FW・UTが飛ばない原因は振り遅れ!シャフトをしならせて飛ばす方法とは?
FW・UT のような「地面の上のボール」を「長いクラブ」で飛ばせない大きな原因は“振り遅れ”!振り遅れを防ぐ一番の解決法は「グリップをしっかり握ること」と奥嶋誠昭コーチ。
理想的な入射角や軌道など「しっかりグリップ」がもたらす“効能”についてレッスンする。
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なぜFW・UTは振り遅れやすいのか?
クラブはヘッド側に重量が寄っているため、切り返しでヘッドがトップの位置にとどまろうとする力(=慣性)が働きます。このまま体が回転してしまうとヘッドがグリップよりも遅れて動いてくるため振り遅れが発生。FWやUTはアイアンよりも長いので、グリップとヘッドの動きの差がより大きくなる。その差が大きいぶん、振り遅れた際のミスの度合いも大きくなってしまうのです。
FWやUTはクラブ自体が長いぶん、振り遅れたときのヘッドの開きが大きくなる。このまま打てばフケ球のスライスになり、無理にインパクトで手首を返すと、どチーピンが出る可能性もある
グリップを終始「しっかり握る」&「右手で押す意識」で厚いインパクトに
長いクラブで振り遅れないためには、ある程度グリップを“しっかり握る”ことがポイントです。しっかり握ることでスイング時のグリップの動きとヘッドの動きのズレが小さくなり、フェースもスクエアな向きでインパクトを迎えやすくなります。
また、巷では「スイングは左手主体でクラブを引っ張る」という教えを耳にしますが、左手を引っ張りすぎると手首のタメがキツくなり、これも振り遅れの原因のひとつ。
振り遅れず、両腕の動きにしっかりとリンクさせてクラブを下ろすためには「右手」の意識が重要!右の手の平で少し“押し込んでいく”ようなイメージでちょうどいいでしょう。
しっかりグリップで手首をロックタメを作らず振り切る
強いインパクトを得るためには、クラブにかかる遠心力を最大限に利用する必要があります。遠心力は円の半径が大きければ大きいほど強くなるので、いわゆる“タメ”はいりません。クラブや腕をできるだけ遠くの位置に保ったままスイングしてください。
この「円弧」の長さを保つためにも「グリップをしっかり握る」意味があります。グリッププレッシャーが弱く、ヘッドの慣性に負けて手首が折れてしまうと、ヘッドと体の距離が近くなる。すると、スイングの円弧の半径が小さくなり、結果的に振り遅れ、インパクトでボールに十分なパワーが与えられません。
最初からグリップをしっかり握っておけば、切り返しでグリップの動きに連動させてヘッドを下ろしてくることができる。このポイントひとつだけで、アドレスで作った腕とクラブの長さをキープしたままダウンスイングからフォローまで振り切れます。
シャフトの性能を最大限に活かす
最大効率のインパクトを迎えるためには、クラブの性能を最大限に活かしてあげることが重要です。しかし、これができていないアマチュアがとても多い。とくに、シャフトの性能を活かせていない人が多いですね。
その原因もグリッププレッシャーにあります。グリップがゆるゆるだと、切り返しからインパクトにかけてシャフトをしならせる「支点」がなくなり、シャフトに負荷をかけることができない。あらかじめグリップをしっかりと握っておけば、シャフトへかかるテンションが強くなり、適度なしなりが発生。シャフト性能を十分に引き出すことができるようになるのです。
ダイナミックロフトの維持が安定性を生み出す
飛びの要素である打ち出し角を確保・安定させるためには、インパクト時のロフト角(ダイナミックロフト)をつねに一定にする必要があります。グリップがゆるゆるだとフェース面が動きやすく、ダイナミックロフトが安定しません。ディロフト方向(ロフトが減る方向)にフェースが動いてしまうと、打ち出し角が低くなり飛距離も落ちてしまいます。
グリップをしっかりと握り、アドレスで構えたロフト角をずっと維持したままバックスイング。ダウンスイングでも意識的なフェースローテーションは入れずに振り切りましょう。こうすることでフェースの上下方向への動きはもちろんのこと、開く・閉じるといった左右方向への動きも抑えることができる。方向性も安定するので「飛んで曲がらない球」が打てます。
Check Point シャフトが動きすぎると「コントロール不能」に陥る⁉
前述したように、グリップをしっかり握るとシャフトへの負荷は自然と大きくなるため、シャフト挙動が大きいと、その負荷に耐えられず、コントロールできない動きをしてしまうことがあります。だからFW・UT用のシャフトは「あまり動かない系」がオススメ。
