アプローチは振り幅で調節するのはNG!どう打つのが正解?プロコーチが解説

アプローチは振り幅が小さいので、明後日の方向に打つことはない。だから大事なのは方向性よりも距離感!

しかし「飛距離の打ち分け方はさまざまな方法やレッスンがあってどれがいいかわからない」「いろいろ試したけど何がいいのか定まらない」。そんなゴルファーには、この発想とテクニックが効く!

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「振り幅の大きさを変えて打ち分ける」のがミスの元凶だった!

腰から腰の高さで振るのが“俺の振り幅”。その振り幅で出る飛距離が“絶対距離感”で、これが今回のレッスンのキーワード!腰から腰の振り幅なので、飛距離は30~60ヤードくらいに収まり、このなかで10ヤード刻みの3つの距離感を「同じ振り幅」(俺の振り幅)で打ち分けられる新感覚のレッスンを紹介しよう!

僕も以前は、アプローチの距離感は振り幅の大きさ。よくいわれる時計の文字盤の何時・何時で飛距離を打ち分けましょう、と教えてきました。

しかし、大半の生徒は意図した位置よりも大きく振ってしまうか、ヘッドの位置を気にしすぎて振ることがおろそかになってしまい、それが原因でミスをしていることに気づきました。アプローチは感覚が大事!もっと感覚を活かして打てるのが、このレッスンです(遠藤)

バックスイング

クラブを振り上げる大きさを気にすると、体を回さず手打ちになってしまう人が多い

アドレス/インパクト

飛距離はグリップを持つ長さでも変えられるが、「短く握ると飛距離を落とせますが、前傾角が深くなって振りにくくなる。前傾角が深いとインパクトで大きく伸び上がってしまう人もいます。そのため、グリップを持つ長さも変えずに飛距離を打ち分けられる方法を考えました」(遠藤)

意識だけはハーフスイング、結果はハーフじゃなくてもOK!

遠藤の〝俺の振り幅”だと、58度のウエッジで飛距離は40ヤード。アマチュアの大半もハーフスイングをイメージすると、飛距離は30~60ヤードくらいに収まるそうだ

「俺の振り幅」での「絶対距離感」を知ろう

アプローチは近い距離ほど寄せやすく、ある程度大きく振れる遠い距離はゆるまず打てるので大ミスしにくい。苦労するのは30から60ヤードくらいの中途半端な距離で、苦手とする人が多いですね。30から60ヤードを10ヤード刻みで打ち分けると、「30、40、50、60ヤード」の4つの距離になりますが、今回はそのうちの3つの飛距離のクオリティを上げるレッスンです。

3つだけでもスコアアップは大きく期待できます。まず、このレッスンは「腰から腰までの高さ」で振ったときのハーフスイングの飛距離がベースになりますが、ほとんどの人は腰よりも高く振ってしまう。でも、それでいいのです! アプローチですから「腰から腰まで」のコンパクトな振り幅はイメージしますが、思ったよりも大きくても小さくても気にせず、とにかく気持ちよく振ることを重要視してください。気持ちよく振ると……

●雑念が入らない、違和感が出ない
●スムーズに振れるので、軌道や入射角がバラつかない
●リズムやテンポが一定になる

といったメリットがある。これを〝俺の振り幅〟。そして、その振り幅で打った飛距離を〝絶対距離感〟と呼んでいますが、これは「ごく自然に作り出せた振り幅と飛距離」なので、意識してコントロールしたものよりも圧倒的に再現性と安定性にすぐれています。

そして、この振り幅からの飛距離をベースに、フェースの向きを変えて打てば、同じ振り幅で3つの飛距離を作れるというのがこのレッスンの肝。とても簡単に距離の打ち分けができるので、ぜひ試してください!

振り幅は変えないフェースの向きだけを変えて打ち分ける

遠藤の「ノーマル」での飛距離は40 ヤードなので、「オープンフェース」は30 ヤード、「フェースを立てる」は50 ヤードになる

安定性、再現性の高い“俺の振り幅”は変えない! 変えるのは「フェースの向き」のみだから簡単に3種類の飛距離の打ち分けができる

重い物を振っているイメージで加速する

ベースとなる飛距離の〝絶対距離感〟も、フェースの向きを変えて打つときも、ぶ厚いインパクトをつくってください。薄い当たりでは、狙った飛距離が正確に出ません。「厚い当たり」というと、強く打つことをイメージしがちですが、もっとも大事なのはパワーよりも〝スピード〟です。

