畑岡奈紗を影から支える日本人トレーナー!米女子ツアーの優勝者をサポート

ツアー会場や選手の宿泊先などに出向き、マッサージ、ストレッチ、体調チェックなどを行なう“日本人トレーナー”に突撃取材!

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アジアチームの一員として選手を支えたい!選手を陰から支えるトレーナー

トレーナーの名前は、小林恭平さん。4月の「ロッテ選手権」の試合会場では、優勝したキム・ヒョージュに祝意を伝える姿を見かけたが、ヒョージュとは時折マッサージなどのコンディショニングを行なっていた付き合いがあったそうだ。その翌週の「DIOロサンゼルスオープン」では、優勝した畑岡奈紗の記念撮影に小林氏も加わっていた。選手を陰で支える存在だが、2週連続で優勝者に携わるトレーナーは、どのような業務を行なっているのかが気になり、インタビューしてみた。

――トレーナーになった経緯は?

「高校まで野球をやっていたのですが、ケガしたときに治療院に通い、治ってまた投げられるようになった経験や、姉が理学療法士をしていて水泳のチームを担当していたことがあって、トレーナーという職業に興味をもちました。はじめは、野球選手を担当したいなと思って勉強していたんですけどね」

――ゴルフに特化したトレーナーなのですか?

「以前は、野球選手などにも携わってきました。日本で鍼灸の専門学校を出たあと、サンディエゴ州立大学に入り、アスレティックトレーナー科で資格を取得しました」

試合会場での小林氏。首から下げるパスは「Medical Support(メディカル サポート)」と記されていて、トレーナーはこのカテゴリーになる

――選手から多い要望は?

「スポーツによっても、選手によっても違います。ゴルフは移動が多い競技なので、いかに疲労を残さないかという点がパフォーマンスの良し悪しにつながることを強く感じています。(プレー前の)準備と(ケガの)予防という観点が重要ですね。体調による好不調の波をなるべく抑えることにより、安心してプレーに臨める状態を作ることが僕たちの役割だと思っています」

――マッサージなどは効果的ですか?

チ・ウンヒの腕を揉む小林氏。練習ラウンド中に軽くケアすることもあるそうだ

「本当に痛みがとれるかどうかはわからないけど、選手が痛いと訴えている体の箇所に触れて、テーピングなどで処置をして、選手に安心感を与えることが大切だと思っています。日本人と欧米人で考えが少し異なることもありますが、筋肉のハリや痛みのレベルが10の状態をマッサージによって2まで軽減できれば、選手はプレーできると感じられる。自分としては、0にしようという意識で臨んでいます」

――鍼灸の学校で学んだということは、鍼も使うんですか?

「まだ鍼を打ったことのない選手が多いけど、痛みをとるには鍼は1番有効で即効性があります。ここ数年、アメリカでも鍼は注目されていて、もちろん拒否する選手には使いませんが、選手の間の口コミや日本人トレーナーが現場で使いはじめて広まってきました」

――日本人である小林さんが求められているのですね。

「今は、大リーグの多くの球団にも日本人トレーナーがいます。米ゴルフツアーもトレーナーを提供していますが、選手の要望は千差万別。その要望とマッチしたところを、僕が微力ながら支えているということですね」

――トレーナーとしてのモチベーションは?

「やはり担当した選手が優勝してくれること。優勝すれば自分の疲れもぶっ飛びます(笑)。優勝しなくても、選手がケガしなかった、というのもよろこびのひとつです」

――今後の目標は?

「私個人や日本チームとしてではなく、アジアチームの一員として、より多くの国の選手を担当してみたいです。大リーグの野球選手を担当したいという夢ももち続けています」

いかがでしたか? 選手が活躍出来ている裏には心強い“トレーナー”の存在があるようです。

小林恭平
●こばやし・きょうへい/1989年生まれ、福岡県出身。全米アスレティックトレーナーズ協会認定アスレティックトレーナー(A.T.C)、鍼灸師、柔道整復師。福岡医健専門学校 柔道整復科・鍼灸科 卒業後、サンディエゴ州立大学アスレティックトレーナー科も卒業。2019年には、北海道日本ハムファイターズアリゾナキャンプのインターントレーナーとしてチームに帯同。新日本プロレス、セミプロバスケットボールチームの試合などでも、アスレティックトレーナーとして多数のアスリートのケアを行なう。2020年より米LPGAツアーに帯同し、多くの選手をサポート中。

フォトグラファー
田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓
TEXT&PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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