タケ小山のオレにいわせろ!パーの合計数が3ツアーとも違ったナショナルオープン
ハローエブリバディ! 大好きな曲のひとつに梅沢富美男さんの「夢芝居」があるが、作詞・作曲は小椋佳さんと、巨匠のお二人が作り上げた名曲。メロディーも最高だが、歌詞の〝誰の筋書き花舞台〞〝化粧衣装の花舞台〞、そしてサビの〝恋は何時でも初舞台〞とゴルフのある試合を想像させるから不思議だ。
パーの合計数が3ツアーとも違ったナショナルオープン≫出場選手のための舞台として観戦できたかな?
今年も無事に終了した我が国のナショナルオープンの3試合。千葉CC・川間では日本シニアオープン、大利根CC・西コースでは日本女子オープン、そして、日本のゴルフ史を語るうえでは絶対に外せない名門・東京ゴルフ倶楽部での日本オープン。そう今月のテーマはナショナルオープンの〝舞台〞だ。
「誰の筋書き花舞台」男子、女子、シニアと使用する舞台(コース)の選定には、距離が大きく関わってくる。ナショナルオープンで比較すると、男子は7500ヤード前後(今年の東京GC、7251ヤード・パー70)、シニアで6900ヤード前後(今年の千葉CC・川間、6811ヤード・パー71)、女子で6800ヤード前後(今年の大利根CC・西、6845ヤード・パー72)。
総距離は年々伸びる傾向にあるが、距離の調整ができないコースの場合、基準打数のパーで調整する。今年はすべての舞台でパーが70、71、72と違ったのも珍しい。しかし、読者のみなさんが開催コースに行っても同じ距離、同じパーでプレーできるわけではない。
とくにシニアの開場、千葉CC・川間は、27ホールを有するゴルフ場で、その27ホールから18ホールを選出して作り出す〝コンポジット〞形式の舞台設定だ。コース選定委員とコースセッティング委員の意図を読みとるのも、ゴルフを観戦する醍醐味だ。ただし、オリジナルの設計者の意図を踏みにじるセッティングは興醒め。
パー5に置かれるグリーンサイズは第3打、2オン狙いの難度を上げるために小さいサイズが多い。距離を伸ばすことができないために、パー5からパー4にするケースが多くみられるが、その場合、距離のあるパー4に小さなグリーンがあるとホール難度が極端に上がる。それは設計者の意図ではなく、見る側も興醒めだ。
誰のために筋書きを書き、選手、ファンの花舞台にするか? 今後はその点も興味をもって観戦してもらいたい。「化粧舞台の花舞台」また、トーナメント仕様に仕上げられるコース。ティー、フェアウェイ、ラフ、カラー、グリーン刈高からはじまり、バンカーの砂の深さ、種類、均し方、フェアウェイ、グリーンの硬さなど、コース内すべてにおいてスペックシート(コース基準準備表)に従って作り上げていく。
短く刈りこまれた芝生は美しい。ちなみに英語では〝manicure〞、そう爪に塗るマニュキュアと同じ表現。毎年コースが変わり、セッティングも変わるナショナルオープンは、最後のサビ「恋は何時でも初舞台」の〝恋〞をナショナルオープンと変えていただくとよろしいかと思うがいかがだろうか。
タケ小山
●小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ、東京都出身。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)、ラジオ「Gr e e n J a c k e t 」(InterFM897)ほか、多数メディアで活躍。
イラスト=北沢夕芸