左足上がりは「傾斜なり」に立ってうつのはNG…!? 最新のライ別打ち方を解説
クラブの進化に伴い「ライへの対応の仕方も令和になった頃から変化してきた」と話すのは理論派コーチの山形陵馬プロ。
今回のレッスンではラフに対して、今どきのクラブの機能や特徴を活かした打ち方を、山形プロが解説します。
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低重心のUTなら出球が楽に高く上がる!
ラフからのショットはボールが沈んでいても、短いアイアンなら脱出しやすい。問題は長いクラブで打つときで、ロングアイアンでは球が高く上がらず、狙った飛距離が出しにくいので、以前は「短いアイアンでレイアップか、フライヤーさせれば届くかも」という2択で打っていました。
しかし、最近のクラブの“低重心化”は、アイアンもですがウッド系に入るUT(ユーティリティ)は、かなり重心が下がっていて球が上がりやすくなっています。そのため、5、6番アイアンで打つラフなら、UTを使うことをオススメします。インパクト直後の打ち出しが高く上がるので、飛距離をきちんと出せますよ。
クラブの進化に合わせて「平成式」からアップデートしよう!
インパクトまで芝になるべく触れない、打ち出し角を上げるために打ち込んでヒットするのがセオリーだったが、パワーがないと出球が低くなってキャリー不足でショートしてしまう。
アイアンよりもロフトが立ったUTでも、出球はUTのほうが高くなりやすい。「最近のアイアンはストロングロフトになっているので、ラフからロングアイアンを打つのはますます難しくなりました」(山形)
5、6番アイアンよりも飛距離が出るUTしかもっていなくても 、ロフト角が24度前後なら短く持ってコンパクトに振れば飛距離も合わせられる。
アイアンも低重心化レベルブローで確実にミート
クロスバンカーやベアグラウンドなど、砂や地面に極力触れずにボールだけをヒットして飛ばしたいライは打ち込まず、ゆるやかな入射角で払い打つのが令和式。これもアイアンの低重心化によるメリットで、多少トップめでもボールが高く上がってくれます。
ゆるやかな入射角でヘッドを低く動かすと、ボールよりも先に地面に触れてしまいそうですが、右腕の長さに気をつければ大丈夫!右ヒジの角度を120度以内にしてインパクトしてください。
「芯が広がりましたが、とくに下めヒットのトップめでも球が上がりやすくなったことで打ち方が変わりました」(山形)
球位置を右に寄せて鋭角にヘッドを入れる。砂に触れず、ボールを直接ヒットするためのセオリーだが、点でとらえるインパクトは少しズレてしまうと大ダフリやトップが出やすいデメリットもある。
トップでたたんだ右ヒジを右ワキ腹につけるように振り下ろしてインパクトすると、ボールを直接、真横から打てる。
右ヒジが伸びるとヘッドがボールの手前に落ちてしまう。
傾斜での左足上がりは斜面に逆らう垂直軸のほうが飛距離が合う!
クラブの低重心化によるメリットが、ときにはデメリットになることも。これまでのセオリーだった「傾斜なりに立つ」は、左足上がりの場合、打球が高く上がりすぎて飛ばなくなる。この現象は斜度がきつくなるほど顕著に起こります。
そこで左足上がりだけは、重力の方向どおりの「垂直軸」で立って打つ。ヘッド軌道も傾斜なりのアッパーではなく、傾斜に逆う軌道でOK。ボールの左側が高いのでヘッドが抜けずに突っかかりそうですが、地面を削っても積極的に左に振り抜いていけば抵抗も減速も緩和できます。そのためにスタンスは、体を左に回しやすい“ややオープン”で構えましょう。
平成までのセオリーは「傾斜に立って打つ」
アドレスもスイングも「傾斜なり」がセオリーだったが、4大傾斜のうち「左足上がり」だけは令和式の打ち方がある!
