ルーキー・菅楓華の課題とは?「強気のパットで…」とコメント

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。

どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

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「ショットは得意です」

来季シード入り最後まであきらめません!

女子ゴルフ史上はじめて、その模様がライブ配信で公開された昨年の最終プロテスト。そこで見事合格し、翌年のツアー出場権がかかる予選会を5位で終え、開幕からJLPGAツアー参戦のはずだった菅楓華。しかし、スコアに誤記があったため予選会順位は104位に降格。プロ1年目は下部ツアーからのスタートとなった。

しかし、推薦で出場した3月のVポイント×ENEOSで、7位タイに入るなどの活躍でランキングの順位を上げ、現在は最注目ルーキーといえるまで成長している。

──まずは、初メジャー(9月のソニー 日本女子プロ選手権)お疲れさまでした。

:ありがとうございます。アマチュアのときに女子オープンに出たことはあるのですが、プロとしてはじめてのメジャーはやっぱりうれしいです。予選通過はできませんでしたが、攻めきった結果なので悔いはありません。

──プロ1年目、ここまでいかがですか?

:開幕後、まずは下部ツアーで1勝を目標にしていましたが、推薦で出れたレギュラーツアーでポイントがとれたおかげで、こちらの出場がメインになってきました。ツアーの雰囲気にもようやく慣れてきて、ティーオフのとき名前をコールされても、もう緊張はしなくなりましたね。はじめは今までやってきたことが、うまくプレーに出せるのか不安がありましたが、一緒にまわるプロキャディさんにたくさん勉強させていただいて、毎回楽しくラウンドしています。

──では、今季の目標は上方修正?

:はい。今はシード権獲得を目標にガンバっています。それと、早く最終組で回ってみたいです。

──レギュラーツアーになるとスケジュールがかなりタイトになりますね?

:そうですね。転戦中はホテル暮らしが続くので、自宅(宮崎)に帰るのが2カ月ぶりとか……。でも苦にはならないです。

──現在「できている部分」と「まだまだ磨かねばならない部分」はどんなところですか?

:体力面は大丈夫かなと。磨かなければいけないのはパットです。

──ショット面は素晴らしいですよね?

:ショットは得意です。そのなかでも9番アイアンが武器ですね。緊張しているときでもナイスショットが打てているので。

──ドライバーは今240ヤードくらい?もっと飛ばせそうですが?

:本当は(パー5で)2オンを狙いたいんですけど、飛距離を伸ばすのは今じゃないかなって。そこは次のオフの強化ポイントかもしれません。

──課題のパットはどのように磨いていきます?

:じつは最近、少しずつパットがよくなりつつあるんですよ。

──どのような練習を?

:考え方を変えてみました。今までは「ピンから2メートル」がバーディチャンスと思っていたのを「5メートルまでチャンス」と思えるようになったことで、これまでより強気で打てるようになってきたんです。

──意識の部分が大事?

:そうです。バーディをとるためには、ピンを真っすぐ狙う完璧なショットが必要なんだって考えていましたが、それをやめてみました。完璧じゃなくてもピン横5メートルについたら、それもバーディチャンスなんだ。こう思うようにしてみたんです。

─ すごい意識改革ですね。菅選手が考えた?

:いえ、じつはキャディさんからアドバイスをいただきました。やってみたらこれがハマって、今までより気持ちに余裕をもってプレーできています。

「誰からも応援されるような選手になりたい」

考え方を変えてみたら少しずつパットがよくなってきたんです

──来季以降の目標は?

:3年以内にリコーカップ(地元宮崎開催で出場選手が限定されるツアー最終戦)に出たいです!

──3年以内って、ずいぶん謙虚な目標ですね。

:いつもこんな感じです。以前、優勝を意識しすぎて全然ゴルフにならなかったことがありました。まずは目の前の達成できる目標を立てて、それを達成できたらまた次……。それを続けていこうって思っています。

──目標とする選手は今も同じですか?

:変わっていないです。山下(美夢有)選手と櫻井(心那)選手。どこからでも入れてくる強気のパット、気持ちも強いんだなあって。オーバーしても返しに自信があるから、あんなに強く打てるんですよね。私もそんなふうに打てるようになりたいです。

──将来どんなゴルファーになりたいですか?

:誰からも応援される選手、そして安定した成績を出し続けられる選手になりたいです。レギュラーツアーに出るようになって感じたのは、ずっと安定して活躍されている選手は、みんな体が大きい。これがけっこう大事なんだと思いました。そんなベテランの方たちを見ていると、私たちが気を抜くわけにはいかないって強く思います。

──菅選手もツアーでは背が高い(167センチ)ほうですよね。最後に菅楓華にとって「ゴルフ」とは?

:人生の楽しみですね。もちろんうまくいかないときもあります。でも、あきらめたって思うのはいやだから絶対にやめないです。ゴルフのない人生は考えられないし、やっぱり好きだから。

菅楓華は、いわゆる「もっている」選手だ。

話を聞いたその週末の大会、彼女は2日目に首位に立った。そして目標の選手である山下美夢有と、もうひとつ目標にしていた最終組で優勝争いをすることになる。8番ホールの2.5メートルのバーディパットは「山下選手の前で弱気は見せない」と、きっと心に決めていたのだろう。カップの向こう淵に強く当たったボールは少し跳ねて沈んだ。それはまるで、山下の打つ「強気のパット」そのものだった。

いつも感情をあまり表に出さない彼女だが、この瞬間は心のなかでガッツポーズをしたように見えた。3年以内にチャンピオンシップの大会への「出場」が目標といった菅楓華。強気のパットを自分のものにしたとき、すぐにその目標を「優勝」に置き変えるだろう。

いかがでしたか? 今後も菅選手の活躍に期待が高まります。

菅 楓華
●すが・ふうか/2005年生まれ、宮崎県出身。2023年にプロテスト合格(96期生)。推薦出場のJLPGAツアーで確実にポイントを積み重ねて、6月以降ほぼすべての試合に出場中。得意なクラブは9番アイアン、そのショット力で今季のシード権獲得を狙う。ニトリ所属。

文=ひよこきんぎょ
写真=小林 司
撮影トーナメント=NEC軽井沢72

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