動きすぎないシャフトに負荷をかけ、適度なしなりを引き出すのがナイスショットの確率を上げます
入射角をゆるやかにすれば打ち出しとスピンが適正になる
ロフト角を維持したまま、ゆるやかな入射角でボールをヒットすると打ち出しがしっかりと確保できることに加えて、スピンも多すぎず少なすぎずの適正量で打てます。FW・UTはアイアンよりもロフトが立っているぶんスピン量が不足しがち。スピン量が少ないと、ボールがドロップして十分なキャリーをかせげません。
FW・UTはこのように、入射角とダイナミックロフトをもっともデリケートにそろえていくことで飛躍的に上達できるクラブなのです。
ボールが高く上がりすぎる人は、インパクトで手首がフリップしすぎてダイナミックロフトが過度についている可能性が高い(×)。フリップの原因もグリップがゆるいせいである場合が多い
重心の動きをパスと打ち出し角に近づける
インパクト効率を上げる条件として、ヘッドが描くパスとヘッドの重心が動くパスを一致させるというものがあります。簡単にいえば、イン・トゥ・イン軌道でインパクトの瞬間に重心がヘッドを押してくれている状態です。この重心の「押し」がボールに圧力を加え、それが初速へと転換されます。
またFW・UTの場合は、上下の重心の動き(写真上)にも着目してください。打ち出し角と重心の動きに差がない(=入射角がゆるやかである)ほど、重心がボールに与えるエネルギーが大きくなり、インパクト効率の向上につながります。平面の動きと上下の動きの両方でボールを押し込んでいくことが、FW・UTの飛距離アップには欠かせない要素なのです。
ヘッドの動き(白矢印)とボールの打ち出し方向(黒矢印)を一致させると、重心がボールを「追いかける」ような動きになり、エネルギー効率が上がる。スピン量も適度に減り、弾道に強さが出てくるので飛びにつながる
「ヘッドを左に振る」ことが重心の“押し”を生む
インパクト以降、ヘッドの重心がボールを押していくためには、ヘッドをしっかりとインサイドに振り抜いていく必要があります。アマチュアは方向性を気にするあまり、ヘッドを飛球線方向に出そうとする傾向がありますが、これがインパクト効率を下げる原因。
また、ヘッド重心がパスから外れるとフェースの動きが不安定になるため、方向性にも悪影響が出るのです。怖がらず、胸の回転に連動させながら左サイドへしっかり振り抜くことで、飛距離アップと方向性の安定が両立できます。
入射角が鋭角(白矢印)になり、ボールが打ち出される角度(黒矢印)との差が大きくなると、エネルギーが伝わりづらくなる(×)。ヘッドの加速、重心の動き、どれについても「ゆるやかな入射角」が重要なポイントになるのだ
「しっかりグリップ」で飛ばす準備は完了!
Drill1:ヒザ立ち打ち
「ヒザ立ち打ちドリル」は、地面とクラブの距離が近くなるため、少しでもヘッドが垂れるとボールの手前をダフってしまいます。正しくクリーンにヒットするために、まずはしっかりグリップを握る。そこから胸の回転で打っていくのが正しい動き。
しっかりグリップの目的は、振り遅れを防いでゆるやかな入射角と安定したダイナミックロフトを維持すること。それができていないとミスが顕著に出るドリルなので「しっかりグリップからの正しい動きができているか」のセルフチェックにも最適です。
Drill2:右手1本打ち
「右手1本打ちドリル」は、ヘッドを振り遅れさせずにしっかりと胸の回転と連動させる感覚をつかむのに有効です。右手1本だと腕にかかる負荷が上がるので、グリップをしっかり握る意識づけにもなります。
アドレスでしっかりとグリップを握ったらバックスイングからフィニッシュまで、グリッププレッシャーはずっと維持したままヘッドの慣性に負けないように押し込んでいくイメージが◎。片手打ちだとオフセンターヒット時にフェースがブレやすくなりますが、ブレないように打つことで「芯でヒットする」練習にもなります。
いかがでしたか? しっかりグリップで飛距離アップを目指しましょう!
レッスン=奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ、神奈川県出身。最先端のスイング・弾道解析器を使い、その研究成果をツアープロやアマチュアにフィードバックするレッスンが好評の人気コーチ。「THE REAL SWING GOLF STUDIO」主宰。
構成=石川大祐
写真=相田克己
協力=日神グループ 平川CC
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