ドライバーがすぐ&格段に上達する!新しいスイング軌道と打点とは…?【記事ベスト3】
12月下旬に公開した記事で、アクセス数が多いレッスン記事ベスト3を紹介していきます。
まず紹介するのは、第3位の記事になります。
【関連記事】318ヤード飛んだ!岩隈久志、鈴木愛が「G430 MAX 10K」を試打
第3位:ラウンド中に“絶対NGなこと”3選!ゴルフコーチが解説「真っすぐを意識すると…」
片岡プロによるパターのアドレスの解説です。
パット数を増やさないことはスコアメイクの肝。
パターが苦手な人はもちろん、プレーするゴルフ場のグリーンによってよく入る日もあれば、入らない日もある、というゴルファーは、ツアープロからのヒントでいつもナイスパットが打てる安定感を手に入れよう!
パターとの一体感が高まり方向性アップ
パットのストロークは「ボール位置」によって大きく変わります。とくに体との距離が重要で、ボールから離れて立つほどインサイド・インの円軌道になり、近くに立つほどストレート軌道になります。僕は後者のほうが感覚が合うので、ボールの近くに立ち、パターを吊るようにしてヒールを浮かせます。すると「上体、腕、パターの一体感」が高まり、肩の動きだけでストロークができる。フェースの余計な開閉もなくなってヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出せるので、方向性が劇的によくなりました。
僕はクロスハンドですが考え方は同じです!
この打ち方に変えてショートパットのミスが激減。ツアー初勝利をあげ、パット数1位に輝いた。
肩をしっかり動かす
体が左右に揺れない(動かない)ように、体の中心軸をキープしながら、肩をしっかり動かすことが大事
ボールから離れて立つほど円軌道になる
ドライバーなどのショットと同じ感覚で打てるが、フェースの開閉が大きくなり、コントロールするのが難しい
ストレートに近い軌道になり真っすぐ打てる
ボールの近くに立つことで、ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出せる。「厳密にいうと真っすぐではありませんが、感覚的にはほぼストレートの軌道です」(片岡)
片岡尚之
●かたおか・なおゆき/1997年生まれ、北海道出身。171㎝、67㎏。19年にプロ転向。自身4試合目の出場となった21年のジャパンプレーヤーズ選手権でツアー初優勝し大ブレイク。20-21年シーズンは平均パット数で見事第1位(1.7349)に輝いた。CS Technologies所属。
次は、大岩龍一プロです。
事前に振り幅を決めることで迷わずにしっかり打てる
テークバックとフォローのヘッドの位置を決めて打つ
打つ距離に対してテークバックが大きすぎると、インパクトがゆるんで距離感がバラついてしまう。これが3パットのミスを招く大きな原因です。そこで僕は、素振りのときに距離に合った左右対称の振り幅を作り、テークバックとフォローのヘッドの位置を決めます。
そして、フェースの真芯でボールをとらえながら、そのフォローの位置に向けてヘッドを加速させていく。こうすればテークバックが必要以上に大きくならず、インパクトがゆるみません。簡単なので、アマチュアのみなさんにもオススメです。
テークバックが大きすぎる
インパクトがゆるんで、ショートのミスが出やすい。ボールの転がりも悪くなるので、傾斜や芝目に負けてしまう
フォローが大きすぎる
ショットのすくい打ちと同じで、ヘッドを下から上に振り上げると、ボールがつかまらず距離感を合わせにくい
フェースの真芯でヒット!
