原英莉花のクラブセッティングは?「5メーカーのヘッドを混合し…」【2023年】
長年、プロのセッティングを見てきた鹿又だが、「今年優勝している女子プロのセッティングは劇的に変わった」と語る。何が変わったのか?
※取材時は2023年。セッティングのクラブは、大会によって変更する場合があります
※セッティングのクラブは、大会によって変更する場合があります
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賞金ランキングトップ15選手のウッド&ウエッジのロフト構成
数年前まで女子プロは、フェアウェイウッドやユーティリティを2、3本入れる選手が多く、ロフトが大きいウッドをうまく使う選手が優勝したり、賞金女王になっていました。
しかし、今年優勝した選手や賞金ランキング上位に入っている選手を見ると、フェアウェイウッドを1本しか入れていない選手がすごく増えています。ユーティリティも1本か2本。ウッドを減らしたぶん、ウエッジの本数を増やすようになりました。
傾向としては、女子プロのセッティングが男子プロに近づいてきましたね。その新しいトレンドのなかから、今回はアマチュアゴルファーが参考にするべきポイントを紹介していきましょう。
若き飛ばし屋は5番アイアンを使う
フェアウェイウッドを1本にするのは、プラチナ世代(2000年生まれ)、ダイヤモンド世代(2003年生まれ)以降の選手に増えています。今年優勝した選手でいえば、岩井千怜選手、吉田優利選手。ルーキーで複数回優勝している神谷そら選手、櫻井心那選手はフェアウェイウッドが1本。4人ともロフト15度の3番ウッドのみです。
この4人に共通しているのが5番アイアンを入れていること。一時期、女子プロは6番アイアンからのセットにする選手が増えましたが、若い選手は再び5番アイアンを使うようになりました。その理由は、この世代の選手はドライバーで240から250ヤードの飛距離が出るので、そのヘッドスピードがあれば5番アイアンも使えるからです。アマチュアでも飛距離が出るタイプは、こういうセッティングを参考にしましょう。
吉田優利 3Wだけ他メーカー。アイアンはコンボ
ブリヂストンと契約している吉田だが、3番ウッドはテーラーメイドの「SIM2 MAX」。アイアンは6番からPWは「221CB」で、5番アイアンだけセミラージサイズの「222CB プラス」を入れたコンボアイアンセット。
吉田優利
●よしだ・ゆうり/2000年生まれ、千葉県出身。158cm。21年に2勝して、今年はメジャー初優勝も達成。エプソン所属。
岩井千怜 飛び系アイアンをUTの代わりに
アイアンは5番からPWまで「EZONE CB511フォージド」でそろえているが、それとは別に飛び系アイアン「EZONE FS」の6番アイアン(ロフト23度)をアイアン型ユーティリティの代わりに使用している。
岩井千怜
●いわい・ちさと/2002年生まれ、埼玉県出身。162cm。今年は「RKB×三井松島レディス」などで優勝。ツアー通算4勝。HONDA所属。
櫻井心那 ドライバーはロフト8.5度で311gと重め
ドライバーはロースピンタイプの「ZX5 MkⅡ LS」だが、ロフトは8.5度の特別仕様。シャフトは60g台で、ドライバーの総重量は311gと重め。男子プロとほとんど変わらないスペックを使用している。
櫻井心那
●さくらい・ここな/2004年生まれ、長崎県出身。166cm。今季は3勝をあげて、メルセデス・ランキング6位につけている。
神谷そら 平均飛距離No.1!シャフトは超ハード
女子ツアーで平均飛距離1位の神谷そらは、ドライバーも3番ウッドもシャフトは「ベンタス ブラック」という超ハードなモデルを使用。アイアンセットの「RMX VD/R」も今平周吾などが使うアスリートモデル。
神谷そら
●かみや・そら/2003年生まれ、岐阜県出身。167cm。昨年のプロテストを1位で合格し、今季は2勝をマーク。郵船ロジスティクス所属。
山下美夢有と申ジエは番手構成がほぼ同じ
女子ツアーでは20歳前後の飛ばし屋でフェアウェイウッド1本派が増えている一方、3番&5番ウッドを使うフェアウェイウッド2本派もいます。このセッティングの選手の番手構成を調べると、ほとんどがロフト25度以上のユーティリティを使っています。