ダウンスイングはバックスイング時よりもクラブを加速させながら打ちましょう。しかし、急加速はNGです。そこで、ほどよい加速を作り出すのに有効なイメージがあります。それは「重い物を振る」です。ウエッジはもともと重いクラブですが、その倍以上の重さを振っているイメージをもつ。

スイング中「重い、重い……」と、頭のなかで唱えながら振るのもオススメです。

実際の重さよりも重い物を振るイメージで加速させる。重いイメージをもつと、クラブと体の動きの同調性が高まり、手首やヒジの角度もキープしやすくなるのでミート率が上がる。ミスヒットの原因となるリリースが早くなりすぎるのも防げる(×)

フェースを開いたときもオープンスタンスなりに振って厚くインパクト!

カット軌道ではなくスタンスの向きなりの“俺の振り幅”で打つ

ノーマルよりボール位置が左にあるように見えるが、フェースを開いたことでスタンスもオープンにしたためで、ボール位置はノーマル時と同じく体のセンターにセットしている

フェースを開いて飛距離を10ヤード抑えるときも、もちろん振り幅はノーマル(フェースをスクエアに向ける)と同じ。フェースを開き、ロフトが寝たぶんで飛距離を落とします。厚く当てるインパクト、ノーマル時よりもさらに重要。ロフトが寝ているクラブほど当たりが薄いと極端に飛ばなくなるので、クラブをしっかり加速させながらヒットしてください。

アドレスは微調整します。フェースを開くと右を向くので、スタンスをややオープンにして、スタンスの向きなりに振ることで目標に真っすぐ飛ばす。スタンスラインを左に向けてもカット軌道ではなく、スタンスなりに振っているので、振り幅も軌道もノーマル時と同様の“俺の振り幅”で打っているところがポイントです!

開けば開くほど飛距離はダウン
しかし、ミスの確率はアップ

〝俺の振り幅〞のままもっとフェースを開けば、ベースとなる〝絶対距離感〞からマイナス15や20ヤード落とすこともできる。しかし、ミートの難易度は上がり、ミスの度合いも大きくなってしまう。遠藤も「20ヤード以内の近い距離は、別の打ち方で飛距離を調節したほうが無難です」という。

軌道はスタンス向きなりのイン・トゥ・イン

フェースを立てるときは強く打ちすぎ、加速しすぎに注意!

フェースを立てるのはスイングではなくアドレスで

ロフトを立ててヒットするとき、体が止まって手元が前に出すぎてしまうのは×。ヘッドが刺さるかトップが出やすいので、ヘッドを止めずにフィニッシュまで体をしっかり回していこう

フェースを立ててのプラス10ヤードも厚く当てますが、スイング中にフェースを立てるのはNG。インパクトの瞬間にフェースを立てようとすると、手元を前に出しすぎたり、ダウンスイングでクラブを急加速させてしまいがち。これはどちらもダフリ、トップや飛びすぎる原因になってしまいます。

フェースはアドレスで立てます。そして、立てて構えたフェースをインパクトで再現するだけ。振り幅やスイングテンポはこれまでと一緒です。アドレス時のフェースの立て方は、ハンドファーストを少し強めるか、ボールを半個から1個ぶん右に寄せる、のどちらでもOK。どっちで打ってもプラス10ヤードにならない人は、両方を組み合わせたアドレスをとってみてください。

① か② で+10ヤードまで飛距離が伸びないときは、①②を合わせた③を試してみよう

「俺の振り幅」飛距離管理シート

〝俺の振り幅で厚く当てる〞をマスターすると、以前よりも少し飛距離に変化が出る。「それは、インパクトが厚くなったことでエネルギーがしっかり伝わるようになったために飛ぶ。スピンがきちんと入るようになったから止まる。が理由ですが、どちらも球質がよくなった証拠です」と遠藤。

また「トータルの距離の内訳、キャリーとランの長さを覚えてください。それを考慮して寄せればもっとピンに寄るアプローチが打てます。SWだけでなく、AWのときも覚えておくとグリーンまわり攻略の引き出しが増えますよ」(遠藤)。飛距離管理シートに記入して、アプローチ上達に役立てよう!

レッスン=遠藤将也
●えんどう・まさや/1994年生まれ、長野県出身。東京国際大学のゴルフ部を経て、PGAティーチングプロ資格を取得。首都圏の練習場やコースでのラウンドレッスンを行なっている。レッスンはインスタグラムアカウント「en. dwu_」のDMで受付中。

写真=相田克己
協力=サザンヤードカントリークラブ

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