世界ランク1位の“飛距離の秘密”とは?スコッティ・シェフラーのスイングを解説
このコーナーでは、オリンピック海外の注目選手をピックアップ。
国を代表し、意地とプライドをかけて戦う選手たちのスイングの見どころは?
これを見ればオリンピック観戦が10倍楽しめる!
フェース面の動きを極限まで抑えたスライド打法
世界ランク1位のスコッティ・シェフラー。その強さと同じくらい彼のスイングは印象的なものです。アドレスは少し左足に体重が偏った状態でのスタート。右足が全体的に内側に傾いているので、バックスイングで体重を受け止める体勢を最初から作っています。
胸と骨盤の運動量は途中までほぼ同じ。ねじるというよりは「右向け右」という感じです。ズボンに入る右股関節のシワが「いい体重移動」の見極めポイントで、ここはぜひマネしてほしいところ。ただ、シェフラーの場合は手首のコックはほとんど使っておらず、クラブの運動量が少ないのを体の運動量で補っていますが、相当高い柔軟性が求められるので、アマチュアの場合は無理のないようにほどよく手首と腕の動きを活用したほうがベター。
ダウンスイングでは強烈に右足を蹴り上げ、体全体がターゲット方向へ移動、このとき左肩も一緒に移動します。左肩はクラブと腕をスイングする「支点」の役割。つまり、右足の蹴りによって支点が動かされるため、それに連動してクラブが強く振られているのです。ハーフウェイダウンを過ぎるころには両足からジャンプするような力が発揮され、体は少し伸び上がります。これもまた「支点の移動」となり、クラブはさらに加速。インパクトからフォローにかけては腕のローテーションがかなり少なく、フェース面が安定しているのがわかります。胸、肩の可動域が広いことに加え、体の右サイドが左サイドへ大きく移動しているので、回転の可動域に大きなゆとりがあることがフェース面を維持できる最大の理由です。
インパクトで回転が止まって引っかけてしまうという人は、右足が左サイドに寄る動きを取り入れてみてもいいかもしれません。
いかがでしたか? ”右股関節のシワ” など、世界ランク1位・シェフラー選手の良い点をぜひマネしてみてください。
Scottie Scheffler
(アメリカ代表)
●スコッティ・シェフラー / 1996年生まれ。190cm、90kg。米ツアーでメジャー2勝を含む通算12勝を上げており、世界ランク1位に君臨。インパクト以降、大きくスライドするフットワークが特徴で、パーオン率1位。今もっとも勢いのある選手のひとり。
解説=大川夏樹
●おおかわ・なつき / 1988年生まれ、神奈川県出身。マンツーマンを中心に、多くのアマチュアゴルファーをレッスンする人気コーチ。(インスタグラムアカウントNATSUKI72_GOLF)。
写真 = 田辺JJ安啓
※選手のデータや成績は、7月6日現在のもの