体がかたくても「真っすぐ飛ばす方法」!プロが解説

「寒い時季はいいスコアが出ない……」と、あきらめないで! 体が動きにくい、真っすぐ飛ばない、を解決して好スコアを出す〝冬のラウンドを楽しく回れる〞レッスンをお届けしよう。

【関連記事】ストロークタイプ別で合うパターが見つかる! この3モデルを打ってみて

「通常スイング」と「寒いとき用スイング」との違い

いつもどおりスムーズに動けないことを前提に無理をしない!

「通常スイング」

真冬のゴルフでスコアを崩してしまう原因のひとつは「寒さで体が思うように動かない」です。

体が回らないことで、ふだんどおりのスイングができない、タイミングがズレてしまうのは、みなさんも経験があると思います。

これらのミスの原因を防ぐには「いつもどおりに振る」よりも「スムーズに動けないことを前提に無理をしない」スイングをしてください。

「寒いとき用スイング」

「寒い!」と感じるうちは〝3つ心得〞が大事。スイング写真の「通常」と〝3つ心得〞を実行した「寒いとき用」を比較すると、アドレスや回転の仕方、写真のコマ数(スイング時間)が変わる。その心得とレッスンを詳しく紹介します。

体を回しやすくする! 肩幅以上広げないナロースタンスで構える

いつものスタンス幅を肩幅くらいまで狭める。「ボールや手元の位置はふだんどおりで、右足だけを内側に寄せるのがポイントです」(竹田)

遅めのスタートのラウンドでも、1ホール目はまだ気温が低く寒いはず。スタートホールのティーイングエリアに立ったら、まずは「スタンス幅を狭める」が心得の1です。

これは、スタートホールにかぎらず、気温が上がる、体が十分に温まるまで実行してください。

ドライバーなら目安は肩幅くらい。スタンスを狭めることで体が回りやすくなります。その場でクルッと回る感覚ですが、スタンス幅を狭めたことで回りやすくなったぶんだけの回転で十分。

それ以上、無理に回ろうとするとスイングが乱れてしまうので注意してください。

狭いスタンス幅はウエイトシフトがしにくくなるので意識しなくてOK。無理に体重を移す、乗せようとするとスエーしてしまう

飛ばなくてもいい! ミートが最優先!
大きくゆったりスローテンポで振る

「トップで間を作ると打ち急がないし、スイング全体のテンポも落とせるので、ひと呼吸おいてください」(竹田)

スタンス幅を狭めたアドレスをとったら、スイングは大きくゆったり振ってください。打ち急ぎも冬ゴルフで起こりがちなエラー。

ふだんよりバックスイングもダウンスイングもテンポをスローにして、イメージ的にはフィニッシュまで緩急をつけずに等速で振りましょう。

大きくゆったり振ることで、スイングアークが大きくなり、体の回転も深まりますが「飛ばそう」という意識は捨ててください。

ただでさえ、気温が低いとボールは飛びません。寒い日は飛距離を求めるよりも、ボールを上手にミートして方向性を重視したプレーをするのが好スコアを出すコツになります。

たとえば「イチ、ニ、サン」で振る人なら「イ~チ、ニ~、サ~ン」と拍子を間延びさせるとテンポを落とせる。実際に間延びした拍子を頭の中で刻みながら打つのも有効だ捻転差を広げる必要なし! 足や腰を固定せず体全体でスイング

捻転差を作ることよりも「腕やクラブが外れない、体の回転と同調させることが大切です」(竹田)

心得の3は「捻転差を作らない」です。寒くて体が固まっているときは、下半身を固定して上半身だけを深く回すことができません。

回転は体全体をひとつの面にして一緒に動かす“ドアスイング”でいいのです。

上半身だけを回そうとしても回りにくいので「振り足りない」と感じてしまう。
すると、それを補おうとして手を使ってオーバースイングになってしまうのはNGだ

イメージ的には、おヘソの前にもった箱を隣の人に渡すときの動作でスイング。自然な動きでスムーズに渡そうとすると、上半身だけを回したり、腕だけを動かして渡そうとはしませんよね。

ニーアクションを使うことも利点で、下半身を止めてしまう動きを防ぎ、回転のしやすさがアップするので、バックスイングも切り返しからフォローまでも箱を渡すイメージで振ってください。ここでも、テンポを落とした「ゆっくり渡す」ことを忘れずに!

