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バンスを使える打ち方はどっち…?アプローチの打ち方と最新ウェッジを解説

近ごろ、プロモデルの顔や形状でやさしいアイアンが増えている。それはウエッジも同じで「正統派でミスに強い」やさしく寄せられるモデルが多数登場!

そんなウエッジたちを、自身もオリジナルモデルを開発する岩男健一プロが試打インプレッション。さらに、もっとうまく使いこなせるレッスンも教えてくれた。

【関連記事】ストロークタイプ別で合うパターが見つかる! この3モデルを打ってみて

テスターは生徒! 石井良介監修モデル

当たってほしいところが当たる絶妙ソール

地面に触れるソール位置が絶妙で、当たってほしいところだけが地面にコツンと当たり、スルリと抜けてくれます。「ヘッドの入口が広くなる」ウエッジですね。

平らないいライからはもちろんのこと、ボールを上から潰して打ちたい薄芝やウエットなライでもソールがすべってくれる。そして、潰して打っても球が低くなりすぎない。

打感は〝ソールの地面の触れ方〟でも変わりますが、このウエッジはソールの触れる位置がいいので、じつにクリアで心地よい手応えが伝わってきます。

プロはもちろん「これはアマチュアでも打ちやすいわ」と思いました。

StudioCGA CGAウエッジ

●ロフト角(バンス角)/58度(4度)●重さ/457.5g(58度・K’s-Tour)●シャフト/K’s-Tour・S●価格/3万8500円~

「多面ソールの前側だけに土がついていますが、ボールを上手に拾うには、ここが地面に触れてほしいんですよね」

バックフェースの「58R」の“R”は、表立っては公表してはいませんが「Ryosuke」の“R”です(笑)。僕自身もアプローチに悩んだ時期があり、ゴルフ工房スタジオCGAの山崎さんに相談。

原型となるプロトタイプの感じがよかったので「もう少しああしたい、こうしたい」とリクエストしているうちに「石井さんモデルを本気で作ってみませんか?」ということに。

コンセプトは「プロではなくアマチュアが打ってアプローチがうまくなる」ですが、形状や顔への妥協はゼロ。持っていて「工房オリジナルのカッコいいウエッジ使ってますね」といわれるデザインにこだわりました。

機能面は、約2年間、プロや上級者よりもラウンドレッスン時の一般アマチュアをテスターにしてデータ収集や意見を聞き、まずは花道など基本的なライからのミスを軽減しつつ、ボールをきれいに拾えることを前提にしました。

その結果「いろいろなことができるのでアプローチが楽しくなっちゃう」という評価をもらえるウエッジが完成しました(石井)

谷間の後方のバンスがいい仕事をしてくれる

「谷間の後方側のバンスはとくに、フェースを開いたときに地面に対していい触れ方をしてくれますね」

ソールの中間に大きな谷間がありますが、前方のバンパーソールがヘッドをボールの下に潜らせてからヒットさせますね。いきなりボールを弾かず、ボールがフェースに乗ってから打ち出してくれる感触です。

谷間の後方のキャニオンバンスは、地面をしっかりと受け止め、深く潜らない効果がありますが、これはフェースを開いて打ったときが秀逸。「うしろのバンスが使えているな」という手応えとともに、ダフリ気味でもボールをうまく拾いつつ、しっかり前に押し出してくれます。チャックリしての、どショートのミスも減りますね。

フォーティーン DJ-6 Black Edition

●ロフト角(体感バンス角)/44(13)、46(13)、48(13)、50(17)、52(17)、54(18)、56(18)、58(18)、60度(18度)
●重さ/446g(58度)●シャフト/N.S.PRO DS-91wBK
●価格/2万8600円

※体感バンス=Gキャニオンソールのバンス効果を一般的なソール形状に換算した場合の参考値

ボールを包み込んで激スピン!

