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次のゴルフに福井はいかが?“レジェンド”ゴルフコースからグルメまで一挙紹介!

このコーナーの著者 「JJ」こと田辺安啓は福井県出身。福井といえば今年の3月16日に、東京から金沢までだった北陸新幹線の区間が「敦賀(つるが)」まで延伸された。

普段はアメリカを拠点に活動するJJだが「歴史的“円安”ですし、旅行もゴルフも国内で。“敦賀”なんてどうですか!?」と、福井県嶺南地方の魅力を熱い地元愛を込めてお届けする。

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福井県嶺南地方

2023年に発表された調査では、福井県は日本で5番目(約76万6千人)に人口の少ない県である。大きく嶺北と嶺南地方という2つの地域に分かれるが、県庁所在地である福井市を含む嶺北地方には、福井県の人口の大半(約83%)が住む。「恐竜博物館」や「鯖江の眼鏡」「越前かに」が有名で、昨年の日本女子オープンの会場になった「芦原ゴルフクラブ」も嶺北地方にある。

一方、嶺南地方には全国的に通用する名産はほとんどなく、強いていえば2008年にアメリカの大統領となったオバマ氏が、福井県小浜市と同じスペル&発音(OBAMA)ということで、当時“オバマ氏を勝手に応援する会”というサークルを発足。そのニュースを覚えている人もいるだろう。

そんな福井県嶺南地方は、敦賀市まで北陸新幹線が延伸開業したことでアクセスがよくなり、少々スポットライトを浴びることになった。とはいえ「嶺南地方には何があるの?」と思う人は多いだろうが、敦賀駅から足を延ばせば小浜市の街並みなどオススメの観光スポットが多々あり、なかには世界的な発見となったものもある。

すでにゴールデンウィークは終わってしまったが、夏や秋の行楽シーズンの旅行先の候補にぜひ加えてほしい。

わかさカントリークラブ:レジェンドゴルファーの息遣いを感じながら嶺南の自然を堪能!

●福井県三方上中郡若狭町新道9-3

まず、ワッグルの読者ならゴルフコースの有無は気になるところだろう。敦賀駅のある敦賀市には、9ホール×3コース(計27ホール)の「敦賀国際ゴルフ倶楽部」があり、敦賀駅からクルマで約15分という近さも魅力。1962年開場で、設計は安田幸吉。3コースとも趣向の異なる設計がおもしろい。

敦賀駅の南西、クルマで40分に位置する「わかさカントリークラブ」は私が帰省した際に74歳の母とよくプレーするコースで、こちらも9ホール×3コース(写真左)。雄大な山をぬうように走るコースに1グリーンのホールが広がる風景(写真右)は、どこかアメリカンスタイル。

それもそのはず、1976年の開場時の設計者は、あのアーノルド・パーマーで、実際に現地を歩いて設計したという。のちに、日本のゴルファーには難易度が高いとして、杉本英世氏が設計監修して改造された部分がある。

「森のなかに残る石垣は、パーマー氏の設計したティーイングエリアの跡です。この位置からは難しすぎるということで、杉本英世プロの監修により、現在は場所が前方に変わっています」と歴史を話すのは総務課の松宮さん。ほかにもパーマーの名残は、コースのところどころにいまだに残っている。

アメリカにあるアーノルド・パーマー・カンパニーのホームページにも、パーマーが設計したコースとして「わかさカントリークラブ」の名前が掲載されている。ぜひ、パーマーの設計理念に思いを巡らせながら、福井の自然を味わってほしい。

年縞博物館(ねんこうはくぶつかん):“年代測定のものさし“に世界各国から科学者たちも訪れる

●福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1

嶺南地方のほぼ中心に位置する若狭町(わかさちょう)には、三方五湖という湖がある。文字どおり5つの湖があるのだが、このうちの水月湖(すいげつこ)の湖底の泥の層を調査した結果、約7万年前から1年ごとに積み重なった層がきれいに採取できた(1枚目写真上)。

これを分析することで、約5万年前からの出土物の年代を測定する放射性炭素測定法の精度が飛躍的に向上。その結果、世界的な年代測定の基準として採用されることになったのだ。