箱を渡す動きと同様に、バックスイング時の右回転では左カカトを上げてもOK。
「フィニッシュに向かう左回転では、右カカトを上げるのは必須です」(竹田)

クラブの運動量を上げるもGood!手首のリリースを使って打つ!

回転のしにくさをクラブの運動量で補うのも、真っすぐ遠くへ飛ばすテク。

寒くても手首はスムーズに動かせるので、リストワークを使ってクラブをリリースさせるとヘッドの加速力とボールのつかまりがアップする。これもぜひ試してみよう。「左から左に曲がる」はじつはスライサーに出やすいミス

レッスン=竹田綾人
●たけだ・あやと/1997年生まれ、奈良県出身。168cm。中央学院大ゴルフ部を経て、指導者の道を進み、22年にPGAティーチングプロ資格を取得。エースゴルフクラブ千葉、赤坂と茨城県つくば市のDIVERSE GOLFで多くのアマチュアをレッスン中。

「左から左に曲がる」はじつはスライサーに出やすいミス

左に出て左に曲がる引っかけ球、通称「チーピン」はコントロール不能な球でOBになりやすい最悪のミスショット。寒い冬は体の動きが悪くなって、頻発するミスでもあります。

チーピンは左に曲がるので、フック系が持ち球の人のミスだと思われがちですが、カット軌道でフェースがかぶったときにも起こりやすく、じつはスライサーにもよく出ます。

それ以外にもさまざまな要因があるので、まずは自分のチーピンがどのタイプかを知ることが大事。防ぎ方は上の3タイプに分けて解説していきますので、ミスの傾向などを参考にタイプを見極めて対策してください。

あなたはどのタイプ?チーピンには3つのパターンがある!

【case1】シャフトクロスアンダー型

FWで大ダフリが出る

シャフトクロスからダウンスイングでクラブが寝て、そこから一気にフェースが返って起こる。FWで大ダフリが出る人はこのタイプ

【case2】軸倒れフェース返り型

シャンクがよく出る

ダウンスイングで腰がスエーし
上体が右に倒れてシャフトが寝て、そこからフェースが返って引っかける。シャンクもちの人はこのタイプ

【case3】カット軌道ぶっつけ型

特大スライスも出る

大根切りのような強いカット軌道で、ふだんは芯を食っても特大のスライスも出るタイプ。フェースが返って当たるとチーピンも出る

【case1 シャフトクロスアンダー型】
ソールを地面に落とすイメージ
“ワンタッチ素振り”でクラブの重さを感じよう

1つめの、シャフトクロスのトップからダウンスイングでシャフトが寝てアンダー( 下か
ら)にクラブが入るタイプのチーピンは、腕と体の同調が崩れ、スイングの最下点がボールより手前にくることで起こります。

ソールで地面を叩くイメージの延長
クラブを上下方向に動かし、ソール面で地面を叩くイメージ。
これに体の回転を加えてスイングしよう

このタイプの人がコースでチーピンが出はじめたら、ドライバーのソールを地面にワンタッチさせる素振りが有効。スイングの最下点がイメージでき、クラブが下から入りにくくなります。ソール面で地面を叩くようなイメージで腕を上下方向に振りましょう。

根治を目指すなら、腕と体の動きを分解した素振りで、腕と体の同調性を高める練習がオススメ。腕を動かしてから体を回す動きの順番を意識してスイングするのがポイントです。

