初優勝の桑木志帆にインタビュー!「スコアメイクはパットで…」

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフをよりよいものにしていくためにさまざまなことを考え、走り続けている。

どんなことを考え、どのようにゴルフと向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

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「スコアメイクはできているんですけど……」

6月の資生堂レディスでついに初優勝を飾った桑木志帆。昨年の同大会でプレーオフに敗れたリベンジを果たすことができた。

このインタビューは、その初優勝の10日ほど前に行なわれたもので、優勝直前の桑木選手の考えていたことがわかる内容となっている。今後の活躍がもっとも期待される選手である彼女の「これまで」と「これから」について聞いてみた。

──24年シーズンのここまでの手応えはいかがですか?

桑木:トップ10に7回入りました。昨年は年間で10回でしたので、まずはよいスタートが切れたと思います。でも調子はそれほどよいとはいえないですね。

──スコアはよい感じですよね?

桑木:悪いなりにしのいでいるのが現状です。じつはショットがよくないんです。フェードで逆球が出たりストレートが出たりで、ビビリながら振っているところがあります。ただ、そのぶん今年はパットがよくなってきました。今まではショットでチャンスにつけるゴルフでしたが、長いパットが入るようになってきたので、そこでスコアメイクができるようにもなりました。

──そのショットの悩み、少し心配ですね。

桑木:今まで自分の感覚重視でやってきましたが、ショットを安定させるために計測器を使うようになりました。でも、自分ではすごくいい感じで振れたと思ったのに数値がよくなかったり、逆に数値がよかったときは自分の感覚はしっくりきていないなど、そこにギャップがあるんです。安定した数値を出すことが、これまでの”感覚”の部分を消してしまうような気がして。ただ、今のところ結果が悪くないので、ぜいたくな悩みなのかもしれませんけど。

──今季もここまでいくつか優勝争いがありましたが、まだ緊張しますか?

桑木:たしかに昨年は優勝争いになると、緊張して思うようなゴルフができていませんでした。その教訓を生かして今年は“上位の選手と同じ組でも戦える”と思えるくらいに、気持ちの持ち方は成長したと思います。メンタルトレーニングを取り入れた効果が出ているのかもしれません。フィジカルのほうもトレーニングで飛距離が伸びてきました。あとはそれらが噛み合ってくれば……。

──初優勝?

桑木:そうですね。あとはタイミング。なんとか引き寄せたいです。

──今季から所属先が変わりましたね。

桑木:はい。大和ハウス工業様と所属契約を結ぶことができました。お話をいただいたのは昨年の暮れくらいでした。(社長の)芳井さんが“人間性”をとても大切にされている方で、私のプレースタイルを見たうえでオファーをくださったんです。ありがたいと思うと同時に、責任感というか、これからますますガンバっていこうと身が引き締まる思いです。

「40歳まで現役を続けたい」

「今季はパットでもスコアメイクができるようになりました」

──息抜きにはどんなことを?

桑木:お酒です!ビール、ハイボール、芋ソーダ(笑)。試合が終わった日曜と月曜は飲酒OKの日にしていて、それが今いちばん楽しみにしていることかも。呑んでいるときはゴルフの話はほとんどしないです。美味しいものを食べて呑んで、それが最高のリフレッシュかな。

──年初のテレビ企画で優勝しましたね。その賞金で何か買いましたか?

桑木:そういえばそうでした。あまり物欲がないので、賞金はほとんど貯金してしまいます。クルマを買いましたけど、税金対策も兼ねて買ったというか(笑)

──今季の目標は?

桑木:「キャリアハイ」ですね。昨年の自分を超えるのが目標です。昨年は年間ランキング10位だったので、9位以内に入ることです。

――謙虚な目標……だと思いましたが、今の上位のメンバーと競って9位以内ってかなり大変かもしれませんね。

桑木:大変ですよ(笑)

──ベテランの選手もまだまだ上位で戦っていますしね。

桑木:さいきさん(藤田さいき)やララさん(穴井詩)たちは、私でさえ1年通して戦うのは大変なのに、体力とモチベーションを維持しながらつねに上位争いをしている。本当にカッコいいです。だから私も40歳くらいまでは第一線で活躍し続けたいと思っています。

──桑木選手の場合、あと20年近くありますけど?(笑)

桑木:モチベーションが続くように工夫しながら、なんとかガンバっていければ(笑)

──最後の質問です。“桑木志帆のゴルフ”とは?

桑木:まずドライバーを真っすぐ飛ばして、ショットでチャンスにつけて、パットを入れる。普通のことなんですけど、私は飛距離やパットで際立つ武器をもっているわけではないので、まずは安定したプレーが基礎にあって、そのうえで攻めるときと、そうでないときのメリハリをつけていく。それが私のゴルフです。

ニチレイレディスにて。 仲良しの戦友、佐久間朱莉と談笑中

インタビューが終わり、礼儀正しく頭を下げた彼女から「静かに見守っていてください。私のタイミングで必ず優勝します」 そんな声が聞こえたような気がした。

と、これで原稿は完成していたのだが、数日後の6月末日、ついに彼女が初優勝。優勝スピーチを聞きながら、少々加筆をした。

「昨年の忘れものを取りにこられてよかったです。複数回優勝を目指してガンバります!」と宣言。そのあと、ファンからの「もう忘れものはないですか?」の質問に「ないです」と答えた桑木選手。

そうだったかな?たしかもうひとつ、昨年11月に「米ツアー出場権」という大きな忘れものをしているはずだ。こちらもしっかり取り戻して、米ツアーのチケットを手に入れたら、来季はぜひとも世界で戦ってみてほしい。

いかがでしたか? 桑木プロの活躍を応援していきましょう!

桑木志帆
●くわき・しほ/2003年生まれ、岡山県出身。2020年度プロテスト合格(93期生)。2023年シーズンは優勝争いを含むトップ10入りが10回。今季も開幕から安定した成績を残し、6月の資生堂レディスで初優勝を果たした。今後の活躍がますます期待される。大和ハウス工業所属。

文=ひよこきんぎょ 
写真=ゲーリー小林 
撮影トーナメント=ニチレイレディス、ワールドレディス サロンパスカップ

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