ゴルフビギナーに”絶対教えてはいけない”こととは…?“7番で練習”はNG!?

新年度がスタートし、ゴルフをはじめる人が増えています。

先輩として後輩の上達を願い、レッスンをしたいと思う人は多いのですが、教え魔にならないよう注意が必要です。

ビギナーのために指導法をベテランコーチの横田英治プロに聞きました。

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「ビギナーの時期」に直りにくい変なクセがつく教え方はNG

こういうのは新人ゴルファーに“教えてはいけないこと”の代表例!

「すぐに動かし方を直す」はNG

「狙ったところに飛ばせる」「確率を上げる」ためのポスチャー(姿勢)を作るのが先!

ビギナーを指導するとき、みなさんはどんな手順で教えますか?「まずは打ってみて」と促し、出た結果に合わせてスイングを直す教え方では、正しくもスピーディにも直りません。今回は“教えてはいけない”がテーマですが“教えてほしい”に言い換えるなら、間違いなく『ベース(基本)』となるポスチャーを最初に教えるべきです。

ですから、まずはグリップやアドレスなどが先。これも単に正しい形をマネるだけでなく、人体やクラブの構造から「なぜそうするといいのか」まで教えられるとベストですが、それを一般アマチュアが理路整然と語るのは難しい。でも、ビギナーも教える側も「狙ったところに飛ばせる」「確率を上げる」というゴルフの本質を念頭においてほしい。この企画の「教えてはいけないこと」に心当たりがある人は、ぜひ「教えるべきこと」を学んで、教え上手な先輩ゴルファーになってください。

「動き」よりもまずは正しい「姿勢」を教えないと。

「どうなっているか?」速すぎてちゃんと見えていないでしょ

スライスしたら「クラブをインから入れる」「フェースを返す」と教える人は多いと思いますが、これも“教えてはいけない”です。スイング、とくに切り返し以降は速すぎて動きも複雑なので肉眼できちんと確認ができません。もしかしたら、結構いいプレーンでクラブを下ろしていたり、フェースもきちんと返っていて、別のところに問題があるかもしれないのに一般論で直してしまったら、ますます悪くなることも。

では、カメラやビデオで撮って確認をすれば見えるのでは、というと、これはこれで問題あり。近年、画面上に“線”を引いての指導法が流行りましたが、たとえばクラブがプレーンをなぞっていても、体の面が正しくなければGOODとはいえません。なぞることやヘッドの位置や向きよりも見るべきところがある。それは後述しますね。

動画や写真を撮っての確認。クラブはプレーン上に下りてきているが、横田にいわせれば×。「プレーンをなぞっていてもほぼ手打ち。力強さやスピード感がないのは、ビギナーの上達速度を落とすことになりやすいところです」(横田)

最初に持たせるクラブは7アイアンは×
9アイアンが◎

7Ⅰよりも短くてロフトが寝ている9Ⅰのほうがいい!

「まずは7番アイアンで練習しよう」というのも“教えてはいけない”こと。7番はクラブセットの真ん中だから、といわれるが、ビギナーがいい球を打つのに苦労する2大ポイントは「球が上がらない」と「つかまらない」です。ロフトがもっと寝ているほうが楽に球が高く上がるし、つかまりやすいので“9番アイアンから”と教えてください。

ビギナーに絶対に教えるべきこととは?

打つ前のポスチャー“グリップとアドレス”は必ず教えてください。グリップもポスチャーであり“ターゲットをとらえるための姿勢”のひとつです。握り方と連動して体全体のポスチャーもよくなる。クラブの構造上の重心に合わせたグリップを作るのが正解。両手の形をきれいに見えるようにマネさせてもダメなのです。

グリップはほぼ同じでも、左の構えのほうが右ヒジが体にくっついて締まりがあり、目標を正確にとらえそうな姿勢ができている。「こういう雰囲気を感じさせる姿勢が大事」と横田。

レッスン1「両手のひらを合わせたら右に回転」

1.真っすぐ立って肩の高さまで上げた両手を体の正面で合わせる。次に、地面にクラブをソールしたときは、左手が上 、右手よりも体に近づくので左手を下に少しズラす。

2.手を右回転させて(人物左)、左手甲が上を向いた状態でクラブを握る形を作る( 人物右)。

手のひらを右に回すと腕も右にねじれる。ダウンスイングからフォローにかけては(写真右)、腕はフェースが開いてしまう方向には回らず、左に回しながら打てるのでボールのつかまりがよくなる。

レッスン2「ゴルフクラブ特有の重心位置に合わせて握る」

1.ゴルフクラブはシャフトの延長線上に重心がなく、フェースの芯よりも後方にある。そのためフェースを少しかぶせることで重心とシャフトがそろい、軽く感じられる。フェースを開いて持つとバランスが崩れるので、重心が下がる力が強まり重く感じる。スイング中は開く動きをしやすい(×)。