レベルブローに打ち、フェースの真芯でボールの芯をとらえる。ヘッドを加速させるとインパクトのゆるみを防げる
左右対称の振り幅が理想
テークバックとフォローの比率は1対1。ヘッドを引いたぶんフォローを出し、左右対称の振り幅を作ればストロークが安定する
大岩龍一
●おおいわ・りゅういち/1997年生まれ、千葉県出身。182㎝、92㎏。21年に初シードを獲得。22年は4度のベスト10入りを記録し、賞金ランキング28位。今季は悲願のツアー初優勝を目指す。フリー。
次は、植竹勇太プロです。
頭がしっかり残りミスパットが減る
「ヘッドアップのミスはダメ!」とわかっていても、ボールの行方や結果が気になり、つい頭を上げてしまいがち。このクセが直らない人は、ボールの先に「低いトンネル」をイメージしてみましょう。高さのあるトンネルでは意味がないので、ボールがギリギリ通るくらいの低いトンネルをイメージし、その中にボールを通すように打ちます。こうして意識をカップではなく、トンネルに向けることがコツ。頭がしっかり残るので、ミスヒットが減り、カップインの確率が上がりますよ。
ボールの先に低いトンネルをイメージする
ボールがギリギリ通るくらいの低いトンネルをイメージし、そこに意識を向ける
一体感を重視してバランスよく握る
クロスハンドグリップを採用。「一体感を重視し、左右バランスよく握ったうえで、手首をしっかり固める」と植竹。手先を使わないのでフェース面が安定する
頭が上がるとヘッドも上がってしまう
ライン( 方向性)を出しにくく、フェースの下側にボールが当たってミスパットになる
ヘッドが低く出て真っすぐ打てる
インパクト後も頭が上がったり目標方向に流れたりしないように、頭を残すことが大事。ヘッドが低く出て、狙ったラインにボールを乗せやすくなる
ぜひ、植竹プロのヒントを参考にしてみてください!
植竹勇太
●うえたけ・ゆうた/1995年生まれ、北海道出身。163㎝、63㎏。21年に初シードを獲得。正確無比なショットに定評があり、22年はフェアウェイキープ率2位(68.43%)を記録。セガサミーホールディングス所属。
構成=小山俊正
写真=相田克己、田中宏幸
正しいグリップはどれ…!? ドライバーで簡単にOBをなくす方法
ゴルフは多くの道具とさまざまな打ち方を組み合わせてプレーする。「何がうまくなればスコアアップできるのか」と迷うこともあるだろうが目澤秀憲コーチは「80を切るまではドライバーが最重要」という。
すべてのショットで少しでもピンに近づける
私はスコアが80を切るまでは、ティーショットが大きなポイントになると考えています。ドライバーがある程度飛んで安定感がある。具体的には50から60%の確率でフェアウェイに運べるのが、常時80台まわれるようになる目標といったところでしょう。
クラブのなかで一番難しいドライバーが半分以上の確率でうまく打てたら、アイアンはなんとかなっているはずなので、そこはすごく大事。カバーしていくならティーショットからです。
昔は「パット・イズ・マネー」という考え方があり、パットがもっともストロークに貢献すると言われてきました。
もちろんツアーで優勝しているプレーヤーたちは、勝つ試合ではパットがめちゃくちゃ入っています。ですが、安定して上位にいるプレーヤーたちは、ドライビングとアプローチでカップに近い位置にボールを運べており、ランキングとも相関関係があります。すなわち、世界ランキング上位の面々はもれなくそれができているのです。
わかりやすいのはブライソン・デシャンボー。ドライビングでとことん距離を稼ぎ、次打でウエッジを使えればピンの近くへ打っていける。そんな理想型を具現化させようと取り組んできたひとつの結果が、彼をトッププロへと押し上げました。
同じ林でも180ヤード先より250ヤード先がいい
目標が100切りでも80切りでも、グリーンに近くて打ちやすい場所からアプローチできれば最高で
す。300ヤードのパー4で、ドライバーで240ヤード先のフェアウェイに運べたら、次はウエッジで打てるでしょう。ピタピタ寄ることはないかもしれませんが、グリーンオンする確率は確実に上がります。パットが苦手でも、さすがに5パットとかはしないでしょうから、悪くてもボギーという世界が見えてきます。
