マイパット練習場を自作する方法!パット上達のコツが詰まっている
過去に傾斜地からのショットのイメージトレーニング法を説明しましたが、今号も斜面をネタに、緊張感を維持できるパッティングの練習方法の話をします。
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“トラバースパット”で緊張感のある練習を!
傾斜をパット要素のなかにひとつ加えるだけで、ゲーム性が増し、さまざまなチャレンジが可能になる。
やわらかいパット用マットの下に、部分的に何かを挟んで起伏を作ることもできるが、イレギュラーなものよりも単一な傾斜でのパットのほうが傾斜に対する転がりの法則性を知る意味でも得るものは大きい。
ゴルフスクールでの楽しかった経験
パットの話は2023年10月号で「インパクト圧で距離感をコントロールすること」を説明していますが、それで当り前のように打ててしまうと、平らなところでは何度打っても思ったところを狙えてしまい、達成感もなく意外と飽きてしまう。そこで、少しゲーム性をもたせて、飽きないうえに精度の向上につながるようなパット練習法を考えてみました。
以前、私が通っていたインドアのゴルフスクールの打席は、周囲に網と打球方向に白いシートが張られた室内練習場でしたが、奥の壁から打席方向に幅4メートル余りの緩いスロープが設置されていて、打ったボールが戻ってくるようになっていました。
あるときこのスロープを利用して、横方向いっぱいトラバース(※斜面を横切ること)するようにパットを行ない、斜面に置いたペットボトルに思惑どおりに当てるミニゲームをしていたのですが、なかなか当てることができませんでした。
頭の中で傾斜を落下するぶんを計算して法則性を見つけ出し、可能性のあるラインのなかから最適なものを選んで、その上を正確にトレースさせる。平らなところで打つパットは、真っすぐ転がせば狙った結果が出て満足できますが、ここでは読み(決断)と技量の両面で正解を出す必要があり、なかなか奥が深い。
イメージとしては、バスケットボールのフリースローを打つような感じで、その1発が決まるごとに盛り上がったのを覚えています。
ゲーム性のあるマイパット練習場を自作してみる
遊び心とシビアさを併せもった練習は飽きない。そこで、小さなパット練習場を作ってみましょう。
大きさはだいたいでいいのですが、たとえば幅50センチ、長さ150センチほど、厚さ10ミリほどのベニヤ板を用意し、こにパターマットーマットを両面テープなどで貼りつけて固定し、斜めにしても歪まない練習用グリーンを作ります。加えて、ベニヤ板の端切れからでウッドブロックを複数個作る。
仮にパターマットを張った板の幅が50センチの場合は、イラストのように片側の端に1センチのウッドブロックを前後に差し込むと、傾斜は約2%に。2枚重ねて2センチにすると約4%となります。
次に、ターゲットとなる”的”を斜面の下端に置いたら、このターゲットを狙ってパットをします。打ち出されたボールは斜面を上りながら頂点に達して上昇率がゼロになったあと下降に転じるわけですが、マットの抵抗によって失速するためボールスピードによっては左右対称なキレイな放物線になるとはかぎりません。それを読んでラインを決定する。
先に述べたようにターゲットに当てるためには、読んだラインが正解であることが大前提となり、次に意図したラインに正確に乗せる技術が必要になります。
再現性を高め思ったところに打つには、2023年10月号に続き、今回もインパクトでイメージしたフェース方向およびインパクト圧を達成することをゴールとするインバースキネマティクス(逆運動モデル)によるパットを行ないます。
最初からうまくいかないと思いますが、何回か打ってうまくターゲットに当てられたときの手の平に残るフェースの向きとインパクト圧を記憶する。感覚がわかったらそれを再現してみて、何回連続でターゲットに当てられるかチャレンジしてみます。これができるようになると、結局、安定したパットを実現させるためには「入ってくれ」ではなく「入れに行く!当てにいく!」という意識が大切なのだということがわかります。
猫が屋根から塀の上に当り前のように飛び移れるのは決してチャレンジではない。パットやゴルフにかぎらず、スポーツの基本はそこにあり、「振り幅はこのくらい」と動作を数値に置き換えて外から見ず、インパクトのワンポイントでボールに自分を投影して意識を乗せるというか、自信をもって打つことが重要なのです。
平らなパターマットの上での練習では、そこそこの精度でも思ったところに打てているような気にさせられてしまいますが、今回紹介したスロープトラバースのようなシビアな条件下では、正しいラインに乗せて打たなければターゲットには当てられません。「そこそこ」ではなく、きっちり思ったところに打てる技術と気持ちが必要であることがわかると思います。
こういった困難さは、ゲーム理論でいう再チャレンジを望む「強化」を生み、飽きることなく経験を積むことができる。そして、思ったところにしっかり打てる自信がもてれば、ポテトチップスのようなグリーンも、ラインを正確に読んで果敢に攻めるのも、結果はどうあれ楽しめるのではないでしょうか。
いかがでしたか? サンドラー博士のレポートをぜひ参考にしてください。
文・イラスト=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。
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