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ゴルフ界でのプロフェッショナル 日本の就職先はアメリカと比べてごくわずか!

アメリカは全米プロゴルフ協会員として、支配人やコーチ、クラブ・コース設計家になるシステムがあるのに、日本は「ツアープロになれなかったらその道に……」という流れ。しかも、選手としてのプロになる道も厳しい!

ゴルフ界でのプロフェッショナル 日本の就職先はアメリカと比べてごくわずか!

ハローエブリバディ!街を歩くと同じスーツに身を包んだ若者たち。そう就活をスタートさせている学生たちだ。大学1、2年生時には一般教養、3年生になったら自分の就活を見据えてのゼミ選択、専門知識を叩き込む4年時にはOG・OB訪問、企業研究、エントリーシートを作成、筆記試験、面接と駒を進める。そして、現在ならではのインターンシップ制度で入社前に自らが希望する企業へ赴き指導を受けるというのが今のスタンダードではないだろうか。しかし、プロゴルフの世界では、社会一般常識とはかけ離れた世界が存在する。

プロゴルフへの就活は、この世界だけの形がある。まずは、どんなプロになりたいのか。ツアーで賞金を稼ぐプロなのか、レッスンをして生計を立てていくプロになりたいのか、現在の日本にはほぼこのふたつの選択肢しか存在しないが、プロゴルフ大国の米国には、プロとして生活していく多くの職種が存在している。たとえば、支配人、グリーンキーパー、高校・大学のコーチ、ゴルフクラブ専門家、コース設計者、私のようなゴルフ解説者やメディアで働く人なども、全米プロゴルフ協会員にはなれるシステムが構築されている。

少し話が脱線したが、我が国、日本のプロ就職事情を掘り下げれば、ひと昔前は研修生制度というモノが存在した。まさにあのリクルートスーツに身を包んだ大学生たちのインターンシップと同じ制度だ。ゴルフ場のすべてを学び、技術を研鑽し、プロへの就職を達成していくというモノ。でも、じつは研修生で落第した人のほうが圧倒的に多い。一般の就活でインターンシップまで行けばほぼ就職は確定。よほどのことがなければ落とされることはない。だが、ゴルフの場合の研修生、いわゆるインターンシップは、ここがスタートラインとなる厳しい世界だ。

日本においてツアーへ就職するには、男女異なった方法になる。男子はいたって簡単で予選会へエントリーし、最終予選を上位で通過すれば来季のツアーへ参戦できる。女子はまずは日本女子プロゴルフ協会への入会が先になるという点では、一般社会の就活と同じだろう。ただ、毎年20名のみが就職できるという人数の壁が存在する日本の女子プロ界は世界でも稀有な存在。そして、予選会で上位フィニッシュと道のりは長い。

一見、華やかな世界だが、やっぱりプロの世界は厳しい世界。もちろん!大学生が一生の仕事を見つけ、社会に飛び出すことも厳しい世界が待っているはず。自らの希望をもって社会へ飛び出してほしい。

最後に、23年の久常涼選手、24年の星野陸也選手のDPツアーから米ツアーへの見事な転職は企業でいう〝ヘッドハンティング〞。一流選手を引き抜く企業努力の米ツアーと両選手には「あっぱれ!」だ。日本女子プロの鎖国感は、やっぱり悲しい国際感覚ですな。

タケ小山
●小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ、東京都出身。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)、ラジオ「Green Jacket」(InterFM897)ほか、多数メディアで活躍。

イラスト=北沢夕芸

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