ティーショットが曲がって180ヤードくらいしか飛ばず、林のなかからロングショットを強いられたら、プロでもボギーで上がるのは困難です。でも、曲がっても250ヤード飛んでいればグリーンには近い。同じ林に入るなら250ヤード飛んで林のほうがずっといい。1回で出してパーを拾えるチャンスがあるのは圧倒的に後者で、これもスコアに対するティーショットの貢献度です。
つまりは、ティーショットのみならず、ショットはピンの近くにいったほうがいい。であれば、広い
ホールのティーショットは割り切って振りきるべきです。それが通用しないシチュエーションもありますが、日本のコースでプレーするアマチュアゴルファーなら、そう考えたほうがスコアアップにつながります。
インパクトで強く叩けるグリップになっているか
グリップで一番大切なことは、「もっとも力が出やすい握り方をしているか」です。では、どう握れば
いいか説明していきましょう。
そのポイントとなるのが、インパクトで一番強く叩ける「左手の向き」を知ることです。それがわか
れば自分に合ったスタイルが見つかります。
自分にどんなグリップがあっているかを見つけるためには、左手1本でクラブを持ってインパクトバッ
グなどを叩いてみること。細い棒状のものでクッションや座布団などを叩いてもいいでしょう。利き手でなく、器用さに欠ける左手で強く叩けるインパクトの形は、自ずと次の3種類に集約されます。
❶ 左手甲がターゲット方向を向く
❷ 左手甲がやや正面を向く
❸ 左手甲が❶と❷の中間を向く
これが確認できたら、インパクト時の左ヒジの向きもチェックしてください。左ヒジが外側を向いているか、内側を向いているか。左手甲がターゲット方向を向いていれば、左ヒジは内向き。やや正面方
向を向けば外向き、両者の中間になる方もいます。
この左手甲と左ヒジの関係をそろえてから右手を添えてグリップすれば、フィットして力が出やすく、
インパクトでの再現性も高くなります。
また、通常グリップは左手甲の向きにより、スクエア、ストロング、ウイークの3つに分かれるとされますが、これらもインパクト時の力の出し方と相関関係があります。
たとえば、タイガー・ウッズはスクエア、ダスティン・ジョンソンはストロング、ブライソン・デシャ
ンボーはウイークグリップですが、3選手ともグリップありきではなく、力の出しやすさありき、のグリップだと考えられます。
インパクト時の左ヒジの向きもチェック
左ヒジの向きが外側か内側か。左手甲がターゲット方向を向いていれば内向き。正面方向を向けば外向き。両者の中間になる人もいる。左手甲と左ヒジの関係をそろえてからグリップする
ティーショットの傾向を正確につかむ
アベレージゴルファーを脱してワンランク上を目指すには、ドライバーショットが大事と記しました。そこで、まずはあなたの今のドライバーショットの傾向をつかんでおきましょう。
アベレージゴルファーの多くは、たとえばスライスが出るとすぐさまインサイド・アウトに振ろうとします。でも、そのつもりで振ってもできているのかはわからないので、右にも左にも飛ぶようになって収拾がつかなくなります。こうなると進んでいくべき方向がわかりません。
繰り返しになりますが、スライスがよく出るのであれば、ちゃんとスライスが打てるようになること。打球が一定方向に曲がるほうが、スコアメイクするうえでは計算が立ちます。スコアはもちろんですが、スイング的にも同じように振れるわけですから、そのほうがずっと自然。自然体を認知することが第一段階というわけです。
見ていただきたいのは、出球と球筋。ショットの球筋には右にあげた13種類があります。できるだけ細かく分析するのが好ましいですが、まずは大まかな傾向をつかんでください。何球かに1回は左右に真っすぐ突き抜ける球や急角度で左右に曲がる球が出るかもしれませんが気にせずに。それをなくして出球と球筋をそろえることが当面の目標です。
打ち出し方向はフェースの向き
曲がり方はスイングパスが影響
出球の方向と打球が曲がるメカニズムについても正しい認識が必要です。
