岩井明愛の理想的なトップとは?曲げずに大きく飛ばせるカタチの作り方
「連続写真を見るのが大好き」という市原建彦は、とくに〝フェースの向き〞をチェックしてスイングを研究し、レッスンにも活用しているという。「フェース向きにはスイングと球筋がよくなるヒントが隠されています。それをマネることで上達を目指しましょう!」(市原)
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鶴岡果恋
「フェースの向きが抜群にいい!」と市原が高評価した鶴岡のスイング。チェックした4 つのポジションは理想中の理想。「球筋はドローですが、フェース向きを見ると精度の高いドローを打っているのがわかります」(市原)
鶴岡果恋
トップのフェース向きと「左手甲の向きと一緒」がスクエア
はじめに、お手本となる例となるスイングは女子プロにしました。男子プロだとパワーがあるため、力と技でフェース向きを操作できてしまいますが、これは一般アマチュアにとっては難しいからです。フェース向きのチェックポイント1は「トップ」です。バックスイングの軌道はプロもさまざまなプレーンを通りますが、トップではフェースと左手甲の向きを同じにするが理想で、これがスクエアな向きになります。
トップでスクエアにする意味は、ダウンスイングからインパクトにかけてシンプル、スムーズに振り下ろせるから。オンプレーンから外れない、インパクトでフェース向きをズラさない大切な準備になります。
スクエアフェース(オンプレーン)
後方から見て、フェースと左手甲が同じ向きになっているのがトップでのスクエアフェース。複雑な動きをせずにインパクトまで振れるのが利点
シャットフェース(レイドオフ)
フェースが上を向くのがシャット(クローズ)の向き。シャフトの向きはレイドオフになりやすく、パワーを引き出しにくくなるのがデメリット
オープンフェース(シャフトクロス)
フェースが正面を向くのがオープンの向き。シャフトクロスになりやすいのでオーバースイングになることも。切り返すのに苦労してしまう
オープンは「フェースを開いてから閉じて構える」で直す!
アマチュアに多いオープンフェース&シャフトクロスは、写真のようにトップで左手首が甲側に折れて起こります。これは左手甲が折れにくいウィークグリップで修正。アドレスでフェースを開いた状態でクラブを握り、フェースをスクエアに戻す。グリップに少し違和感があるもしれませんが、これがもっとも簡単な修正法です。
ウィークグリップにすることで左手首が甲に折れにくくなる。フェースがシャットでレイドオフ気味のトップになっても、矯正中はこの形でOK
岩井明愛
ハーフウェイバックのフェース向きは少しオープンだが、トップは左手甲と同じ向きになっていてシャフトの向きもパーフェクト! 曲げずに大きく飛ばせるベストなトップだ
岩井明愛
ハーフウェイダウンのフェース向き「前傾角度と同じ」がトッププロの共通点
理想のフェース向きや軌道で振り下ろすには「トップでのフェース向きをスクエアにする」と前述しましたが、トッププロでもスクエアになっていない選手がいます。しかし、腰から腰までの範囲のフェース向きは全選手同じです。この範囲はトッププロでも向きを大きくコントロールできないゾーン。そのため、ハーフウェイダウンでは必ず「前傾角度とフェース向きが平行になる」スクエアな状態にしています。
これは、トップでのスクエアに加えて、ハーフウェイダウンでいったん止まり、フェース向きを目視でチェック。「前傾と平行なこの角度にする!」という意識を強くもってください。
鈴木 愛
前傾角度のキープに定評のある鈴木。ハーフウェイダウンのフェース向きは、見事に背骨の角度と平行。ハーフウェイバックでも平行なので再現性が非常に高い
鈴木 愛
桑木志帆
「インパクトゾーンからフォローで、上体が右に倒れるやや変則スイングですが、さすがは今季2勝。腰から腰の範囲のフェース向きは完璧です」(市原)
桑木志帆
フォローのフェース向き➊上を向くは× 左(背中側)を向くが○
腰から腰の範囲のフェース向きは全選手共通」のフォローサイドを詳しく説明します。フォローのシャフトが地面と平行になる位置では「ヘッドは100%返している」。これは、球をつかまえて打つだけでなく、クラブをリリースしてパワーの出力を上げた結果でもあります。
打球のつかまりすぎを抑えるためにヘッドを真っすぐ目標に出し、フェースを上に向けた状態で振ろうとしても、それはイメージとしてのみ。フェードヒッターでも、左に飛ぶのを嫌がるハードヒッターでも、ご多分に漏れずハーフウェイフォローでのフェース向きは「左(背中側)に向ける」になっています。
フェードでもドローでも、インに振ってもアウトに振ってもハーフウェイフォローでのフェース向きは左(背中)側
何かを矯正するためにはフェースを上に向け振ってもいいが、スイングがよくなると右方向に飛ばない球が出てしまう
笹生優花
米女子ツアーのスタッツで約270ヤードも飛ばしている笹生のハーフウェイフォローでのフェース向きも完全に左(背中側)。体と腕、クラブの同調性が高いため、フェースを返して打っても曲がらない
笹生優花
フォローのフェース向き❷「返す度合い」&「ヘッドの高さ」で球筋を習得
連続写真はアドレスからフィニッシュまで並んでいますが、僕は逆から見ていくのが好きです。理由は、フォローを見ると球筋がわかる。その球筋を打つためにこの動きをしているのだと、逆再生で見るとスイング分析がしやすくなるのです。
フォローでチェックするのは、クラブが肩口から出てくるあたり。このポジションでのフェース向きとヘッドの位置と高さを見ると、ストレート、フェード、ドローの球筋が判断できますが、その形を作るためにはその前のコマ、前の前のコマと逆再生で見ていくと、どんな軌道や動きで振っていけば意図した球筋が打てるのかがわかります。
これは、球筋を変えたい、持ち球のレベルを上げたいという人に役立つ見方とマネ方。フェースを返す度合いとヘッドの位置と高さを参考にしてください。
原 英莉花
球筋はほぼストレート。スクエアなフェース向きをキープしつつ、インパクト後はヘッドを返し、インサイド・インの軌道で振り抜いている
原 英莉花
渡邉彩香
ストレートな球筋のフォローよりもフェースを返す度合いが少なく、アウトサイド・イン気味の軌道なのでヘッドは左の低い位置に抜けていく
渡邉彩香
櫻井心那
インサイド・アウト軌道なので、ストレートやフェードよりもヘッドが右側の高い位置に抜けていく。フェースの返し方も一番大きい
櫻井心那
フォローの位置を決めて球筋を打ち分ける
フォローでヘッドを振り抜く高さと位置を事前に決めて、そこを目指して振っていくと軌道にも変化が現れる。ヘッドを左の低い位置へ振り抜くとアウトサイド・イン軌道になりフェード。高く右寄りに振り抜くとインサイド・アウト軌道でドローが打てる。フェースを返す度合いも軌道とリンクし、アウトに振り抜くとフェースの返りも自然に大きくなる
いかがでしたか? プロの連続写真と解説を参考にして、練習をしてみてください!
レッスン=市原建彦
●いちはら・たつひこ/1978年生まれ、神奈川県出身。1996年世界ジュニアゴルフ選手権優勝。2006年アサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアル優勝で国内レギュラーツアー1勝。現在はミニツアーの開催やメディアでの試打解説やレッスンで活躍中。
写真=田中宏幸、ゲーリー小林、田中安啓、相田克己
協力=エースゴルフクラブ 千葉
撮影トーナメント=パナソニックオープンレディス、ワールドレディスサロンパスカップ