アイアンで球を簡単につかまえる方法!奥嶋コーチが解説

狙ったターゲットを正確にとらえたいアイアンは、タテ(飛距離)、ヨコ(方向性)の両方の正確性が大事。そのために必要なこと、取り組むべきことを人気プロコーチの奥嶋誠昭に尋ねると「球をつかまえて打つ」だという。その理由やレッスンも、奥嶋らしくスイングデータをもとに目からウロコの理論が聞けた!

【関連記事】7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説

切れのあるスイング強い球を打つ秘けつは?

球をつかまえたかったら単純にヘッドを返せばいいんですよ

――(編集部)アイアンが上達する秘けつを教えてください!

奥嶋 アマチュアゴルファーでしたら「球をつかまえる」ですね。

――私も100切りや、その後、スコアの壁を超えていったときは、ボールをつかまえて打てるようになったことがきっかけだった記憶があります。ボールをつかまえて打つためには何が重要ですか?

奥嶋 ヘッドを返すことでしょう。インパクトでフェースが大きく開いたままだとつかまらない。ビギナーやスライサーはとくにですが、中・上級者になると左へのミスを嫌がるようになるためヘッドターンの度合いが減り、それを「合わせて打っている」「当てに行っている」ともいいますが、アイアンのコントロールに悪影響が出ることが多々あります。

プロはアマチュアが思っている以上にヘッドをターンさせて打つ!

――ヘッドは返すけど、返す度合いが大事ですよね?

奥嶋 そうですね。でも、プロはアマチュアが思っている以上にヘッドを返していますよ。

――フェードヒッターもですか?

奥嶋 フェードも球がつかまっていないのは偽フェードですね(笑)。ギアーズの数値で見ても、目標に対してのフェースアングルは、ダウンスイングではオープン。フォローサイドではクローズが絶対。シャフトが地面と平行になったときのダウンスイング側とフォロー側のフェースアングルを比較すると、ダウンスイング側が約50度オープンだとすると、フォロー側は100度以上クローズと、倍くらいの角度になっています。(スイング解析の画面データ参照)。

――フェードでも、積極的にヘッドが返して振り抜いていくんですね。

奥嶋 そうだし、そうじゃないといけない。正しいヘッドターンを覚えると、球筋だけでなく軌道も入射角もよくなるのでスイングに切れが出るなどレベルアップしていく。ヘッドスピードもボール初速も上がるので、飛距離も伸びると同時に安定感も出ます。

――ヘッドターンで球をつかまえて打つのは、いいことづくめですね!

ドローヒッターもフェーダーもヘッドを積極的に返している!

堀川未来夢
大槻智春
片岡尚之

ツアー屈指のショットメーカーの3選手のインパクトゾーンでのフェースの向きはオープン・クローズ。持ち球は違えどフェースが、インパクト前は正面を向き、インパクト後は背中(左)側を向くヘッドターンが積極的に行われている

フォローではダウンの倍ヘッドを返している!

【ダウンスイング】
ドローヒッター → フェースアングル64.28度
フェードヒッター → フェースアングル48.57度

トッププロのフェースアングルをギアーズで解析。ハーフウェイでの数値を比較すると、フェースアングルはフォロー側のほうが角度は大きく、フェードでもダウン側48.57度に対して、フォロー側は109.96度と、ヘッドを大きく返して球をしっかりつかまえて打っている。

【フォロースルー】

ドローヒッター → フェースアングル113.96度

フェードヒッター → フェースアングル109.96度

奥嶋さんのレッスンを参考にしてヘッドターンをマスターしてください!

“球をつかまえる”に一番大切なのはヘッドを積極的に返すこと!

軌道がインサイド・アウト、アウトサイド・インでもスクエアヒットはできる!

――球をつかまえて打つってことは、ダウンスイングの軌道はインサイドからがマストですか?

奥嶋 ヘッドを返しやすい軌道ではありますが、マストではないですね。もっとも大事なのはフェース向きで、インパクトでのフェースアングルをゼロにすることが理想です。

――フェードボールの場合、ややアウトサイド・イン軌道になりますが、それでも球はつかまりますか?

奥嶋 インパクト時のフェースアングルがゼロに近く大きく開いていなければつかまります。むしろアウトサイド・イン軌道はヘッドがやや上から入るので、フェードが一番、球がつかまった感があります。フェースが大きく開いたままだとヘッドをインから入れてもプッシュアウトになるし、カット軌道だとフェース面をすべってしまいます。

――しかし、インパクト時のフェースアングルをゼロ。完璧なスクエアにするのは難しすぎませんか?

奥嶋 難しいですね(笑)。でも、開いているフェースを閉じながら打つことは基本中の基本。その基本を身につけてからステップアップしていくのが、アイアン巧者になる正しい道のりです。

――返しすぎも、よくないですよね?

奥嶋 それもコントロールする方法があるんですよ。

――ヘッドが返せない人も返せている人も必読のレッスンですね!

球をつかまえるのに大事なのはフェースアングルで、軌道はアウトからでもインからでもインパクト時のフェースが大きく開いていなければ(×)つかまえて打てる。「つかまるといっても返しすぎ(×)は左に飛んでしまうので“フェースアングルゼロ”(〇)を目指していきましょう」(奥嶋)

理想は「ゼロ」!インパクト時のフェースアングル「2.5度以内」を目指す!

