第一の選択肢は「パターでのアプローチ」
パターでのアプローチは「カラーの近くから」だけではありません。とくに芝が枯れる冬の時季は、寄るシチュエーションが増え、手堅いプレーができる。パターでアプローチする人だけでなく、普段しない人も、ぜひトライしてください!
「ウエッジは難しいクラブ」という認識をもとう
まず、声を大にして伝えたいのが「ウエッジは難しいクラブである」ということ。じつはプロもグリーンまわりでの第一選択は「パターでいけないかな?」で、その理由は“もっともやさしい”から。しかし、ツアーのコースセッティングはとても厳しいため、ウエッジで打たないと寄らないケースが多くある。そのため、プロはウエッジの練習をたくさんしているのです。
練習量が少なく、ツアーよりもやさしいコース設定でプレーするアマチュアはというと、難しいウエッジでトライするのはかなりリスキー。パターでのアプローチが「アマチュアにとっての最適解」となることがとても多いのです。また「1本のクラブで距離感を作る」は、ラウンド数が少ない人にとっても強い武器になる。アマチュアは「パターでの寄せ」を積極的に行なうべきだと思います!
ロフト角の多いクラブはミスの“振れ幅”が大きい
ロフト角が多いウエッジは、ある程度大きく振らないといけないのでズレが出やすい。打点がズレてしまい、ダフればまったく飛ばないし、トップすればグリーンオーバーの危険もある「ミスの幅が広い」クラブなのだ。
“パターアプローチ”の3大メリット
1. ミスヒットに強い
打点・インパクトのミスに対してボールが転がる距離の“誤差”が小さい。ウエッジでのアプローチよりも、最終的にボールが止まる「想定エリア」を狭く設定できるのが最大のメリットだ。
2. 「集中力ゲージ」が減らない
ゴルフでは18ホールとおして集中力を切らさず、平常心を保つことが重要。難しいウエッジショットでは集中力の消耗が激しいが、パターならあまり緊張せず、集中力ゲージの減りを抑えられる。
3. 距離感が蓄積できる
ウエッジでの距離感づくりは、豊富な練習での積み重ねが必要。ましてや複数本を使い分けるなんて、なおのこと!“パターばかり”でアプローチしていれば、少ないラウンド数のなかでも距離感が蓄積できる。
8回以上成功するならパターでOK
「パターで寄せるのもアリかも?」と考えるケースは、花道からなど、ボールからピンまで短い芝が続く状況でしょう。そして、下の写真のようなグリーンまでの距離が長い場合が悩みどき。ウエッジで寄せる自信があればそれも選択肢としていいですが、成功の確率を考えればパターでのアプローチに軍配が上がります。
その判断基準として、10回打って「何回成功するか」を自分に問うてみてください。私は「8回以上成功しないショットや番手は選択すべきではない」と思っています。ラウンドでのショットはつねに“1発勝負”。「最高の1打」が出ることを想定するのではなく、あくまで重視すべきは「確率」なのです。
アプローチの成功=ワンピン以内に寄ること
アプローチの成功を「“オッケー”まで寄せる」とするとハードルとリスクが高くなり、集中力ゲージの減りも早くなる。ワンパット圏内の3メートル以内によれば合格、ワンピン以内に寄ったら最高だと思って打とう。
じつは、こんな場面でもパターでのアプローチは有効だ!
固定観念を捨て「転がる可能性」を探す
パターでのアプローチは、上のようなシチュエーションでもトライしてください。極論をいえば「どうやったってボールが転がらない状況」でなければパターでアプローチできる可能性はあるのです。
「ラフからはロフト角が多いクラブ」「砲台グリーンはボールを高く打ち上げる」「バンカーからはエクスプロージョンショット」で打たなければならない、と思うのは悪い固定観念。ルール上、パターで打ってはいけない場所はありません。先入観を捨てて「何がもっとも成功確率が高いショットか」を考えれば、おのずと「パターで転がす」という選択肢が見えてくるはず。
もちろんこのときも「ペタピンに寄せよう」という考えは禁物。次をワンパットで入れられる可能性を残す位置までもっていければOKとしましょう。次は、パターでのアプローチを高確率で成功へと導く「距離感の出し方」を紹介します。
距離感の経験値をパターに集約する
パターでのアプローチをワンピン以内に寄せていくポイントは、いわずもがな「いかに距離感を出せるか」です。裏を返せば「距離感だけつかめれば簡単にカップまで寄せられる」ともいえます。パターで転がしながらの距離感合わせで大事なのは「ボールがグリーン面に入るときにどのぐらいのスピードになっていればカップに寄りそうか」と「グリーン手前のライでの減速を考慮するとインパクト時の初速はこれぐらい出す」、このふたつを、芝の向きや長さを確認しながらイメージすることです。
簡単にいえば、グリーンの外側と内側を分けて考える必要があるということ。「距離感」はゴルフのスキルのなかでも経験に頼る部分がもっとも大きいもののひとつなので、最初は簡単ではないと思います。ですが、それはほかのクラブでも同じ。さまざまなクラブでアプローチすれば、そのぶんだけ経験値は分散しますが、距離感の経験値をパターにできるかぎり集約することで「急がば回れ」的にアプローチがピンに寄ってくる回数が増えていくはずです。
そして、寄るテクニックとして必ず行なってほしいのが“素振り”です。次で紹介するステップ1、2の素振りを実践して「パターアプローチの名人」になってください。
STEP 1 “ピンを見ながら”素振り
ライを確認したら、まずは“ピンを見ながら”素振りをし、ボールが転がっていく様子をしっかりと映像化する。このとき、クラブの振り幅はあまり考えなくて大丈夫。なんとなく「こんな感じかなあ」とパターを振りながら、ボールが転がりはじめてから止まるまでのスピードをイメージする。この作業をしておけば、想定外にショートやオーバーしたときも次につながるフィードバックを得ることができる。
ボールの「初速」と「終速(止まる様子)」を明確にイメージする。
STEP 2 “ボールを見ながら”素振り
次はボールを見ながらの素振り。STEP1でイメージした初速とパターの振り幅をマッチさせていく。ここでもし違和感がある場合は、STEP1に戻ってイメージを作り直そう。STEP1、2のイメージが一致したら、そのイメージが消えないうちにストローク。アドレスしたらなるべく早めに打つのもポイントだ。
[ 応用編 ]ターゲットまでの距離が長いとき
打つ距離が長いときには、スタンスを少しオープンにする。ヘッドが振り抜きやすくなるのでスピードを上げて打てる。
いかがでしたか? パターでのアプローチをマスターして、アプローチを成功させましょう!
レッスン=生見和己
●ぬくみ・かずき/1998年生まれ、東京都出身。名門・明徳義塾高校ゴルフ部を卒業後、ゴルフ場で研修生として腕を磨く。22年からレッスン活動を開始。現在はツアープロコーチの石井忍が主宰する「エースゴルフクラブ 西神田校」にてレッスンを行なう。レギュラーツアーでキャディを務めることもあり、コースマネジメントについても造詣が深い。
構成=石川大祐 写真=竹田誉之
協力=取手桜が丘ゴルフクラブ