ゴルフの「エイミング」とは?基礎からわかりやすく解説

「エイム」とは「狙う」という意味で、正しい方向にスタンスとフェースを向けることを「エイミング」と呼ぶ。

簡単なようでじつはかなり奥深く、ツアープロも正しくエイミングすることに多くの練習時間を割いている。

そんな「真っすぐ構える」ために必要なレッスンをツアープロコーチの石井忍が徹底解説する。

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打ち出しが2度ズレると2メートル先のカップには入らない

パターにおいて「エイミング」は最重要項目といっても過言ではありません。いくら正しいストローク、正しいインパクトをしても、打つ向きが間違っているとカップインしないからです。

具体的な数値の話をしてみましょう。完全なるストレートラインを想定した場合、打ち出しが左右に2度ズレると、2メートル先では目標から約7センチ離れたところにボールが止まります。カップの半径は約5.4センチ。つまり「2度のズレで2メートル先のカップには入らない」ことが証明されています。

まずは「正しい方向」へ構える。その結果、思った方向へ打ち出せたか否かが、ストロークの良し悪しの判断にもつながるのです。ツアープロも「エイミング」がいかに重要かを理解しているので、これらに多くの練習時間を費やしています。

利き目を知ることでエイミングの傾向がわかる

セルフチェック法
STEP1:両目を開いた状態で指で囲った対象物を見る(左画像)。
STEP2:片目ずつ目を閉じる。対象物が指の囲みからズレることなく見えるほうが利き目(右画像)。

簡単にセルフチェック!利き目はどっち?

”利き手”と同じように、視野にもメインで使っている”利き目”というものがあり、利き目がどちらなのかによってエイミングの傾向にも差が出ます。じつは、これはショットにもつながる話なので、ゴルファーとして自分の利き目を把握しておくことは極めて重要。

上の方法で簡単にセルフチェックできるので、まずは自分の利き目が左右どちらなのか、そして左ページで解説するボールポジションとエイミングの傾向に当てはまっているかを確認してみてください。

利き目が右ならオープンスタンスになりやすい

右目でラインを見たがるので、体がオープンになりやすい(右上写真)。
ボールポジションは体軸の中心より右側にきやすい。ややハンドファーストの構えとなる(左上写真)。
アドレスの向きはストレートから、ややクローズになりやすい(右下写真)。
ボールポジションは体軸の中心より左側にきやすい。ややハンドレイトの構えとなる(左下写真)。

まずは、ボールポジションについて。ズバリ、パッティング時のボールポジションは「利き目の下」になりやすいのです。ラインも利き目で見ようとするので、右目が利き目の人は左目が利き目の人よりも顔がターゲット方向に向きやすく、結果的に全体のアライメント(向き)がターゲットよりも左を向く傾向があります。

一方、左目が利き目の人はボールポジションが自分に対して少し左側、アドレスの向きはクローズ気味になる傾向がある。

目線のズレがラインの”錯覚”を引き起こす

両目のラインと打ちたいラインが一直線上にくるようにしましょう

構えてからラインを確認する際、顔を起こし、両目を結んだラインを地面と平行に近い状態で見てしまう人が多いですが、じつはこれが「エイミングミス」の温床。この見方をすると”ボールとターゲットを結んだライン”と”目線のライン”がクロスするような形になります(下写真)。

こうなると、自分がターゲットよりも左を向いているような錯覚を起こしやすく、修正しようとして右を向いてしまうミスが出やすいです。このようなミスを防ぐためにも、ラインを読む際には顔を起こさず、少しあおるような態勢でラインを見ましょう。こうすれば、目線のラインとターゲットへのラインが一致しやすく、真っすぐに構えやすくなります。

左を向いているように感じる

×顔を起こして見る

自分がターゲットよりも左を向いていると錯覚しやすい。それを修正しようとすると結果としてターゲットより右を向いてしまう。

〇あおるように見る

両目のラインがターゲットへ向かうラインと一致するので、自分が構えていると感じている方向と実際のスタンスに差が出にくい。

肩のラインもスクエアに合わせよう

肩のラインも自分が気づかないうちにズレていることが多い部分。肩のラインがズレると、目線のミスも起きやすくなりますし、ストロークにも悪影響を及ぼします(×写真)。

下の写真のように、胸の前でパターを構えたとき、ヒジの高さと肩の高さが地面と平行になるように構え、そこからアドレスに入るようにすると、肩のラインもスクエアに合わせやすい。アライメントスティックがあれば、写真のようにヒジに乗せて確認するとよりわかりやすくなります。

正しいフェース向きのグリップポジションを覚える

「スタンスのエイミング」ができたら、次は「フェースのエイミング」です。

まずはライ角についてですが、パターにもロフトがあるため、ライ角は少なからず左右のフェース向きに影響を与えます。トゥアップは左、トゥダウンは右にフェースが向くので、真っすぐにボールを打ち出そうとすると何らかの代償動作が必要になる。まずは、ピタッと地面とソールを接地させたときのグリップの位置・角度を体に染みこませてください。

また、ボールポジションもフェース向きに大きく影響を与えます。ボールポジションが右にくれば若干ハンドファーストっぽい構えになり、フェースは少しオープン方向に動きます。下の写真のように2本のアライメントスティックでレールを作り、その間でアドレスをするとフェース向きがわかりやすくなるのでオススメです。

ボールポジションもフェース向きに影響する:ボールポジションはスタンスとフェースの向きにも影響を与える。間違った球位置はすべてのエイミングを狂わせてしまうので、再現性も低くなってしまう
トゥアップだとフェースは左を向く(左写真)。トゥダウンだとフェースは右を向く(右写真)。

スタート前の練習グリーンでもチェック!

朝の練習グリーンでは、自分のスタンスとパターのフェースが思ったところに向けられているかを確認することが大切。練習グリーン上で真っすぐのラインを見つけ、ティーなどで仮想のターゲットを設定し、そこに向けてアライメントスティックを左の写真のように置いてアドレスとフェース向きに狂いがないかを確認。その日の体調などによってラインの見え方なども少しずつ変わるので、「今日はこの感じが真っすぐなのね」という感覚とリアルのギャップをなるべく埋めてからティーオフしましょう。

いかがでしたか? 左右のフェースの向きに注意しながら打ちましょう!

レッスン=石井忍●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。ツアープロコーチとして数々のプレーヤーを指導し、優勝に貢献。現在は「エースゴルフクラブ」を主宰し、そのノウハウをアマチュアにも広く伝えている。解説者としても多くのメディアに出演。わかりやすい説明が人気を博している。

写真=小林司
協カ=ジャパンゴルフスクール

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