「飛ばないのに強すぎ」ツアー3勝目・青木瀬令奈、武井壮とトーク&レッスン
百獣の王こと武井壮が、ツアープロを目指していろいろな経験を積むのがこの企画。
今月のゲストは青木瀬令奈。20 代最後のシーズンと、これまでのゴルフ人生を振り返っての感想を聞いてみた!
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シード選手でいちばん飛ばないのに強すぎる! 青木瀬令奈とトーク&レッスン
武井 青木プロとは昨年末に、僕が急遽参加したプロアマ戦でご一緒させていただきましたが、ビックリしました!
青木 寒い日でしたね~。
武井 あの精度の高いショットは、寒くても関係ないんですね。女子ツアーのトッププロがうまいのは重々承知していますが、とくに長いクラブ。どんなことをしたらあの精度になるの? とたまげました。
青木 私は飛ばないから、FWやUTが得意じゃないとスコアにならないので。
武井 僕が「青木プロより飛んだ」と満足していると、うしろからパキャーンと甲高い音がして、グリーン方向を見たらナイスオンをしている。それを見て力が入ってしまい、僕は残り100ヤードくらいなのにぶん曲げてしまったりして、青木プロのプレーに完全にやられました!(笑)。トーナメントでは、同組の選手もやりにくいんじゃないですかね?
青木 やりにくいでしょうね(笑)。さすがにあれは乗らないでしょ、というのを先に乗せたりしますから。相手や自分の飛距離にはまったく動じません。同期の選手に飛ばし屋が多くて、工藤遥加と高島早百合の3人で練習ラウンドをよくしていましたが、ふたりは私より50ヤード以上前。私がセカンドオーナーなのは当たり前でやってきたので、抗体も免疫もできているんです。ある意味、仲間に恵まれました(笑)。動じるのは、飛ばないけど私よりセカンドショット以降がうまい人で、ドキッとしますね。
武井 ドキッとさせられた選手はいましたか?
青木 山下美夢有ちゃん、西村優菜ちゃん、古江彩佳ちゃんですね。体も小さいし、私よりは飛びますが、セカンドショットが安定していて小技もうまい。ボギーにしないゴルフをします。
武井 その選手たちとまわると意識しますか?
青木 無意識に見ちゃいますね。「ああやって打つのか」とか。飛ばし屋は全然参考にならないから「すごーい」ってギャラリー気分で見ていますけど(笑)。同じタイプは、負けたくない、もっと練習しなくちゃと思います。
武井 本当に恐ろしいくらい、200ヤード前後を簡単に打つ。たまにグリーンを外すこともあるけど、どこからでも寄せてくるし、パットもうまい。
青木 スタッツを見てもメリハリがあるゴルフですよね(笑)。ドライビングディスタンスは、たぶんシード選手のなかでは最下位だと思います。距離的にパーオンさせるショットが届かないホールもあったりするので、パーオン率も低い。だけど、パットやリカバリー率、サンドセーブ率は10位以内でした。
武井 ショートゲームも女子ツアーのトップレベルですか。自分の武器をよく理解しているんですね。
青木 その武器でなんとか生き残っています(笑)
武井 今の若い選手たちは、みんな飛ぶじゃないですか。飛距離をもっと伸ばそうと思ったことはないんですか?
青木 以前は、1ヤードでも飛んだら楽になると思っていた時期もありましたが、今、重きを置いているのは「得意を伸ばす」ですね。きっかけは、昨年の開幕前、藤田さいきさんと合宿させてもらったときに「合宿って何を考えてやっているんですか?」と質問してみたんです。
青木 「私はあまり変えずに質だけ高めるようにしている」とおっしゃっていました。この歳でスイング改造はしないし、ずっと質を上げることを意識していると。そのとき「変えない勇気」も大事だなぁと思いました。
武井 得意をさらに磨くってことかぁ。
青木 それを聞いて「なるほど」と思ってやってみたら、2シーズン連続で優勝できたし、毎年、優勝してリコーカップにファンの方たちを連れて行きたいというのが大きな目標なのですが、それも叶いました。
武井 今オフもそれは変わらず?
青木 トレーニングして、10ヤード、20ヤード伸ばすとなったら、2カ月くらいしかないオフの期間では難しいですし、スイングの感覚が悪くなることもあります。それを新しい体で調整していくのも、半年くらいかかってしまいますからね。
武井 このオフも質を高めて、今シーズンはさらに上を目指しますよね?
青木 そうですね。年々ゴルフ熱が上がってきているし、ゴルフとも向き合えています。課題もあって、昨シーズンの最終戦までの4カ月間は、トップ10に1度しか入れませんでした。それはなんでだろう、とスタッツを見たら、今まで得意だったパー3のスコアがよくなかったんですよ。
武井 青木プロの得意な距離なのでは?
青木 の、はずだったんです。19年のパー3の平均スコアは3位だったし、FWやUTで打ってもバーディを獲ることが多かったんですが……。
武井 その原因は?
青木 ティーショットが大きなミスになっていることが多かったですね。打ってはいけないところ、池に入ってしまったり、寄りにくいとこに外したり。
武井 パー3はティーショットのミスが大きく響く。トーナメントの3日間、12ホールでその不安要素は嫌ですね。
青木 パー3はバーディの計算でいたので、それがボギーやダボにしていたら1大会で10打くらいは変わってしまいますよね。ここも本来は私の得意な部分なので、よくなるようにしていきたいです。
武井 そうなると、ツアーのポイントランキングの年間女王も狙えますね。
青木 狙いたいですね(笑)。今年は複数優勝と、15年の初シードから8年目なんですが、10年連続でシードを獲るのを目標にしています。あとは、同じプレースタイルの選手に希望を与えたい、とつね日ごろから思っています。飛ばし屋に有利なコースセッティングになっていますが、そのなかでも技術があれば長く活躍できるんだよ、というのを確立していきたいです。
武井 週替わりで新しいスター選手が誕生していく女子ツアーでも、青木プロのような選手は稀。ほかの選手とは違ったプレースタイルで長く活躍する姿は、さらに女子ツアーを盛り上げてくれますから、今年も注目しています!
青木 ありがとうございます!ガンバります!
青木瀬令奈
●あおき・せれな/1993年生まれ、群馬県
出身。153cm。21年はサントリーレディス
オープンで優勝。22年はワールドレディス
サロンパスカップ2位や資生堂レディスオ
ープンで優勝し、メルセデスランキングは
11位。7年連続シード権を保持。ツアー通
算3勝。リシャール・ミル所属。
武井 壮
●たけい・そう/スポーツ、芸能の
枠を超えて活躍するマルチタレント。
YouTube では「武井壮百獣の王国」を
配信中。
●オフィシャルサイト gogotakei.com/
●twitterアカウント @sosotakei
●インスタグラムアカウント sosotakei
写真=田中宏幸 協力=ダンロップクラブハウス新宿店
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