出球はインパクト時のフェースの向きの影響を大きく受けます。フェースが右向きなら右、左向きなら左に飛び出します。一方、ボールの曲がりはスイング方向(スイングパス)で決まります。アウトサイドからインサイドに振ると右に、インサイドからアウトサイドに振ると左に曲がります。
スライスやフックをはじめとする13種類の球筋は、すべてこの2つの組み合わせで起こります。たとえばフェースの向きがスクエアでインパクトしても、スイングパスがアウトサイドからインサイドならスライスになりますが、フェースの向きがちょっと変われば出球の方向が変わり、スイングパスが少し変われば曲がり方が変わります。
ここにヘッドスピードやヘッドの入射角なども絡んでくるので複雑極まりなく、とても文章では説明しきれません。ただ、逆に言えばフェースの向きにしろ、スイングパスにしろ、ちょっと変われば球筋が変わるということでもありますから、完璧なストレートボールを目指すのでもないかぎりスイング改善はさほど難しくないのです。
ここで知っておいていただきたいのは「スライスするからフェースを閉じる」は事実誤認であること。出球はインパクト時のフェースの向き、曲がりはスイングパスでほぼ決まるということだけ覚えてください。
スイングパスに対してつねにフェースをスクエアに保つ
出球の方向はインパクト時のフェース向きに左右されますが、この場合のフェースの向きとは、スイングパスに対しての向きを指します。「インパクト時のフェース向きはスクエアが理想」と言われますが、これはボールとフェース面にかぎったものではなく、スイングパスとの関係でもあるわけです。
アマチュアゴルファーがイメージするのは、もっぱらインサイド・インのスイングパス上でのインパクト。これでヘッドの最下点でフェースがスクエアに当たればボールは目標方向に真っすぐ打ち出されます。
しかし、ドローボールを打つには目標方向の右、フェードボールを打つには左に打ち出します。そうなると前者はインパクトでフェースが開き、後者では閉じていなければなりませんが、それでも打球は目標方向に戻る。これはスイングパスに対してスクエアにヒットできているからです。
プロがドローやフェードを打ち分けられるのは、スイングパスに対してフェースがスクエアに動いているからです。これができると理論上どこでボールをとらえても、打球はスイングパスの方向に真っすぐに飛び出します。最下点でヒットすれば目標方向、やや手前なら目標より右、やや先なら同様に左に打ち出されるのです。
このロジックがわかっていると、フェースの開閉が原因となるミスの本質がわかるはず。すなわち、スイングパスに対してつねにフェースをスクエアに保つことがミスを減らすのです。
目澤メソッド、ぜひお試しください。
ゴルフコーチ目澤秀憲
●めざわ・ひでのり/1991年生まれ、埼玉県出身。5歳からゴルフを始め、プロゴルファーを目指す。日本大学法学部卒業後、「TPI」(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート。アメリカのインストラクター養成プログラム)を知り、セミナーを受講して感銘を受ける。24歳で指導者に転身後は、ボストンでの語学留学を経て、TPIの5つの資格のうち「ゴルフ」と「ジュニア」の最高水準であるレベル3を取得。一般ゴルファーへのレッスンをしながら、2021年には松山英樹と専属コーチ契約。松山のマスターズ日本人初制覇に貢献した。ゴルファー個々の身体的特徴に合った動きを教える「コーチング」をベースに指導。昨年から河本力のコーチも務め、ツアー優勝へと導いた。
文=岸和也
写真=高橋淳司、田辺安啓
ラウンド中に“絶対NGなこと”3選!ゴルフコーチが解説
ベストスコアを更新するためには、技術的なレベルアップも大切ですが、普段からスイングをシンプルに考えられるようにしておくこともとても大事です。どこに上げる、どう下ろすなどスイングを複雑に考えすぎると、プレッシャーがかかったときに動きのスムーズさを失って本来のスイングができなくなったり、マネジメントもおろそかになってしまいます。
大事なことは”円で振る”!
