グリップだけで“飛距離”は変わる!シニアプロおすすめの握り方とは?

年齢を重ねると「バックスイングで肩が回らずドライバーが飛ばなくなった」という悩みが多くなる。

そんななかでも飛距離をキープしているシニアプロ3人に飛距離の秘密を聞いた。

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お腹をトップで右、フィニッシュで左に向ける

胴体部分を動かすことで肩を含めた上半身がスムーズに動き回転不足を解消できる

歳をとればとるほど、肩まわりの関節が硬くなり可動域が狭くなる。するとバックスイングで肩が回らない(入らない)という現象が顕著になるが、回らなくなった肩を無理に回すと、軸がブレたり左肩が下がったりして大きなミスになる、と増田伸洋は指摘する。

「体の柔軟性が低下してきたら、肩よりも“お腹”を意識しましょう。テークバックと同時に、お腹を右(飛球線後方)に向ける。こうすると肩がスムーズに動き、体全体が楽に大きく回ります。この動きを覚えるには素振りからはじめてください。ボールを打つと当てる意識が強くなり、お腹が動かなくなるからです。素振りを繰り返し、お腹がトップで右、フィニッシュで左(目標)を向くように体を大きく動かせば飛ぶようになりますよ」

Pint 1 テークバックと同時にお腹を右に向ける

お腹を右に向けるだけでO K!

お腹を意識し、テークバックと同時に右(飛球線後方)に向けることが重要。フットワークを使いながらお腹を動かせば、体全体が楽に回り、大きなトップになる

肩だけを回すのはNG

肩だけを回すのは限界があり、お腹を動かさないと肩は十分に回らない。無理に回すと左肩が下がってしまうので注意しよう

Pint 2 素振りならお腹が大きく動く

お腹がトップで右、フィニッシュで左を向くように、素振りを繰り返す。こうして体を大きく使うことを覚えれば、歳をとっても飛ばせる

重くて長い、素振り用のバットが最適。通常のドライバーでも大きくゆったり振ることを心がけよう

レッスン=増田伸洋

●ますだ・のぶひろ/1973年生まれ、千葉県出身。175㎝、85㎏。レギュラーツアー1勝。今季からシニアツアーに参戦。2戦目のノジマチャンピオンシップ箱根では2位に入る活躍を見せた。フリー。

顔を上げて背すじを伸ばしスマートにプレーする

きれいに立つことでバックスイングの動きもよくなり再現性が向上する

所作とは「その場の立ち振る舞いや身のこなし」という意味。ゴルフの場合は、アドレスに入る前にどのような立ち振る舞いをするかがとても重要で、それによってナイスショットの確率が変わる、と宮本勝昌はいう。

「ボールの後方に立ち、顔を上げて背すじを伸ばし、姿勢よく目標を見る。そして一定のルーティンでアドレスに入る。これだけで構え方が自然によくなり、ミート率がアップします。プロはもちろん、所作がきれいな人は総じてアドレスもきれいで、スマートかつカッコよく見える。ボールばかり見ていると、顔(頭)が下がって猫背になり、ミートできなくなる顔を上げて背すじを伸ばしスマートにプレーするので注意しましょう。ティーアップの仕方もスマートに行なえば、全体のリズムがよくなりますよ」

ボールの後方からターゲットとスパットを設定。素振りを行ない、スパットを見ながらボールサイドに回り込むのが、宮本のルーティン

ボールの後方で姿勢よく目標を見る

顔を上げて背すじを伸ばし、姿勢よく目標を見るという習慣をつけることが大事。そこから一定のルーティンでアドレスに入れば、きれいに立てる。姿勢の悪い人がアドレスだけきれいに立とうとしても難しい

ボールばかり見るのはNG

ボールばかり見ていると前傾姿勢が深くなりすぎるだけでなく、体が硬直し動かなくなってしまう

ボールよりアマチュアはコースよりボールを見ている時間のほうが長いが、それを反対にすればアドレスがよくなるコースを見る

ティーアップはしゃがまずに片足立ちで!

右手でボールとティーペグを持ったら、右足を前に出し片足立ちに。そして体重を乗せながらヒザを軽く曲げてティーを挿す。このとき、クラブで体を支えるとバランスが崩れない

しゃがむとスマートさに欠ける

腰を落として股を大きく開き、ティーを挿してからボールを乗せるという所作は、カッコ悪いうえにプレーのリズムも悪くなる

人さし指と中指の間にティーペグを挟み、ボールと一緒にティーアップを行なうとスマートに見える

レッスン=宮本勝昌
●みやもと・かつまさ/1972年生まれ、静岡県出身。174㎝、76㎏。レギュラーツアー12勝。19年の中日クラウンズは46歳で見事優勝。今季は全米プロシニア選手権に初出場し10位に入る活躍を見せた。シーミュージック所属。

クラブがインサイドから正しく下りて球のつかまりがよくなる

クラブが立ちヘッドが走る!

トップからの切り返しは右手より左手を重視。小指を中心とした下3本指を使う

歳をとると下半身の筋力が衰えて、手打ちの傾向が強くなる。すると切り返し以降、右手の親指と人さし指に力が入りやすくなり、カット軌道のスライスやコスリ球、ヒッカケなどさまざまなミスが出ると、深堀圭一郎は指摘する。

「筋力が衰えたとしても下半身をしっかり動かすことが第一ですが、そのうえで右手ではなく、左手の小指を中心に、薬指、中指に力を入れましょう。この下3本指でクラブを引っぱるように振り下ろすと、スイングプレーンに沿ってクラブが立ち、インサイドから正しく下りてくる。こうすると球のつかまりがよくなり、飛距離アップが実現します。また、左手を深くかぶせて握ると、力を入れやすくなり、切り返し以降の左手のリードがうまくできますよ」

左手の小指、薬指、中指の3本指でクラブを引っぱり下ろす

切り返しで左足を踏み込みながら、左手の下3本指でクラブを引っぱり下ろす。これにより、スイングプレーンに沿ってクラブが立ち、遠回りせずに最短ルートで下りてくる。手とクラブが体の近くを通るため、ミート率もよくなる

カット軌道で飛ばない

切り返しで右手の親指と人さし指に力を入れると、カット軌道になり、クラブが遠回りしてしまう

クラブを垂直に持つ

左手の小指を中心に握ると、小指からヒジにかけての左腕外側に力が入り、適度な力感になる。腕の内側に力を入れるのはNG

左手を深くかぶせてクラブを握る

左手の握りこぶしが3つ見えるくらいの、いわゆるストロンググリップにすると力が入り、クラブを引っぱる動きもしやすい。反対に、左手の握りが浅いウイークグリップは力が入りにくい

左手1本で素振り

左手の下3本指でクラブを握り、残りの7本の指は力を入れずに添える。この握り方で素振りを繰り返し、「左手リード」と「ヘッドが走る」感覚をつかむことが大事

いかがでしたか? 左手に下3本指で引っぱるスイングを身につけることで体力の衰えをカバーできます。ぜひお試しください。

レッスン=深堀圭一郎
●ふかぼり・けいいちろう/1968年生まれ、東京都出身。173㎝、68㎏。レギュラーツアー8勝。22年のコマツオープンでシニアツアー2勝目をあげた。今季もノジマチャンピオンカップ2位と好調。フォーラムエンジニアリング所属。

構成=小山俊正
写真=渡辺義孝

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