今季2勝・申ジエのスイングを徹底解説!「ベタ足スイング」のメリットは?

今季、早速優勝をはたし、最高のスタートを切った女子プロ3選手のスイングをピックアップ。オーバースイングなどは、悪い例としてあげられるけど、じつは形や動き次第で、長所になるのです!

まず初めに、6/25(日)に「アース・モンダミンカップ」で優勝した、申ジエ選手のスイングを解説します。

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傾斜地でのスイングのように下半身を安定させる

ベタ足でも左ヒザを伸ばして地面反力を使っている(写真⑤)下半身の土台が安定しているぶん、クラブをしっかり振ることを心がける(写真⑥)

開幕戦で優勝した申選手は、2008年の日本ツアー初優勝から今までコンスタントに勝利を重ねている選手です。その要因はスイングの安定性で、長く活躍できている理由のひとつだと思います。

コンパクトでオーソドックスなスイングはクセが少なく、韓国出身の選手に多いのですが、ポイントとなるのはインパクトで右足があまり浮かない「ベタ足」です。最近は地面反力などの動きが流行っていて、ベタ足でスイングする人は少なくなりましたが、申選手のダウンスイングやインパクト付近でのベタ足(❹❺)は、足場が不安定な傾斜地で打つときのように下半身が安定しているので、体の上下の動きが減る。すると、クラブの入射角が安定するので、トップやダフリなどのミスが少なくなります。

もちろんベタ足になると、飛距離が落ちるという懸念もありますが、ベタ足でもインパクトで左ヒザを伸ばしているのがもうひとつのポイント(❺)。伸ばさずに打つとただ安定させているだけですが、ベタ足のなかでヒザを伸ばすことでパワーが生まれます。

申 ジエ

●しん・じえ/1988年生まれ、韓国出身。155cm。今シーズンは開幕戦のダイキンオーキッドレディスで優勝。Tポイント×ENEOSゴルフトーナメントでは3位に入った。ツアー通算27勝。スリーボンド所属。

吉本ひかるのスイングは、小柄な人や女性に参考になる

切り返しでは下半身を先に回しすぎない(写真④)
右ヒジは右ワキ腹の横にもってくるように動かす(写真⑤)

吉本選手は、トップでシャフトがクロスするオーバースイングです(❹)。これは、よく悪い例としてあげられますが、ヘッドスピードが上がって飛距離が伸びるメリットにもなります。吉本選手は身長が低いですが、弾道が高く、大きなキャリーで飛ばしている。 ダウンスイングからはオーソドックスなスイングの印象ですが、じつはこれがポイント。インパクトエリアでクラブが正しい位置に戻ってくるように打てるのであれば、オーバースイングでもいいという、小柄な人や女性にオススメのスイングをしています。

ダウンスイングで気をつけるところは、右ヒジが右ワキ腹あたりにくるようにすること(❺)。オーバースイングの人は、ダウンスイングで右ヒジが背中側にくることが多く、そうなると振り遅れが起こりやすくなってしまいます。❹のトップから切り返しにかけては、腰が先に回ると右ヒジは背中側にきてしまうので、ヒジが体の前にストンと落ちてくるようにする。ダウンスイングで右ヒジを戻す位置を意識しながら、腰を先に回しすぎないように注意してください。

吉本ひかる

●よしもと・ひかる/1999年生まれ、滋賀県出身。152cm。今シーズンは2戦目の明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメントで念願のツアー初優勝を果たした。好調をキープし、アクサレディスでは3位タイに。マイナビ所属。

青木瀬令奈のスイングは、シニアや体が硬い人もマネしやすい!

【Point❶】 捻転差よりも腰と胸を同じくらい回すことを意識する

青木選手はフェアウェイキープ率が高く、とにかく曲がらない選手。スイングの特徴は、バックスイングで、腰と胸(肩)が一緒に回っていることです(Point❶)。これはよく「右向け右のスイング」といわれ、上半身と下半身は捻転差を広げたほうが飛ばせるので、飛距離が出にくい悪い例としてあげられることもあります。

【Point❷】遠心力を利用してクラブを放り投げるイメージで振る

しかし、安定感は高く、トップから腰を回しやすいので下半身リードで切り返せるのも長所のひとつ。体に無理がないスイングなので、何歳になってもマネしやすいのもメリットです。バックスイングに加えて、フォローにも安定感を出す秘けつがあります。無理矢理クラブを振るのではなく、遠心力を活かしてクラブが行きたい方向に動かして(Point❷)、まるでクラブをターゲット方向に放り投げるように振り切っています。フォロースルーの形はバックスイングで決まる

いかがでしたか? ベタ足だと安定したスイングができ、さらにヒザを意識することで飛距離も期待できます。

解説=赤坂友昭

●あかさか・ともあき/1985年生まれ、福岡県出身。選手として活動後、ゴルフコーチに転向。クラブ力学、物理学、運動力学を日々追求しながら、東京・三鷹市の東京ゴルフスタジオや新宿のトータルゴルフフィットネスにて、プロ、アマチュア、ジュニアなどのレッスン活動を行なっている。

写真=相田克己、小林司、田中宏幸

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