では、シンプルなスイングとは何かといえば「円で振る」こと。体の動きはあれこれ考えず、ヘッドできれいな円を描くように振ることだけを考えるのです。「当てたい」「真っすぐ飛ばしたい」という意識を消して「まあるく振る」ことに集中する。これができれば、プレッシャーのかかる場面でもスムーズに「いつもの動き」がしやすくなり、ベストスコア更新のチャンスも増えるはずです。
円運動は振り子の延長。振り子はクラブの自然な動きでもあり、エネルギー効率がよく、再現性も高い
ラウンド中、急にスコアが崩れる3大思考パターン
①「当てたい」と考える
「振る」ことよりも「当てたい」という意識が強くなると、ボールに対して直線的なダウンスイングになってしまう
②「真っすぐ」を意識する
曲げたくないという意識もスイングを直線的にしてしまう。打球は逆に方向性を損なう結果になりやすい
③体の動きを意識しすぎる
体の動きに意識がいきすぎると動きのスムーズさを欠いてしまう。スエーや逆体重など、悪い動きが助長される
クラブを振るのは手の仕事 〝手元〞が描く円を意識しよう!
では「円で振る」には何が重要かといえば「手元がキレイな円を描くようにスイングする」です。それには、遠く離れたクラブのヘッドよりも体に近い手元を意識する。手元はクラブと体をつなぐ連結部分でもあるので、手元でキレイな円を描けば、結果的にクラブも自然な円を描いてくれます。
また、円を描く際には、支点となる部分をズラさず、スイング中に位置をキープすることも大切です。その支点は首の付け根になります。首の付け根を中心として、手元の距離を変えずに円を描く動きをイメージしましょう。
ヒジが体の幅に納まることが大事
半径を保って手元がキレイな円を描くためには、手元が胸の正面に保たれていることが重要。ヒジの位置が体の幅からはみ出さないように気をつけよう
コレはNG
円の中心がズレてしまう
円の中心が動かないことも大事。スエーしたり前傾角度が崩れると、円の中心である首の付け根の位置がズレてしまう
円の半径が途中で変わる
円の半径は腕の長さ。左ヒジが曲がったり引けると、半径が変わって円の軌道がいびつになってしまうので注意しよう
手元を〝引っぱる〞動きからスタート
実際にクラブを持って円を描くスイングをするうえでは、クラブを引っぱり続けてスイングすることがポイントになります。
とくに肝心なのは、バックスイングの始動。スイング中にクラブを押す動きが入った瞬間、軌道が乱れて円は損なわれるので、いちばん最初の始動時にちゃんと「引っぱる」動きを意識することが不可欠です。
最初は少し強調して、ヘッドをアドレスの位置に置いたまま、手元を飛球線後方に引くような動きで始動してみましょう。シャフトが棒ではなくヒモだと思って、ヘッドを真後ろに引っぱるイメージ。手元を持ち上げず、低い位置で動かすのがコツです。
始動で引っぱるとクラブと手元が途中で入れ替わる
少し勢いをつけて「引っぱる」始動をすると、途中でヘッドが手元を追い越していく
引っぱる動きでバックスイングすると、手首の動きを意識しなくても、途中でヘッドが手元を追い越して位置が入れ替わり、自然なトップに収まる
バックスイングで手元を持ち上げる動作はNG。低い位置に保つ意識をもとう
手元を波打たせる「ニョロニョロ素振り」
ヘッドを地面に置いたまま手元を右に引っぱり、ヘッドが動き出したら今度は左に引っぱるようにニョロニョロと動かす。ヘッドがずっと手に引っぱられて動く感覚を知ろう
切り返しは手元を〝遠く〟に!
