ラフから簡単に脱出する「3つのお約束」!プロが徹底解説
アイアンで注意しなければいけないのはラフ。アイアンショットでは「ラフに食われて飛ばない」、逆に「フライヤーして飛んじゃった」という現象が起こる。『ではどのくらいの影響が出るの?』をはっきりさせる検証を行なってみると、意外な結果に驚いた!
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ラフでスコアを落としていませんか?
編集M(以下・M)山形プロ、私はラフが苦手です!そもそも打ち方をよくわかっていない。
山形 では、ラフからうまく打つお約束を伝授します。この検証は「ナイスショットしたとき」というのが大前提ですからね。
M ミスヒットしたら球が高く上がらない、飛距離も落ちる、というのはラフにかぎらずですが、ラフだと余計に悪くなる。
山形 そうです。「ミートしたのにラフだと○○○になる」。その結果によって番手選びやスコアメイクの仕方が変わることをお伝えできるようにガンバりましょう!
M しかし、私のヘッドスピード(ドライバーで40m/秒以下)では、フライヤーするのはウエッジだけ、と思っています。
山形 僕らのようにヘッドスピードが40後半以上だと、全番手でキャリーもトータルの飛距離も伸びてしまいフライヤーしますが、一般男性に多い40m/秒だとどうなんでしょうね?
M トーナメントのようなモジャモジャのラフでも飛んでしまう?
山形 ヘビーラフはウエッジで脱出ですよ(笑)。でも、アマチュアがプレーするゴルフ場では「浅い」と「深め」のラフのみですから、今回の検証は絶対に役立つはずです!
M では、計測とアドバイス、よろしくお願いします。
ラフからうまく打つ3つのお約束
①7:3の左足体重で構える
まずはアドレスが大事。通常時よりも左足に体重を多く乗せて、左足体重の構えをとる
②ヘッドの入射角を鋭角にする
ボール手前の芝になるべく触れず、ボールだけをヒット。ふだんよりもヘッドを鋭角に入れる
③軸を右に倒さない
すくい打ちやあおり打ちはNG。①の「左足体重で構える」は、②とこうならないための準備
ラフからでもミートしたら番手なりの飛距離が出ます!
弾道測定器「トラックマン」で〝浅い〞と〝深い〞ラフから打った弾道の数値を計測、検証。アイアンでターゲット(ピン)を狙う際に大きく影響する「バックスピン量、キャリー、トータルの飛距離」をもとに比較してみると……
山形 この結果は僕も意外でした。ラフから、5番アイアンになったら飛距離が落ちると思っていましたが落ちていない!むしろちょっと飛んでいますよね。
M 弾道を肉眼で追うと、キャリーはラフが深くなると普段よりも手前に落ちていますが、トータルの飛距離で見るとわずかですが、深いラフが一番飛んでいますね。
山形 プロやハードヒッターの人は、スピン量が減って打ち出しも高くなり、ロースピンの高弾道でキャリーもトータルも1番手以上飛んでしまいますが、Mさんのヘッドスピードだと打ち出しは低くなってしまいますね。
M スピンが減るのはプロと同じ。でも打ち出し角は低い。低打ち出し・ロースピンのぶんランが伸びて、いつもと同じトータル飛距離が出る、という結果ですね。
山形 そうですね。となると、本番ではキャリーさせるエリアのジャッジが重要になりますね。
M それを計算して、ファーストバウンドがグリーン上や花道を通るルートだったら、番手を上げる必要もないですか?
山形 うーん……。実戦で、となると1番手下げたほうがいいかも。
M それも含めて詳しく総評をお願いします。それと、やっぱり「ミートする」ことが絶対条件ですから、そのためのレッスンもよろしくお願いします。
山形 かしこまりました!これでラフからグリーンに乗る確率が大幅に上がりますね!
総評〝ラフから巧者〟になる方法
ラフでも飛距離は変わらない
バックスピン量が減り、ランが伸びていつもと変わらないか、いつもよりも少し飛ぶ「ドライバーのヘッドスピード40以下ならではのフライヤー」が起こる
1番手下げる保険が効く
深いラフやロングアイアンでもトータル飛距離は少し伸びるが、1番手下げて短い番手で打つのが◎。低くなってしまう球の高さを上げることができる。短いクラブで打てることもプラスに働く
ピンまでのルートやキャリーする位置を確認
キャリーの飛距離は短くなるので、グリーン手前までラフが続く、ハザードがあるルートは注意。ラフにキャリーすればランも減って大幅に飛距離をロスしてしまう。ハザードにつかまる危険性も高まる。キャリーが減っても安全なルートをとろう
ラフでミート力を上げるコツ 右手首90度をフォローまでキープ!
ダウンブローとハンドファーストの形でインパクト。ヘッドがリリースされることでインパクト時の右手首の角度は90度よりも浅くなるが、イメージでは90度をキープしよう。ラフが深く重いときは、実際に90度に近い角度をキープしながら打つ(写真右)のがプロの技だ!
ラフからきちんとミートするには、前述した「ラフからうまく打つ3つのお約束」(P27)の「ヘッドの入射角を鋭角にする」を強化。鋭角に入れる軌道を安定させることが秘けつになります。要はダウンブローとハンドファーストでボールをヒットするわけですが、ダウンスイングやインパクト時にその形や動きを作ろうとしても間に合いません。
ポイントとなるは、ハーフウェイバック。シャフトが地面と平行になる位置まで振り上げたときに右手首の角度を90度にしてください。その角度をトップからフォローにかけてもキープする。すると、ヘッドは自然に鋭角に下りてきて入射角のバラつきもなくなる。ハンドファーストの形でボールをクリーンヒットできます。
コックを使い、シャフトが地面と平行になる位置で右手首の角度を90度にする。90度の角度をトップからフォローまでキープ。安定した角度でヘッドを鋭角に入れられる
ヘッドを鋭角に入れてハンドファーストで打つとロフトが立つ(写真左)。そのためアドレス時ではフェースを少し開いておく(写真右)
テスター=編集M
●ドライバーのヘッドスピード38~40m/秒。一般男性ゴルファーにもっとも多いHSということで検証モデルを務めることに。
レッスン=山形陵馬
●やまがた・りょうま/ジュニア時代から活躍し、2010年にプロ入り。ミニツアー優勝などの実績を重ね、現在はAbemaツアーに参戦しながら、東京・麻布の「FIVE ELEMENTS」でレッスンも行なっている。
写真=田中宏幸
協力=船橋カントリークラブ