フェードヒッター(左下) → ダウンスイングの軌道 アウト
ドローヒッター(右上) → ダウンスイングの軌道 イン

球をつかまえて打ったトッププロのスイングデータ。ダウンスイングの軌道は、ドローヒッターはインサイド・アウト、フェードヒッターはややアウトサイド・イン

インパクト

ドローヒッター(左) → フェースアングル2.34度(オープン)
フェードヒッター(右) → フェースアングル0.21度(オープン)

ジャストインパクト時のフェースアングルを見ると、ドローヒッターは2.34度オープン。フェードヒッターは0.21度オープンと、いずれも2.5度以下。その前後のフェースアングルは、もちろんオープン・クローズ! 開いているフェースを閉じる動きのなかでフェースアングルゼロに近いインパクトを作り出している

基本のキ!「球をつかまえて打つ」奥嶋誠昭流 3ステップドリル!

Step1 100叩きやスライサーは必須!ヘッドターンはヒジから先を回す

まずは、ヘッドを返せない人への基本レッスンです。ヘッドを返す動きは「ヘッドターン」「リストターン」「アームローテーション」などさまざまな表現がありますが、ヒジから先を回しましょう。腕全体を回すとスイングが崩れやすくなってしまうので「前腕を回す」がオススメです。ビギナーや万年スライサーは「ヘッドを回す」でもOK。

一番重たく、ゴルフクラブの構造上、本来は振れば自然に返るので、ヘッドの重みを感じながらスイングしてください。「手首を回す」でもいいのですが、グリップに力を入れすぎたり、スイング中のコッキングに悪影響が出ないように注意してください。

ヘッドを返す動きは前腕かヘッドを大きく回す。インパクトは開いていなければOKです! とにかく大きくヘッドを返してください

ハーフウェイダウンでは正面を向いた、開いている状態のフェースをフォローでは左を向くまで大きく閉じて振る

グリップは、フックに握るとヘッドを返しやすくなる

肩から先の腕全体を回そうとすると、肩が上下動するなどスイングが崩れてしまう

Step2 チーピン・ヒッカケからフェード・ドローへ! 体のターンを加えてつかまりすぎを防ぐ

前腕を回しながら体の回転量も増やします

1Stepでヘッドが返せるようになると「ヘッドの返りすぎ」が起こる。または中・上級者やフッカーで、フェースが閉じすぎて当たってしまうことに悩んでいたら「体のターンを強める」にステップアップしましょう。球がつかまりすぎるからといって、腕やヘッドのターンを弱めるのは逆効果。

体の回転だけが強くなると、体もフェースも開いてボールがつかまらなくなってしまいます。身につけた腕やヘッドのターンに体のターンを加えた相乗効果で球をつかまえるのです。

直立してクラブをレベルに振ると、体と腕やヘッドのターンを同調させる感覚がつかみやすい(左)。感覚を得たら徐々に前傾して、本来のスイングに近づけていく(右)。これも2ステップで習得しよう

Step3 コレが知りたかった! ラウンド当日の修正にも役立つ フェースアングルゼロへのコントロール術

Step1ではつまりがよくなり、Step2ではつかまりすぎを防ぐ。ここまでマスターしたら、あとはフェースアングルをかぎりなくゼロにするスイングに鍛えていきます。それには、返すタイミングが重要になりますが、ミスは「ヘッドが返らず球がつかまらない」と「ヘッドが返りすぎてつかまりすぎる」のたったふたつです。

タイミングは水物なので、練習時だけでなく、ラウンド中にもズレが生じやすくなります。そんなときに有効な「ヘッドを返すタイミングを操作する方法」をお教えしましょう。

ハンドファーストの度合いを強める

アイアンのインパクトはハンドファーストが基本。ハンドレイト(×)はヘッドターンが早まる原因になるので、ハンドファーストの度合いを強めるライン出しショットのイメージで振るとヘッドターンを遅らせられる

クローズスタンスで返りやすさを上げる

ヘッドの返しが遅いときは、ヘッドが返りやすいクローズスタンスで構えて振る。右足を半歩から1歩うしろに引いて、スタンスなりのインサイド・アウト軌道でスイングするとヘッドターンを早められる

いかがでしたか? 奥嶋コーチオススメの3Stepをしっかりマスターすれば、ボールは簡単につかまるようになるはず!

レッスン=奥嶋誠昭

●おくしま・ともあき/1980年生まれ、神奈川県出身。ツアープロのコーチを務めながら「ノビテック ゴルフスタジオ」では、スイング解析器・ギアーズなど最先端機材を使ったスイングの研究やレッスンを行っている。

写真=相田克己、田中宏幸
協力=ノビテック 横浜スタジオ

【あわせて読みたい】

「天使か」西村優菜、“かわいすぎる”ウェア姿を披露!ファンから称賛の声集まる

7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説

「7番アイアンで200ヤードも飛ぶ」ってマジ!?“飛距離”に特化したアイアン4選

関連記事一覧