「円で振る」ための最大のカギとなるのが切り返しです。アマチュアの多くは、切り返しで「押す」動きが生じて円軌道を損なってしまうのですが、この切り返しも「引っぱる」動きで行なうことがとても重要です。
引っぱる動きでバックスイングしたら、それを押し戻すのではなく、引っぱる方向を反転させるのです。このとき、グリップエンドを飛球線と反対方向に動かすような感覚をもってください。ムチやリボンを振るように、ここでもシャフトを棒ではなくヒモだと思うとイメージしやすいと思います。
リキんでグリップを強く握ってしまうと、この動きはできません。右手の親指と人差し指でグリップをつまむような感じで、手首もヒジもやわらかく使いましょう。右ヒジを引きつけるような動きは厳禁。右ヒジは伸びていってOKなのです。
切り返しの瞬間は、飛球線と反対方向にエネルギーをかける。手元が時計の文字盤の12時から9時に巻き戻って動くイメージだ
切り返しからダウンスイングで、手元やヘッドをボールに向かって直線的に動かすのはNG。遠回りさせる感覚でOK
手を振れば体も〝勝手〟に回る
ダウンスイング以降の動きは、あまり細かいことを考える必要はありません。
バックスイングと切り返しで正しい方向にクラブを引っぱることができていれば、ダウンスイング以降は何もしなくてもヘッドが走ってキレイな円を描き、スムーズに振り抜けます。体を回そうと考えなくても、クラブに引っぱられて体が自然と回っていく。余計な動きを意識しなくていいから、「円で振る」動きは実戦で強いのです。
この感覚を身につけるには、右手1本での素振りが最適。右手でクラブを引っぱり続けて振ることができれば、自然な円のスイングが体得できますよ。
体を回そうとすると振り遅れる。体はクラブにつられて勝手に回る感覚が必要
グリップは強く握り込まず、親指、人差し指、中指の3本でつまむ感じでOK
右手1本素振りで腕をしっかり振ろう
右手1本、3本指でクラブを持ち、クラブを引っぱり続けてスイング。首の付け根がズレないように注意し、手元でキレイな円を描こう
ダウンスイング以降何もしなくてもヘッドが走ってくれる
切り返しまでクラブを正しい方向に引っぱれれば、リリースやフェースローテーションも自然に生じ、意識的に行なう必要がない
正しく引っぱれていないと、自分でフェースを返す動作が必要になってしまう
「円を振る」という感覚を身につけてスムーズなスイングを練習してみましょう。
レッスン=吉永竜
●よしなが・りゅう/2000年生まれ、東京都出身。茨城県つくば市の「DIVERS GOLF」でレッスンを行なっているほか、ゴルフイベントの主催・運営なども手がける若手の理論派コーチ。
構成=鈴木康介
写真=圓岡紀夫
協力=日神グループ 平川CC
アクセス数第2位の記事はこちら。
第2位:シャフトをしならせて飛ばす方法とは?「トップでの手首の角度を…」と解説
クラブを加速させるコックを使うのが苦手なゴルファーは多いが、シャフトのしなりを使えば飛距離アップできる。
「アイアンだとコックが減る」をカバーするのが“しなり”
スイング中のコックはなんのためにするのか? それは飛ばすためです。
クラブは手首を曲げて、インパクトに向かってリリースすることで加速し、ヘッドスピードが上がるのですが、ドライバーより小さなヘッドで地面の上のボールを正確にミートしたいアイアンの場合、軌道やフェース向きがブレるのを嫌がってコックを抑えてしまう人が多い。すると、飛ばなくなりますが、それをカバーするのがシャフトのしなりで、コック&リリースと同様の役割りを果たしてくれます。
シャフトは、振り上げたクラブを戻す動作が行なわれる際に、シャフトにもっとも負荷がかかる切り返しでしならせます。それには力を入れる必要があるのですが、「切り返しは脱力するものでは?」と思っていたらカン違い。ある部分をキープするために力を入れてシャフトをしならせて打てば、コックを使わなくても飛ぶようになります。
切り返しで力を入れてOK!トップでの手首の角度をキープしたままインパクトへ
ヘッドを胸の高さまで上げて、ヘッドと手元の位置を変えずに手首だけ折ってみると、手首の角度によってフェース向きが変わるのがよくわかる。左手首を「甲側に折る」と開き、「手のひら側に折る」と閉じた向きになるが、トップではどちらのフェース向きでもOK。