年縞の研究結果などを展示する年縞博物館は2018年に開館。併設の施設では、現在も研究が続いている。

博物館を訪れると、水月湖の年縞のおかげで過去数万年の気候が1年ごとに把握できるようになった、という話も聞ける(写真下)。

若狭三方縄文博物館:縄文時代の生活を活き活きと再現芸術家・岡本太郎も丸木舟に乗船した

●福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1

年縞博物館のすぐ隣には「若狭三方縄文博物館」が。じつは、水月湖の年縞が発見されるきっかけになったのは、1962年に同地域で発見された縄文遺跡「鳥浜貝塚」のおかげともいえる。

縄文人が使用していた丸木舟が発見された鳥浜貝塚で、さらなる調査のために湖底の泥層を採取していた際に発見されたのが年縞なのだ。縄文博物館には、縄文土器や丸木舟、装飾品や食べ物など、縄文人の生活が肌で感じられるような出土品が数多く展示され、故・岡本太郎も訪れ、丸木舟に乗ってみたそうだ。

なかにはゴルフクラブのような道具(写真左)も発見されており、ぜひその使用目的にも想像を膨らませてほしい。

寿し島川:ミシュランガイドにも選出幻のネタに巡り合えるかも

●福井県小浜市広峰83-1

名物親父の島川捨義(すてよし)さんから代替わりし、現在は息子の島川陽平さんが握る。店名も「鮨富(すしとみ)」から「寿し島川」へとリニューアルしたが、鮨富もテイクアウト専門店として同じ屋根の下で営業している。

「寿し島川」は2021年ミシュランガイドで「ミシュランプレート」に選出された。初夏からお盆までのごくかぎられた期間に地元・小浜港でとれる赤雲丹が名物だが、近年は漁獲量の減少により地元でも幻のネタとされている。来店は完全予約制。

瓜割の滝(うりわりのたき):おいしさの源は水にあり! 自然の恵みを味えるパワースポット

●福井県三方上中郡若狭町天徳寺

1985年に「昭和の名水百選」に選出。「夏でも水に浸けておいた瓜が割れるほど冷たいという故事から命名」(※環境省ホームページより)と紹介されている。カルシウム、マグネシウムを豊富に含んだ水質が好まれ、地元のみならず、近隣地域からも多くの人々が水を汲みに訪れる。

周辺は名水公園として整備されており、クルマでも気軽に立ち寄れる。地名の元にもなっている「天徳寺」は高野山真言宗の古刹で、歴史は平安時代まで遡ると伝えられている。最寄りのJR上中駅からは徒歩約20分。

旅館 山下屋:日本海でとれたばかりの魚介を堪能できる名宿

●福井県三方上中郡若狭町常神1-76

嶺南地方は、有数のリアス式海岸がある地域としても有名(写真右)。半島の先端へのアクセスには時間がかかるが、近年はトンネルなどが整備され、ひと昔に比べれば利便性はかなり改善された。都会の喧騒から離れたい人には、十分な静けさが味わえる場所だ。

常神(つねがみ)半島の先端に位置する「旅館 山下屋」(写真中央)は、地元でとれた海産物を味わえる名宿。現在は、観光サービスを停止してしまっているのが残念だが、海岸に突き出した崖下にはイタリアの「青の洞窟」にも負けない美しさの洞窟があり、観光サービスの復活を待ちたい。

また、取材中に、大阪と東京で展示会がある合間に観光に来たスペイン人夫婦に遭遇(写真左)。三方五湖からレンタルサイクルを借りて当地を訪れたそうだ。

桜並木:見ごろは1週間くらい見れたらラッキーな春の絶景

●福井県三方上中郡若狭町有田

季節は春に限定されるが、若狭町有田付近を流れる鳥羽川の堤防には、数十本の桜が植えられ、春になると桜並木がお花見スポットとなる。空の青、山の緑、桃色の桜のトリコロールの演出は絶景で、何もない田舎だがひとときだけ出現する美しい風景こそが、田舎の醍醐味かもしれない。最寄駅はJR若狭有田駅。JR敦賀駅から小浜線に乗り換えて約40分。

いかがでしたか? 福井県嶺南地方に赴いた際は、ぜひコース練習の合間や終わりに、観光してみてください。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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