年間女王を争う山下美夢有選手と申ジエ選手の2人はフェアウェイウッドとユーティリティの番手構成がまったく同じで、セッティング全体も似ています。2人ともフェアウェイウッドが3、5Wで、ユーティリティが4、5UT。そして、アイアンセットが6番からPWで、ウエッジが3本。また35歳の菊地絵理香選手は30歳を超えてからユーティリティを増やして、現在は21、25、27度の3本を使っています。ドライバーの飛距離が220ヤード前後のアマチュアは、こういうセッティングを参考にしてください。
山下美夢有 高校生のころからUTを積極的に活用
ロフト22、25度のユーティリティを使う山下は、高校生のころからユーティリティを積極的に使うタイプの選手。練習日は7番ウッドを入れるときもあるが、7番ウッドを使用しないときは48度のウエッジを使用する。
山下美夢有
●やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。150cm。昨年は史上最年少で年間女王になり、今季も4勝をあげている。加賀電子所属。
菊地絵理香 2015年発売のUTを使い続ける
ユーティリティは「タイトリスト816 H1」。2015年に発売したモデルで、菊地は2017年シーズンから使いはじめて、徐々に本数を増やし、現在は4、5、6UT相当の3本を使用している。
菊地絵理香
●きくち・えりか/1988年生まれ、北海道出身。157cm。10年連続で賞金シードを継続し、3年連続優勝の実力者。ミネベアミツミ所属。
申ジエ キャロウェイとテーラーメイドで14本
クラブ契約フリーの申ジエは、ドライバー、アイアン、パターがキャロウェイで、フェアウェイウッドとユーティリティがテーラーメイド。2メーカーで14本を構成している。
申ジエ
●しん・じえ/1988年生まれ、韓国出身。155cm。米国ツアー、韓国ツアーで賞金女王を獲得。日本ツアーでも通算28勝。スリーボンド所属。
もネックがショートスラントになっているので操作性が高い。ミスヒットに強いマレット型に、ブレード型のメリットである操作性を融合したパターは、今後も女子ツアーのトレンドになるでしょう。
岩井明愛 ローリー・マキロイと同じパターにして3勝!
プロデビュー直後はブレード型を使っていたが、昨年9月以降、ローリー・マキロイに憧れて同じ形状(カラーリングは異なる)のパターを使いはじめると、そのパターで3勝をマークしている。
穴井詩 昨年は5回パターを替えたが今年は?
以前はオデッセイの「EXOセブン」などを使っていたが、昨年は1シーズンに5本のパターを使用。最近は「2-BALL BLADE」がエースパターになっている。
小祝さくら 4月から投入したトライビームの角型
昔からマレット型パターで結果を出してきた小祝だが、今年4月からホーゼルネックの「トライビーム♯7」を投入。特徴は浅重心設計で、ソールの前方部分にタングステンを内蔵している。
菅沼菜々 約2年前からピンのセンターシャフトに
パターは約2年前からピンの2021年モデルを使用。センターシャフトタイプの「ピン2021 タインC」で、長さは33インチと少し短めにしている。
原英莉花
5メーカーのヘッドを混合
UTを減らしてウエッジ4本
クラブ契約フリーの原は、キャロウェイ、ヤマハ、ピン、ミズノ、ゾディアと5つのメーカーを混合したセット。昨年の前半までUTを2本入れていたが、今季優勝した「日本女子オープン」などではUTを減らし、PWから下をウエッジ4本にしている。
原英莉花
●はら・えりか/1999年生まれ、神奈川県出身。173cm。通算5勝のうちメジャーで3勝。NIPPON EXPRESSホールディングス所属。
いかがでしたか? マレット型パターについてご紹介でした。ぜひ参考にしてみてください。
解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。
構成=野中真一
写真=ゲーリー小林
撮影トーナメント=ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン
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