2 .フェースをかぶせた状態のままヘッドを地面につけて、フェースをスクエアに向ければ、レッスン1のグリップに。右腕のねじれ(外旋)で右ヒジが体に近づく。グリップと体のポスチャーの両方が整う。

「クラブを振る」のに適したグリップを作る

グリップの握り方もいろいろありますが、ここでも大事なのは“球を打つ”という基本動作の『ベース』を作ること。ビギナーに教えるならレッスン①の手順で。これで形はほぼ整いますが、もうひとつ「クラブの構造」の話(レッスン②)をすると「なぜこうやって握って、どうなればいいのか」、グリップの意味や役割まで理解させられます。

アドレスするときは”高い腰”と”低い重心”にするのがベストな構え

ツマ先荷重。それではお尻を下げすぎ!(横田)   野球の守備と同じですね(塚田氏)

先輩ゴルファーなら、アドレスの大事さは重々わかっているはずなのに、教えるとなるとスイングのことばかり。たまにうまく当たらないことを見かねて、取ってつけたように「もっと重心を下げて下半身がブレないようにどっしり構えて」と教える人がいますが、それは逆効果。上体のみで振る手打ちがビギナーの傾向ですから、下半身は動きやすいようにしないといけません。正しいアドレスのポスチャーは”足“がポイントになります。

1.足裏の体重を乗せる位置は拇指球。ツマ先寄りに体重をかけるとお尻の位置が自然と高くなる。「腰は高く、重心は低く」が動きやすさと安定性を両立し、「どっしりとはまったく違う」と横田。カカト荷重はお尻が下がりすぎて、重心が下がっても不安定かつ足が動きにくくなってしまう。

2.安定しつつ、動かしたいようには動けるアドレスは足から作っていく。「ジャンプして拇指球で着地すると両ヒザは拇指球の前にくるので、これが自然な位置」と横田。拇指球に体重を乗せつつ、拇指球の上に両ヒザがくるようにヒザを曲げる( 写真右)。自然に高く上がったお尻の高さをキープし、肩の位置と向きは最後に決める。

「肩から先の動かし方を直す」スイングはNG!

腕やクラブの動きは速すぎて見えない。しかし、体幹ははっきり確認できます。手打ちのビギナーだけでなく、アマチュア全般にもいえますが、体幹の胸や背中を“面”として、その向きが正しく動く『ベース』ができているかのチェックと修正が最優先。

絶対的に必要な体の回転を直さずに、肩から先の腕や手首、クラブの動きを直そうとするのは“教えてはいけない”ことになります。

胴体なら速く動いてもはっきり見えますよね

レッスン1「腕よりも体幹を動かしたほうが安定する」

腕を地面と平行に振ったとき、体を回さずに腕だけ振ると波打ってしまい安定しない(×)。体幹を回しながら腕を振ったほうが安定する(○)のは、スイングでも同じこと。

レッスン2「チェックするのは体の“面”が最優先」

1.枝(腕)よりも幹(体幹)を動かす。胸の面をトップまでに飛球線後方、フォローサイドでは飛球線を向くまで幹を大きく動かして回転しないと肩から先の動きを変えてもよくならない。また、幹(体幹)と枝(腕)は反比例し、体が9動けば腕の動き1で済む。反対に体が1しか動かなければ腕は9動かしてしまう。

「オーバースイングも幹が動いていないから、腕を動かしすぎてしまうのです」(横田)

2.フェースローテーションも体の回転量が関係する。手先で左右に振るとフェースは180度ターンするが、この量が大きくも少なくもなるのが欠点(×)。体を回せば左右で20度くらいなのでスクエアに向けることが容易(○)。180度と20度は比率にすると9:1だが、ナイスショットが打てる確率も9:1に。体を回さないスイングは、10球中9球はミスショットが出てしまう。

いかがでしたか。横田プロのレッスンをぜひ参考にしてください。

レッスン=横田英治
●よこた・えいじ/1971年生まれ、広島県出身。トーナメントプレーヤーから指導者の道へと進み、知識とアイデアの豊富さから 、レッスン企画やギア解説者として多くのゴルフメディアから重宝されている。千葉市のゴルフサロン「CLUB HOUSE」代表。

ビギナー代表=塚田航佑さん
転勤するやいなや先輩社員からフルセットをもらい練習場へ。ゴルフの楽しさに気づきコースデビューを計画中。それまでにきちんと教わって上達したいと本企画のモデルに奮って参加。

写真=田中宏幸
協力=CLUB HOUSE

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