「平成式」左足上がりの傾斜なりは球が高く上がりすぎてしまう
左足上がりは、傾斜なりに振らないとヘッドが突っかかりそうだが「地面を削っても左に振り抜けばOK」と山形。左足上がりの傾斜に逆らって立つと右荷重になるため体を左に回しにくいが、ややオープンスタンスで構えると回転しやすくなる効果もある。
林からの脱出ではアプローチと同じく胸を開いてインパクト!
胸の向きは、閉じたり正面に向けたりせずに、体を回し続け、開いた状態でインパクトしたほうがクラブも打球も意図した方向に出せる。
林からフェアウェイに出す状況は、芝が薄いライが多く、対応策は令和も変わらず手首の角度をキープしてボールをクリーンヒットします。しかし、スタンスや体の回し方は令和式があります。林からの脱出は、狙った木と木の間を通す方向性が肝心。あるとき「短い距離はショットよりも方向性が問われる。だったらアプローチと同じように打ったほうがいいのでは」と気づき試してみると思惑どおりだったのです。
アプローチのようにややオープンスタンスで構え、フォローまで体を回し続けて打ったほうが狙った方向に正確に打ち出せるので、インパクト時は胸を開いた状態にする打ち方をオススメします。
平成までのセオリーは「胸を正面に向けて打つ」
きちんとミートするためや、球が高く上がりすぎないように体を開かず胸を正面に向けてインパクトするのがセオリーだったが、肝心な方向性に難あり?
コンパクトより大きく振るのが令和式
今どきのクラブはミスヒットに強くなったので、過剰なほどミートにシビアにならなくてもいい。そのためミート率が上がるコンパクトなスイングよりもゆったり大きく振ったほうがいいと山形。「振り幅を小さくすると手打ちになり、体の回転も止まりがち(写真・旧)。大きく振って体をきちんと回す。スイングスピードを上げすぎると打球も高くなってしまうので 、ゆったり振って幹にも枝にも当てずに脱出しましょう」
枝に当たらないように低く打ち出したいから胸を開かず打つのがよいとされてきたが、打球の高さはクラブで調整。山形は6Ⅰ、8Ⅰ、PWの3本を持っていき、枝の高さを見てクラブを選択する。
ドローボールで右からの風は乗せる!左からの風はぶつける!
風も難ライみたいなもの。左右からの横風の攻略法はずっと悩んできましたが、これもクラブの進化で答えが出ました!風の影響はボールのスピン量が大きく関係し、スピン量が少ないほど影響を受けにくいので、今どきクラブの低スピン化は風に強いのです。
スピン量は球筋でも変わります。スライス系はスピンが増え、フック系はスピンが減る。そのため僕は、風が強いときはドローを打って攻略します。
風に流されて方向が不安定になる横風では、右からの風には乗せる、左からの風にはぶつけるようにドローを打ちますが、ドローで低スピンボールを打てば風に流されるぶんを大きく計算しなくていいので、想定外が起こりにくくなります。
平成までのセオリーは「風とケンカしてはいけない」
風に乗せるかぶつけるか。「風とケンカしない」が多数派で、とくに横風は「乗せることを想定して」ターゲットを狙うのがセオリーだったが、左右どちらからの風もドローを打つのが令和式!
ドロー打ちのヒントは「右手のひらを下に向ける」
ドローの打ち方はいろいろあるが、山形のオススメは「右手のひらを下に向けながら打つ」だ。ダウンスイングで右手のひらを下に向けるとクラブをインへ下ろせる。フェースも開かない。
いかがでしたか。山形プロのレッスンをぜひ参考にしてください。
レッスン=山形陵馬
●やまがた・りょうま/ジュニア時代から活躍し、2010年にプロ入り。ミニツアー優勝などの実績を重ね、現在は東京・麻布の「FIVE ELEMENTS」でレッスンを行なっている。
協力=船橋カントリークラブ
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