「インパクト時にフェースが立つ感じがしますが、ヘッドが突っかかることはなく、抜けのよさもグッドです」

多面ソールですが、特徴的なのはリーディングエッジ側と中央面ですね。リーディングエッジ側は角度をつけて落としてあり、中央部は面が広く平ら。このふたつの相乗効果で、インパクト時にフェースが少し立つ感じがします。

フェースが立つとボールの乗りがよくなるため、打感はボールを包み込むようなソフトな感触。弾道は低く飛び出しつつ、しっかりとスピンが入った球になります。バックフェースのデザインを見てもスピン性能にこだわった重心設計になっていて、方向性が上がるラインを出しながら止める球が打ちやすいウエッジです。

メタルファクトリー SF ウエッジ

●ロフト角(バンス角)/48(8)、 50(8)、52(10)、54(10)、 56(14)、58(14)、60度(10度)
●重さ(ヘッド単体)/ロフト48~54度・ 298g、ロフト56~60度・302g
●オープン価格(編集部調べ:ヘッド単体2万3000円前後)

座りのよさと抜けのよさも◎

「リーディングエッジが細く、地面の抵抗を受けにくい。潜るのも防いでくれるのでダフリに強いですね」

ソールに溝があるタイプでは、もっともリーディングエッジ寄りに溝が入っていますが、構えたときの第一印象は「刃が浮いている感じがまったくしない」でした。とくにマットや床の上ではなく、芝の上で構えたら「ソールが地面にぴったりとつく」と感じるのでとても構えやすいですね。

そう感じるのも溝の影響かもしれませんが、ソール全体の形状は前後にもトゥ・ヒール方向にも丸みが強いラウンドソールで、今回試打したなかではもっともバンスによる効果を感じました。滑りがよく、補正効果も高いのでボールを上手に拾って打てます。

ロイヤルコレクション BB ウエッジ

●ロフト角(バンス角)/46(8)、48(8)、50(9)、52(9)、54(9)、 56(12)、58(12)、60度(12度)
●重さ/447g(56~60度・N.S.PRO 950 GH neo)
●シャフト/N.S.PRO 950 GH neo・S、ダイナミックゴールド・S200
●価格/2万8600円~

軽量アイアン使用者にぴったりの軽量モデル

「操作性の高さに加えて、フェースを開いて打つのもいい。ソールの後方部分を使って上手に打てます」

幅が広めのソールにくぼみをもたせてあるので、ダフリへの強さと抜けのよさがありますが、特筆すべきは重量ですね。シャフトは中軽量タイプのN.S.PRO 950 GHですが、クラブの総重量は440gを切っている。

スチールシャフトでこの軽さのウエッジは珍しく、これはアイアンのシャフトが70、80g台の人が、クラブセットの重量の流れを崩さない重さにできる重量です。軽いぶん、クラブをコントロールしやすい操作性のよさや加速感を出すことができるのも長所。重いウエッジがうまく使いこなせない人にもオススメですね。

ロマロ Ray SX-R LIGHT ウエッジ

●ロフト角(バンス角)/ 48(3)、50(5)、52(8)、 54(8)、56(11)、58度(11度)
●重さ/438g(58度・N.S.PRO 950 GH)
●シャフト/N.S.PRO 950 GH・S
●価格/2万8600円

タフな状況からも寄せやすい60度を追加

ピンが近いショートサイド、下り傾斜のきついダウンスローブに向かってなどのタフな状況から、高さでもスピンでも寄せられる60度を開発

僕が開発した「わほまつウエッジ」も、今回試打したほかと同様にやさしさを求めて作りました。国産アイアンを製造する藤本技工の職人さんと何度も打ち合わせして、プロや多くのアマチュアから好評を得ています。

50から58度は1月から再販。そして、新たに追加する60度はバンス角を数値にすると12度ですが、バンスによるお助け効果と抜けのよさにこだわり絶妙なバランスで設計。ショートサイドからなど寄せにくい状況から、果敢にピンを狙える1本を追求しました。

「打つとバンス角は公表値よりも少なめに感じると思いますが、ボールの拾いやすさと抜けのよさにこだわり3面ソールを採用しました」

ティーオリーヴ わほまつウエッジ

●ロフト角(バンス角)/50(13)、52(13)、56(19)、58(19)、60度(12度)
●重さ(ヘッド単体)/300g(50、52度)、303g(56、58度)
●シャフト/ダイナミックゴールドなど
●価格/2万9700円
※60度は2024年上旬発売予定

今どきウエッジはソール形状で選ぶ!

