今年の全米オープンは開催コースの「LACC」 にも注目!

今年の全米オープンの会場は、地元の人やゴルフ関係者でも滅多に訪れることができないコース。いったいどんなゴルフ場なのか、突撃!

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全米オープン開催(6月15〜18日)に先立ち、5月1日に試合会場となる「ロサンゼルスカントリークラブ」(以下・LACC)で、事前視察会「メディアデイ」が開かれた。

カリフォルニア州ロサンゼルスといえば、エンターテイメントの都、そしてスポーツも盛んな都市だが、全米オープンが開催されるのは1948年以来75年ぶりとあって、メディアデイにはカレン・バス市長(写真①)も出席して歓迎のスピーチを行なった。LACCは、アメリカではマスターズが行なわれる「オーガスタナショナル」と並ぶほど閉鎖的なクラブで、一般人はなかなか立ち入る機会がない。

そんなコースを訪れる機会は滅多にないので、可能なかぎり隅々までじっくり観察してきた。クラブの創立は1897年と19世紀まで遡る。クラブは創立から数回拠点を変えながらも、1911年から今の位置に落ち着き、最初に18ホールを開場(ジョージ・トーマス設計)した。

現在はノースとサウスコースで計36ホールあるが、今大会で使用されるのは1921年にオープンしたノースコース(7421ヤード、パー70)。ノースコースは2010年にギル・ハンス氏によって改修され、2017年にはウォーカーカップが開催される(コリン・モリカワなどがプレー)など、チャンピオンシップコースに生まれ変わっている。所在地は、超高級住宅街のビバリーヒルズのど真ん中。近隣には多くの有名人の豪邸が立ち並ぶ。

4番ホールの隣にはミュージシャンのライオネル・リッチーの豪邸がそびえ(写真②)、その大きさは学校なみ。14番ティーの横にある垣根の向こうには、米プレーボーイ誌の創業者である故ラリー・フリント氏の豪邸が。プレーするだけでビバリーヒルズを観光しているような気分になった。

また、クラブハウスのコース側には元大統領で同クラブのメンバーでもあったレーガン大統領を称え〝レーガン・テラス〞と名づけられたテラスがある。外壁にはレーガンのレリーフが埋設されていて(写真③)格式の高さを感じた。

格式といえば、今回のメディアデイは事前に〝禁止令〞が配布された。短パンにサンダルが当たり前のカリフォルニアだが「短パン、サンダル、カーゴパンツは禁止。クラブハウス内は携帯電話の使用禁止、駐車場での履物の履き替え禁止」など、アメリカにしてはかなり厳しい内容で、こんなところにも格式を重んじる名門中の名門の片鱗が見えた。

コースセッティングは、というと〝メジャーらしい〞特徴がいくつかある。全体的にフェアウェイの幅をかなり広く設定していて、5番ホールのフェアウェイは50ヤード以上もある(写真④)。

しかし、今回はセミラフがなく、フェアウェイを外すとすぐに深いラフに入ってしまう(写真⑤)。アップダウンのあるコースは地面が硬く、ランを考慮してティーショットを狙う必要がありそうだ。6番ホールは330ヤードのパー4で、1オンも可能。

しかし、グリーンは細長く、周りはバンカーに囲まれていて、1オンを狙うよりも刻んだほうがバーディの確率は高そう。距離が長いから難しいのではなく「知恵を絞らないとスコアメイクできない」といった印象で、このコースに向いている優勝候補の予想も難しい。いったい誰がこのコースを制するのか、楽しみな大会になりそうだ。

いかがでしたか? 次回をお楽しみに!

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)

●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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