“正しいアプローチ”の構え方とは?「シャフトを…」と目澤コーチが解説
ゴルフで「いいスコアを出す」とは、バーディを獲りにいくことではない。できるだけ大ミスをしないことが、スコアメイクの近道だと目澤秀憲は言う。
これは今月から解説する「アプローチ」でも、まったく同じだ。
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MEZAWA METHOD 1 シャフトを直角に立てる意識でアドレス
今回はアベレージゴルファーがスコアアップするために、ドライバーの次に重要なアプローチについてお話ししていきます。アプローチの定義については、40〜50ヤードはアイアン寄りのイメージをベースに打つ距離と考えていますので、距離的には30ヤード以内あたりからピンに寄せていくストロークになります。アイアンはボールを〝打つ〞イメージですが、アプローチは〝目標にボールを止める〞のが目的。
とりわけウエッジを使うアプローチでは、なるべくピンに近くて次のパットを楽に決められる場所に運ぶという明確な目標があり、ある程度コントロールもできますから、ショットとは一線を画すことになります。また、整った条件下でミスをしないことがスコアアップの最優先事項になりますので、ここではいいライでターゲットとの間にハザードなどの障害がない状況から打てるケースについて解説していきます。
スタンス幅が狭いほうがアプローチは安定する
まず使用クラブですが、ロフト56度や58度のサンドウエッジ、もしくはアプローチウエッジがいいでしょう。アドレスでは、体の真ん中にボールがくるように両足をそろえて立ったら、ボールに合わせてクラブをソールします。この時点でヘッドは、ほぼストロークの最下点に位置し、ボール1個分ハンドファーストの構えになります。
スタンスを決める際は、その体勢で左足を半歩分ほど広げ、続いて右足をわずかに右へズラしましょう。左足を右足よりも多く広げると、ボールの位置が自分から見て体の中心より右寄りになります。グリップの位置はつねに体の中心にありますから、広げるほどハンドファーストの度合いが強くなります。ポイントは、できるだけスタンス幅を狭めること。というのも、アプローチでは飛距離を出す必要がないからです。逆に言うと、飛びすぎてはいけない。
スタンス幅を狭くすることで、スイング中に余計な体重移動が入りづらくなり、飛びすぎを未然に防げます。加えて、頭から足先までが1本の軸になりますから回転運動を安定させる効果も期待できます。体重配分は6対4くらいの割合で左足体重にしましょう。さらに言うと、左ツマ先をやや外側に向け、胸をほんの少しターゲット方向に向けて、わずかなオープンスタンスにしておいてもいいでしょう。アマチュアの方のアプローチでよく目にするエラー動作に、手首を使った動きがありますが、こうしておくと多少手首を使っても大きなミスになりません。
テークバックがややアウトサイドに上がることで、インパクトで左肩の高さが変わらなくなり、ヘッドが適正な角度で上から入って低く抜ける格好になるのです。ここまでできたら、ハンドファーストになりすぎていないかチェック。左足体重にした際に、体全体が左に傾くとハンドファーストがきつくなるので、そうなっていないかを確認します。アドレスではボール1個分ハンドファーストと記しましたが、意識としては地面に対してシャフトを直角に立てる感じでOKです。
その前提で左足6対右足4の体重配分で構えればバランスのいいアドレスになっています。要はアドレスの時点でインパクトに近い形にしておくこと。ショットではアドレスとインパクトの形が違いますが、動きの小さいアプローチではほぼ同じ。ダウンブロー軌道でしっかりボールをとらえられます。
MEZAWA METHOD 2 手首を使ってヒョイとクラブを上げない
ショットでは骨盤を回す、俗に言う〝腰を切る〞動きが必要ですが、アプローチではエネルギーの過剰な発生を招くので、下半身を能動的に使う必要はありません。目的はあくまでボールを止めることです。打つ距離が短いですから、必然的に振り幅は小さくなります。ロフト56から58度のサンドウエッジで30ヤード以内の距離を打つなら、グリップがバックスイングで右腰のあたりにくる振り幅が目安になります。