練習場ではコレで修正!「分解素振り」で腕と体の同調性アップ

【バックスイング】クラブを担ぎ上げてから体を回す

アドレスからクラブを右肩に担ぐように手元を持ち上げてから、そのまま上体を右に回してトップを作る

【ダウンスイング】体を開く前に腕を下ろしてから回転

トップから体の向きはそのままに腕だけ伸ばしてシャフトが地面と水平になる位置まで下げ、そこから体を回して振り切る

【case2 軸倒れフェース返り方】
元凶の腰のスライドを矯正!ベルトに棒を当てて“腰の横回転”を強調

腰に当てた棒の左側をお尻側に引っぱり込むように腰を水平回転。
左に体重移動してから回転するのがポイント

ダウンスイングで上体が右に倒れてチーピンが出るタイプの人は、軸を倒さずにその場で回転するようなイメージをもてればミスを防げます。

コースでチーピンが出はじめたら、腰に棒やクラブを当てて、腰の横回転を強く意識するボディドリルが有効です。ベルトラインに棒を当て、その左側をうしろ(お尻側)に引くようにフォロー側の動きを確認しましょう。

腰がスライドしてしまう動きが抑えられ、スムーズに回転できるようになります。

右足を引いてツマ先立ちにし、左足1本で立ってスイング。
スエーするとバランスが崩れるので、軸を傾けずに振る感覚が身につく

左足下がりの傾斜などを利用して、左体重のまま振り切る練習もオススメです。

練習場で修正するなら、左足1本で立って球を打つのも効果的。軸が傾くと振れないので、自然とスエーが解消されます。

右足はツマ先立ちにして、左足1本だけで立ったままスイングするイメージ

スプリットハンドも◎

上級編として、左足1本立ち+スプリットハンドドリルがある。手先でごまかせないのでいい動きが身につきやすい

左足下がりを利用した素振りも有効

コースでは、ティーイングエリア脇の傾斜などを利用して左足下がりのライを作り、そこで素振りをするのも有効。右に体重が残るのを防げる

【case3】ヘッドの高さをキープ“水平素振り”でオンプレーンを意識しよう

直立して水平素振り
前傾せずに肩の高さを手とヘッドが通るように水平素振り。
顔の左前あたりで手元がヘッドを追い越すイメージをもとう

最後に、カット軌道のぶっつけ打ちで出るチーピン対策です。

これはスイング軌道が右上から左下へのカット軌道なのが諸悪の根源。コースで修正するには、肩の高さで行なう水平素振りが有効です。

肩の面をヘッドがスムーズになぞるイメージを養い、上体を前傾させても同じように肩の面に対して水平に振る感覚があればチーピンは出ません。

ポイントは右手の主張を抑え、右手はクラブを下から支える感覚をもつことです。

慣れたらスイングを大きく
「右向き打ち」は、まずは小さな振り幅からはじめ(画像)、
慣れてきたらスイングを大きくしていこう

練習場で修正するなら「右向き打ち」がオススメ。胸を右に向けたまま、腕だけを振って球をつかまえる。体の開きを抑え、カット軌道を緩和する効果があります。真っすぐ打ち出してフックする球が出れば、チーピンは直ったも同然です。

体の開きが早い、上体が左に突っ込む、右手がリキむなどもチーピンの原因だ

右手でクラブを下から支えて振るイメージ

右手がリキんでしまうとクラブはカット軌道になりやすい。水平素振りでも、右手はクラブを下から軽く支えるだけでOKだ

担ぎ上げてから振り下ろすのはNG

バックスイングでクラブを右上に持ち上げ、それを左下に振り下ろす感覚はカット軌道になるためチーピンのリスクも高い

いかがでしたか? このレッスンを参考に、スコアアップを目指しましょう。

レッスン=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/1987年生まれ、神奈川県出身。“アッキー〞の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。

構成=鈴木康介
写真=田中宏幸
協力=千葉セントラルゴルフクラブ

【あわせて読みたい】

「30%オフ」キャロウェイアパレルの夏服セールがアツい!

「7番アイアンで200ヤードも飛ぶ」ってマジ!?“飛距離”に特化したアイアン4選

7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説

関連記事一覧