なぜパターに“ロフト”が必要なのか?その深〜いワケをコーチが徹底解説
距離感や方向性が悪いのは「パターのせい」もある。
自身のパターもカスタマイズしている大川夏樹コーチは「スペックを変えるとストロークを変えなくても転がりがよくなりますよ」という。
買い替えるよりお財布にもやさしい、簡単カスタムを試してみよう!
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なぜパターにもロフトが必要なのか?
芝の上のボールは短く刈られていても必ず沈む。左の写真の人工芝でも少し沈んだ状態になっているんですよ。パターのロフト角は、この沈んだボールを拾い上げて浮かせるためについていて、打ち出したボールはショットと同じくキャリーが出る。このキャリーが適正にならないと距離感が悪くなり、ラインに乗らない原因になるので方向性も悪くなってしまうのです。そのため、ロフト角はヘッドの入射角に合わせた角度にすることが大事になります。
「キャリーが出ない」は「打ち出した瞬間」、「キャリーが出すぎ」は「ファーストバウンド」で芝の抵抗を大きく受けてしまうため、スムーズな転がりが生まれない。芝の抵抗は方向にも影響する
インパクト時の手元の位置をチェック!
ハンドレイトはロフト減
ハンドファーストはロフト増
パターの標準ロフトは3度くらい。このロフトどおりにボールをヒットすればいいのですが、ロフトを立てたり寝かせて打つ人もいます。これはインパクト時の手元の位置を確認 してください。ヘッドよりも手元が目標側に出ている人は、ロフトが立って当たっているのでロフトを増やす。手元がヘッドより後ろにある人は、ロフトが寝て当たっているので ロフトを減らして立てると、適切なキャリーが出るようになります。
ライ角どおりに打てているか、も重要!「押し出してしまう」はアップライトに「引っかけてしまう」フラットに調整
個人的には、パターはライ角が一番大事だと思います。ソールを地面にピタっとつけることで、パターが正しいアドレスをナビゲートしてくれる。ライ角どおり振ったり打つことは真っすぐ打ち出すポイントにもなるからです。しかし、ライ角を逆手にとって方向性を上げることもできます。今回、標準的なライ角の70度から、+4度(アップライト)と-4度(フラット)に調整したパターをアドレスとストロークを変えずに打ってみましたが、目標よりもアップライトは左に、フラットは右に出ます。これを利用すると、打球が右へ出る傾向がある人はアップライト、左へ出る傾向がある人はフラットにすると、狙ったラインに真っすぐ打ち出せます。
フェースの向きが変わりやすい!トゥが浮く(アップライト)と左ヒールが浮く(フラット)と右を向く
アドレスを変えずにライ角のみを変えたパターを構えると、アップライトはトゥが浮き、フェースは左を。フラットはヒールが浮いてフェースは右を向きます。このフェース向きをスクエアに向けて構えてもいいですが、肝心なのは「インパクト時」です。スクエアに構えても、インパクト時にヒールやトゥが浮いてしまう人が多く、これではそもそものライ角も、調整したライ角の意味もなくなってしまうので「ライ角どおりに打つ」のも大切です。インパクト時のライ角がどうなっているかは、ボールの近くにスマホを置いて撮影すれば、簡単にチェックできますよ。
ボール位置が変わって軌道も変わる!長くするとアウトサイド・イン軌道が矯正できる
前述したようにライ角どおりに構えることは重要。パターの長さはそれにも影響します。ライ角どおりに構えると、長いパターはボールが体から離れ、短いパターはボールが近づきます。それによって軌道も変わり、インチアップ(長くする)してボールから遠ざかるとパターヘッドが描くイン・トゥ・インの円弧がきつくなる。これはテークバックが外に上がりアウトサイド・イン軌道で左に引っかけてしまうのを矯正する効果があります。インチカット(短くする)は円弧がゆるやかになるので、インに引きすぎてからヘッドをアウトに出してボールを押し出してしまうインサイド・アウト軌道が矯正されます。
「打ちすぎ」は太く「チキン(ショート)」は細く
グリップの太さはフィーリングが変わります。「太い」は感覚が鈍くなりますが、それを利点とし、手首を固定して打つ。速いグリーンで強く打ちすぎないなどの効果をジョーダン・スピースらがいち早く取り入れ、オートマチックに打てるのをマネて太くするのが流行りました。 一方で、打感も手元の動きも感覚を重視したくて細いグリップを好む選手もいます。今回カスタムしての試打検証では「細くする」にメリットを感じました。重いグリーンやロングパットは、太いグリップで手首を固定しすぎると打ちづらく、ショートしやすい。細いグリップのほうがしっかり距離を出せるので、ショートしてしまうチキンパットが多い人は細いグリップに替えてみましょう。
高慣性モーメントの大型マレットは太めのグリップが装着されているモデルが多いが、それを細いグリップに替えるのが大川オススメのカスタム。フィーリングが出しやすく、ほどよく手首を使って打てるので、カップまでしっかり届く距離が打てる
手首を使いすぎてミスが出る人(写真上)は、太いものを握ると手首が固定しやすくなるので、太いグリップにすると軌道や打点のブレが防げる
「重い」は速いグリーンに合いやすい
重さに関しては軽くするのは難しいので、鉛を貼るなどで「重くする」のメリットをお話します。軽量クラブは速く振れる、というのはご存知でしょう。重いクラブはその逆で速く振れないので、テンポが自然と遅くなる。ゆっくり振ると飛ばなくなるため、速いグリーンに適したストロークとタッチに。打ち急いでしまう人にもオススメです。
PINGのパター(モデルは2021PUTTERシリーズ)のラインナップでヘッド重量を見ると、35gの重量差がある。ピン型は軽めで、大型マレットになると重くなり「大型マレットは慣性モーメントも大きいので振った感じも重くなります」と大川。鉛を貼ってバランスが上がるのも重量以上の重さを感じる。一般ゴルファーはヘッド単体では測れないので総重量を調べてみた。ヘッド単体の重量が360gの「DS72」の総重量は568gで、これは中間的な重さ。一般的には総重量が560g以下は軽めで、580g以上は重めのパターになる
ストロークやテンポに合ったパターがすぐに見つかる
PINGでは長い間、パターフィッティングをオススメしていて、それによってパットが上達するのを実証しています。パットの結果はミスしてもショットのように大きく出ないので、違いがわかりにくいのがネック。しかし、弊社ではさまざまなタイプのパターを試打、比較できるのはもちろんのこと、近年はパター専用アプリの「iPING」を使用し、ストロークタイプやテンポ、適正なロフト・ライ角を測定・診断することができます。
このフィッティングは、PING直営店では無料で受けられます。使用中のパターを打ってデータを取り、傾向を知ったうえで適正なパターを試打したり、購入後は再調整も可能。ショップで“吊るしのパター”を買うなら、フィッティングしてから購入したほうが断然お得で間違いがありません。ぜひ、全国の「PING認定フィッター在籍店舗」へお越しください。
いかがでしたか? 自分に合ったパターを探すパターフィッティングを試してみませんか。
大川夏樹
●おおかわ・なつき/1988年生まれ、神奈川県出身。マンツーマンレッスンを中心に、多くのアマ チュアゴルファーに好評を得ている人気コーチ
(インスタグラムアカウント NATSUKI72_GOLF)。
写真=田中宏幸
協力=PINGフィッティングスタジオ武蔵浦和
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