今回試打したウエッジは、どれも「オーソドックスな形状なのにやさしい」でしたが、素材やフェースの溝、重心の高さはどれも似ています。素材に関しては、軟鉄のなかでもトップクラスにやわらかい「S20C」や「S25C」を使用。溝はどのメーカーもスピンが増える工夫がしてある(写真①)。

スピンの入りやすさは、ブレードの厚みを逆テーパーにしたり、バックフェースに溝や穴を設けることで低重心ではなく、高重心にすることでも増えるようになっています(写真②)。その一方で、ソール形状は溝やくぼみがあるタイプや多面にしたタイプ(写真③)など、大きく分けると似ていますが、打ってみてのボールの拾いやすさや飛び出し方はそれぞれに特徴があります。

どれも「カッコいいうえにやさしいウエッジ」であることは間違いありませんが、できればコースと同じ状況の芝や土、砂の上から打ってみると、より自分が求める性能をもった1本を見つけ出せますよ。

1 ヘッドの入り方が違う

本当にお助けウエッジ級のやさしさがありつつ、シャープな形状のウエッジが増えましたね。とはいえ、ミスをゼロにできるわけではないので、デザインや機能を十二分に活かすためにも、ソールやバンスを使った打ち方をしましょう。ソールを地面に上手にタッチさせるには、入射角とヘッドの返し方がポイントとなります。

ダフリとの大きな違いは「ヘッドが刺さらない」でしょう。ボールだけをクリーンにヒットするために、ヘッドを上から入れようとしがちですが、ボールを潰す打ち方はライが悪いときなどに用いるもので、あえて刺さるような打ち方はご法度です。ヘッドの入射角が鋭角になりすぎないように気をつけてください。

「ダフリ」と「ソールを使う」の違いとは?
前傾角なりのフラットな軌道と入射角

前傾した角度なりのオンプレーンスイングなら、ウエッジの刃がボールの下に潜り込む

「ダフリ」と「ソールを使う」の違いとは?
ボールを潰すように上から入れると刺さる

タテ振りでヘッドを上から入れすぎると、リーディングエッジが地面に向かってしまう

ヘッドの返し方が違う

もっとも大事なのは「ヘッドを返しながら打つ」ことなのですが、ここでのカン違いがダフリのもと。ヘッドは体の回転に沿って自然に返るのが正しく、腕や手首を回して返すのはNGです。正解の打ち方を実践するのはとても簡単で、胸を回しながら打てばいい。

それによって入射角が鋭角にならないし、ヘッドの入り方も安定する。ソールが地面に触れたあとにヘッドが前(目標方向)へとスムーズに出ていくので、ヘッドの抜けもよくなります。

〇胸を回して返すのが正解! ×腕や手首を回すと突っかかる

イメージ

意図的にフェースを開閉するのではなく(×)、胸を回した体のターンでヘッドを返す(○)

飛球線側から

体の回転に沿ってクラブが動くので、ヘッドはつねに胸の前にある(〇)。手先でヘッドを動かすとクラブが体の前から外れてしまう(×)

正面から

体の回転だけでもヘッドはきちんと返っていく(〇)。手先を使って返す打ち方(×)と比べて、ヘッドが突っかからず前に出るので抜けがよくなる

試打・レッスン=岩男健一
●いわお・けんいち/1987年生まれ、和歌山県出身。07年にプロ入りし、ツアーに参戦中。ギアの知識も豊富で、その模様やレッスン、さまざまな実験を配信するYouTubeチャンネル「わっほーまっちゃんの日常」が大人気。フリー。

写真=相田克己
協力=太平洋クラブ 成田コース

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