大切なのは切り返しでシャフトをしならせること。トップからインパクトまで手首の角度を変えずにキープするリキみが、切り返しでのシャフトのしなりを生み出す。これが飛ばすための正しい力の入れ方になる
トップで「左手首が甲側」に折れている→フェースが開いているので「右サイドでさばく」「やや右足体重」で打つと真っすぐ飛ぶ
トップでの左手首の角度をチェック。甲側に折れている人はフェースが開いた状態になっているが、手首の形を崩さずそのまま切り返す。この手首の角度をキープする力の入れ方で、シャフトに負荷をかけてしならせよう
手首の角度を変えないとフェースが開いている状態になっているが、そのままでOK。フェースが開いているぶんはスイングで調整。ボールを右サイドでさばく(左)や少し体重を右足に残して打つ(右)と、ボールのつかまりがよくなり真っすぐ飛ばせる
トップで「左手首が手のひら側」に折れている→フェースが閉じているので「腰を切る」「ハンドファースト」で打つと真っすぐ飛ぶ
左手首をチェックし、手のひら側に折れているか、甲から腕が一直線になっている人は、フェース向きがクローズになっているが、このタイプも手首の角度をキープする力を入れて振り下ろし、切り返しでシャフトをしならせる
フェースが閉じた状態でインパクトに向かっても、体の回転力を上げればヒッカケやチーピンが防げるので、腰を積極的に切っていく(右)。ハンドファーストも左へ飛んでしまうミスを防ぐ効果があるので、手元をしっかり目標方向に出して打とう(左)
このレッスンを参考に実践してみてくださいね。
レッスン=今野一哉
●こんの・かずや/1982年生
まれ、千葉県出身。プレーヤ
ーとしてもコーチとしてもゴ
ルフの造詣の深さは業界トッ
プクラス。小誌でもその知識
を広める連載を掲載中。キッ
ズゴルフクラブ代表。
写真=高橋淳司
協力=日神グループ 平川CC
アクセス数第1位の記事はこちら。
第1位:ドライバーがすぐ&格段にうまくなる!新しいスイング軌道と打点とは…?
ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。斬新な視点と理論が、レベルアップを目指すゴルファーに新しい上達のヒントをもたらす!
※「MOS」とは「memory of the senses」の略で、距離感やフェースの状態などを具体的な感覚量として“小脳で記憶”すること。高い再現性を得ようという新しい理論
ドライバーでのフルショットに挑戦
これまでの定説であった最下点を過ぎた上昇局面というのは、上面図で見るとフェースはすでに左にかぶったポイントでもある。これに対しスパイン・アングルでは、どこで打っても打ち上げ角は変わらないので、アッパーブローに打つ場合は少しティーを高めに設定して地面との接触を避けつつ一直線に振り抜くことを心掛けたい。インパクトでの正しいフェース状態を担保させることでボールは思ったところへ打ち出せる。
スパイン・アングルでアッパーブローとは
前号ではアイアンでのフルショットを自信をもって打つ方法を説明しましたが、今月はドライバー編です。ドライバーというとフルショットが前提だけにヘッドスピードも速く、現れる物理現象も顕著でスライスに悩む人には苦手意識があると思います。でも、もしかすると一番簡単なショットかも知れないのです。ドライバーもアイアンも私は基本、同じスイングのバリエーションと考えているので、前回とかぶるところがあるのですが、まったく同じという訳ではないので、いくつかの違いをあげていきます。
ドライバーはティーアップして、アッパーブローで打てるショットです。理想的な打ち出し角は13から14度ほどといわれますが、ロフトが10・5度のドライバーだとすると、シャフトのしなりによるキックバックを考慮しなければ、2・5から3・5度ぶん足りないことになり、このぶんをアッパーブローで補ってやる必要があります。一般的な教科書では、このアッパーブローはイラストAのようにスイング軌道の最下点から少し上昇局面に入ったところで打つことで実現されるとしています。