ちなみに、この振り幅はひとつの基準になりますから、アプローチで使いそうなクラブ、少なくともバッグに入っているウエッジについては、手が右腰まで上がった振り幅で打った場合のキャリーの距離を把握しておきましょう。振り幅が大きくなるほどエラー動作が起こる確率が高まることを考えると、「右腰の高さよりも大きくは振らない」と決めておくのもいいでしょう。状況さえ許せば、同じ振り幅でクラブだけ替えれば対応できますからやさしく寄せられるはずです。
スイングで気をつけたいのは、手首を使ってヒョイッとクラブを上げないようにすること。アプローチではスタンス幅が狭く意識的に体重移動することもありませんから、ついつい手首を使いがち。とくにどう動いていいかわからないビギナーの方は、振り幅が小さいほど手打ちになります。ただ、だからといって手首をガチガチに固めてしまうのは考えもの。インパクトが詰まる原因になります。ベストはクラブを振ったときに自然にコックが入る状態。これだとクラブの重さを使って打てるので、体を回すだけでうまくヒットできます。
MEZAWA METHOD 3 ハンドファーストで打つ意識はいらない
ハンドファーストを意識しながら手が先行して体が起きてしまうと、トップやダフリの原因に
30ヤード以内のアプローチでは、ある程度インパクトのエネルギーをセーブしたい。アイアンのようにハンドファーストのインパクトを意識するとヘッドが地面に刺さる、あるいは飛びすぎてしまうからです。ですから、ノーマルなアプローチではアドレス同様、インパクトイメージもシャフト1本分くらいのわずかなハンドファースト。クラブの最下点を左肩の下くらいに設定しておくとロフトどおりに当たって距離感も出ます。
そもそも「アプローチはハンドファーストで打つ」という意識が間違いで、過度なハンドファーストを招く。インパクトで手元が体から離れて左ワキがあき、打点がブレてしまうのです。小さい振り幅で打つアプローチですが、動力源は体の回転。腕やクラブを体の正面にキープしたまま、胸を左右に回転させましょう。大事なのは、その回転に対する腕とクラブの同調性。うまく同調できるとスイングのプロセスで手が体から離れません。アプローチ巧者はみんな体の近くで腕を振っています。
これを実現するには、手首を固めず自然にコックが入る強さでグリップし、腕がスムーズに動くよう両ヒジから先をリラックスさせておきましょう。クラブのリリースがナチュラルになって、結果的に手が体から離れにくくなります。間違ったハンドファーストを正せばミスヒットは激減します。打点が安定しない人はハンドファーストの意識を捨ててもいいくらい。インパクトを意識してアドレスしていますから、手元の位置をなるべくキープしてクラブをゆるやかに動かしましょう。
振り幅の小さいアプローチでも体の回転で打つ。腕やクラブを体の正面にキープして胸を左右に回転させる
体の回転に腕とクラブがうまく同調するとストローク中に手が体から離れない。アプローチ巧者はみんなこの形ができている
いかがでしたか? 腕の動き、手の動きを参考にしてみてください。
ゴルフコーチ 目澤秀憲
●めざわ・ひでのり/1991年生まれ、埼玉県出身。5歳からゴルフを始め、プロゴルファーを目指す。日本大学法学部卒業後、「TPI」(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート。アメリカのインストラクター養成プログラム)を知り、セミナーを受講して感銘を受ける。24歳で指導者に転身後は、ボストンでの語学留学を経て、TPIの5つの資格のうち「ゴルフ」と「ジュニア」の最高水準であるレベル3を取得。一般ゴルファーへのレッスンをしながら、2021年には松山英樹と専属コーチ契約。松山のマスターズ日本人初制覇に貢献した。ゴルファー個々の身体的特徴に合った動きを教える「コーチング」をベースに指導。昨年から河本力のコーチも務め、ツアー優勝へと導いた。
目澤メソッド
この連載の内容が書かれている書籍が『目澤メソッド』。松山英樹を筆頭に、男女ツアープロを指導し、ツアー優勝やシード獲得へ導くゴルフコーチ・目澤秀憲が、その指導メソッドを「アマチュアのためのスコアアップ法」にフォーカスしてわかりやすく解説した、うまくなりたいゴルファー必読の1冊だ。「ツアープロとアマチュアのスコアアップ法は、じつはかなりの部分が共通している」「ゴルフで“いいスコアを出す”とはバーディを獲りにいくことではない」という目澤の上達ノウハウが詰まっている。全国書店やアマゾンほかネット書店などで好評発売中!(実業之日本社刊 税込価格1650円)
文=岸和也
写真=高橋淳司
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