稲見萌寧の新コーチが解説!効率よく上達するために「最も重要なこと」とは…!?

2020-21年の賞金女王・稲見萌寧が昨年、復活優勝を成し遂げた要因のひとつに新コーチ・柳橋章徳の存在があった。

その柳橋が“ゴルフスイングの本質に迫る”チームを結成!

体やクラブの使い方の原理原則を追求し、個人の潜在的な能力の限界を突破(ブレイクスルー)するメソッドを毎月紹介しよう。

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“中身”の伴わない“形”をマネるのは害しかない!

コリン・モリカワ
●1997年生まれ、ロサンゼルス出身の日系アメリカ人。26歳にしてツアー6勝をあげており、2020年のPGA選手権、2021年の全英オープンとメジャーも2勝。昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」でのぶっちぎり優勝も記憶に新しい。
形はマネすることができても、その形に至るまでの過程や背景が伴っていなければ意味がない。先入観にもとづく形だけをマネしようとするのは、上達のためには0どころかマイナスだというのがチームブレイクスルーの考えだ。

上達するためには 形よりも中身が大事

――今回からあらためて、新連載として「チームブレイクスルー」のメソッドを教わっていきたいと思います。

一同:よろしくお願いします!

――自分の限界を突破し、さらに高いパフォーマンスを発揮するためのメソッドというのがみなさんのコンセプトだと思いますが、その考え方を元にスイングを作っていくうえで、いちばん大事にしていることはなんですか?

柳橋:形ではなく、中身を追い求めるということです。

――中身というと?

柳橋:たとえばいいボールを打つ選手というのは、例外なくインパクトではいい形でボールをとらえています。ですが、そのインパクトの形を再現すること自体には意味がないのです。最初の画像のように、僕はコリン・モリカワ選手のインパクトの形をマネすることができても、スイングすべてが同じにはならないし、同じ球は打てない。

――たしかにそのとおりです。

柳橋:だから上達したかったら、モリカワ選手がこのインパクトが作れる背景こそを追求すべきであって、形から入るべきではないというのが僕たちの共通認識です。

――その背景、過程が「中身」だということですね。

安岡:昔は「トップはこの形!」「右ヒジはこう!」というように形から入るレッスンが多かったですよね。いい選手はそうなっているということを知識として知る意味はありますが、身につける方法論としては本末転倒だと僕たちは考えています。だから山縣さんにも加わってもらって、体の仕組みも含めて「中身」を追求したいと考えたのです。

山縣:ゴルフのレッスンを見て「PGAの選手はこうなっているので、あなたもそうしてください」とか「腰の回転量が何度しかないので何度まで回してください」というような指導が多いことにびっくりしました。こういう指導をするスポーツは、ゴルフくらいじゃないでしょうか。限界を突破するには形よりも、中身が大事なんだという意識改革が第一歩だと思います。

カッコよく行進しても“いい歩き方”ではない

ゴルフでいい形を目指そうとするのは、ウォーキング(写真左)を「行進」の動きでしようとするようなもの。「行進」は、いい姿勢でカッコよく歩いているように見えるが、人間が歩く動作としては不自然で、スピードも出ないし体への負担も大きい(写真右)

形をなぞってもスムーズなスイングにはならない

いい球を打つ選手は、形も理に適っているが、それはいい動きをした結果がいい形であるのであって逆ではない。「いいトップはこうなっている」という理由で形をマネしても、スムーズなスイングにはならないしパワーも出ない

なぜその形になるのかのほうがはるかに大事

ボールに適正に、効率よくパワーが伝わる動きをした結果のいいトップなら、その前後の動きも自然とよくなるが(画像左)、トップの形だけをマネしても、前後はいい動きにはならず、効率も悪くスムーズさも生まれない(画像右)

カッコいいスイングは 形からは身につかない

――でも、芸事や踊り、空手など「形から入る」習い事って結構ありますよね? お箸や楽器なども持ち方などをマネするところから入りませんか?

山縣:踊りや空手の演武のように、形をそろえる必要があるものならそれもアリかもしれません。それでも形から中身を感じることができるようになるまですごく時間がかかりますし、多分センスも必要。やはり体のことに関して科学的にアクセスできなかった時代の苦肉の策という気はしますし、「教える」ことよりも「自分で学ぶ」ことに重点が置かれた指導法だと思います。

安岡:それにお箸や楽器などは、ゴルフでいえばグリップみたいなものですので、持ち方は指導しても動かし方を形で教えることはしないと思います。

山縣:それに教わる側が、形が整うことによるカッコよさみたいなものを重視しすぎているように感じますね。

――カッコよさですか。

山縣:背すじと手足をピンと伸ばして行進する姿はカッコいいかもしれませんが、これって「いい歩き方」だと思いますか?

――いえ、実際に歩くとなったら不自然ですね。疲れますし、体への負担も大きそうです。

山縣:形を気にするゴルファーって、これに近いものがあると思います。

柳橋:こういった点を勘案しても形から入るスイングづくりって、0点どころかマイナスからのスタートなので、本当に百害あって一利なしだと思います。

――マイナスですか!

山縣:本当にやるべきことを無視して最初に余計なところを作ってしまったら、それを捨ててゼロに戻るのに時間も手間もかかってしまう。先入観なども加担して、これを取り戻すのがとても大変なんです。

安岡:実際にレッスンしていても、間違った情報から「この形じゃなきゃダメだと思っていた」みたいな思い込みをもっているゴルファーは多くて、そういう人の思い込みを取り除くのはとても大変です。

山縣:とくに日本人は「いい姿勢」に対する先入観が強すぎて、それがすごく上達の妨げになっていると思います。次回は、このへんの話をじっくり説明していきましょう。

いかがでしたか? いい姿勢を形をマネするのではなく、いい動きを目指しましょう!

安岡幸紀
●やすおか・ゆきのり/1988年生まれ、高知県出身。高知高校ゴルフ部で活躍。卒業後、指導者の道に進み、日本プロゴルフ協会のティーチングプロA級を取得。現在はCHEERS GOLFの代表を務め、柳橋らとともにゴルフの原理原則の研究を行なっている。

山縣竜治
●やまがた・りゅうじ/1982年生まれ、山口県出身。國學院大学の野球部で選手とコーチ業を兼任。運動学やチーム指導などを幅広く学び、トレーニング部門も自身の体を実験体に専門的に経験。現在はゴルフの解剖に力を入れ「太子堂やまがた整骨院」で総院長を勤める。

柳橋章徳
●やぎはし・あきのり/1985年生まれ、茨城県出身。最先端のスイングや理論を研究し、23年6月より稲見萌寧とコーチ契約を結び、1年3カ月ぶりの復活優勝に貢献したツアープロコーチ。YouTube チャンネル「BREAKTHROUGH GOLF」でも上達に役立つ斬新な情報を発信中。

構成=鈴木康介
写真=相田克己、田中宏幸
協力=GOLFOLIC中延店

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