そもそもこのU字型のスイングイメージというのは、スイングを正面視点から見たときの錯覚であることは以前説明しましたが、この上昇局面とやらのポイントを真上から見てみると、円弧状に振られていることからすでに左側にフェースがかぶりはじめているポイントであることがわかります。アッパーブローを強調するあまり、このフェースかぶりに関しては話題にもなりませんが、この状態では何らかの小細工をしないかぎりスクエアに打つことはできません。
そこで、もっとスイングをシンプルに考えてみます。イラストCのように前傾軸を右に少し傾けてみます。すると、イラストBのようにスイングプレーンを左上りに設定できるのですが、この角度が安定したアッパーブローの打ち出し角になるため、タイミングに依存せずスイング軌道のどこで打ってもボールを自然にあおって打てるようになります。このような背骨を右に傾けてアッパーブローにすることを「スパイン・アングル」と呼びます。
この「スパイン・アングル」という用語はミッシェル・ウィーなど著名な数々のプロゴルファーのコーチを務めたゲイリー・ギルクリスト氏の著書ではじめて知ったのですが、検索をしてみると、スタンスでの前傾角をスパイン・アングルと説明しているものも多いので、ここでは「右傾角のこと」とします。このスパイン・アングルのすぐれているところは、スイングプレーンの仰角だけでアッパーブローを作っているので、上昇局面で打つときのようにタイミング(時間)に関わる要素がなく、単純にスクエアな位置で打てばよいということ。さらに弾道の高さを変えたいと考えた場合、従来の方法では上昇局面のより違うポイントを狙って打つ必要があったのですが、その必要がなく非常にシンプルなこともすぐれている点です。
フラットサービスのように確信して打つ
ここまでのことを踏まえてドライバーをフルスイングで打ってみましょう。そもそも、ティーに乗せたボールをU字型のスイング軌道の上昇局面でアッパーブローに打つということから、アイアンショットとは別のスイングであるかのような錯覚に陥ってしまいますが、スイングの基本はアイアンと変わりません。スイングの際の手首から見えるヘッドの軌跡は、ハンマー投げで振り回されるハンマーを手首側から見たようなもので、真一文字に振られているはずです。
アッパーブローの仰角はハンマー投げで斜めに投げ上げる際の軸の傾斜と同じで、右傾角であるスパイン・アングルによって決まるわけですから、ここではU字型のスイング、上昇局面のことは一切忘れ、手首を起点に一直線に加速することだけをスイングイメージとします。トップまでクラブを振り上げたら、インパクトで担保するフェース状態とインナーカウンターでの左手ブロックの位置を強く意識し、重力を利用して上半身リードで切り返すと同時に、加速する上半身を迎え撃つように左ワキの締めによる左手のブロックで最大限の加速度が発生するようにします。
ブロックの衝撃によりヘッドはトリガーが引かれ一気に加速されますが、この暴走状態に入ったスイングのなかでフェース状態の担保に集中し、前号で説明したようにボールの右サイドから臆することなく叩きにいきます。インパクト後は何もせず惰性に任せるのもアイアンのときと一緒です。何度も説明しているようにボールはフェースの方向に自動的に打ち出されるので、ロフトの少ないドライバーではラケットでボールを打ち出すような感覚になります。気になるスライスもサイドスライドが起きないように制御すれば生じません。
このようにインバースキネマティクス(弾道から逆算してインパクトでのフェース状態を決める)で、インパクト状態を担保して打つようになってから私はスライスに悩んだことはありません。恐らく、私にとってはセンターラインを貫くテニスでのフラットサービスとほぼ同じで、特別のことではなくなっているからです。ですから、私にとって今やドライバーはむしろ楽しいショットですらあります。
文・イラスト=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。
いかがでしたか? ワッグルONLINEは、まだまだ多くの情報を載せた記事を公開しています。ぜひ、ご覧ください!
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