女子ツアーで急増中「ハイブリッド系パター」とは?“メリット”と“選び方”を鹿又氏が解説!
女子ツアーで人気の「ハイブリッド系パター」! その魅力をカノマタが試打して、詳しく解説していきます。
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そもそもハイブリッド系パターって何?
新作パターが大幅な進化をとげています。従来のブレード型パターは、操作性が高いというメリットがある反面、ミスヒットには弱かった。マレット型パターはミスヒットには強いが、操作性が低いとされていました。
マレット型なのに浅重心、ブレード型でも高慣性モーメント
しかし、今年は「2-BALL イレブン」のように、重心を浅くしたことで操作性が高いマレット型パターが誕生。一方でブレード型も「TRI-HOT 5K」のように、慣性モーメントを高くしてミスに強くなったパターがあります。これらは王道のブレード型、マレット型とは違い、双方の〝いいとこどり〞をしたハイブリッド系のパターで、すでに日本ツアーでは多くの選手が使用し、大活躍しています。今回は、そのパターの利点や魅力を詳しく紹介しましょう。
「ハイブリッド系マレット」の魅力は?
従来のマレット型は、ヘッド後方にウエイトを配置していたが「2-BALL イレブン」(左)はヘッド重量の約78%をフェース側に配分。その狙いは?
大型ヘッドに微妙なタッチや操作感を求める人に最高!
2000年以降に大流行したマレット型パターですが、「本当はブレード型を使いたい」という声も多々あります。ブレード型は操作性が高く、自分の感覚で打てる。でも、マレット型のほうがミスヒットに強いし、パッティングはストロークの前に狙ったラインに対して正しくフェースをセットすることが重要なので、大型ヘッドでアライメントラインもはっきりしているマレット型のほうが向きを合わせやすく、構えたときの安心感がある、という人が多いようです。
その双方の利点をハイブリッド系マレットは兼ね備えています。操作性のよさがありながら、ミスヒットにも強く、目標に対して真っすぐ構えやすい、という3つのメリットを融合。今までマレット型を使っていて、操作性をプラスしたいと思っていた人には、最高のパターになると思います。
オデッセイ
2-BALL イレブン
構えやすさ、転がりのよさが秀逸!
「2-BALL」にラインを組み合わせたアライメントはとても構えやすい! ヘッドは浅重心になっていて、インパクトでボールがすべる感覚が一切ない。ボールをしっかり押すように打てるので、転がりのいい打球になります。
SPEC●ロフト角/3度●ヘッド素材/ステンレススチール、アルミニウム、TPU、ホワイト・ホットインサート●長さ/32、33、34インチ●価格/4万6200円
テーラーメイド
スパイダーGT
ミスヒット時の強さは歴代最高レベル
重心が浅くなっても、ミスヒット時の強さは歴代のスパイダーシリーズのなかで最高レベル。ネックのトラスホーゼルがあるため、打点がズレてもフェースがブレにくい。打感、打球音もすごく心地いいです。
SPEC●ロフト角/3度●ヘッド素材/軽量アルミニウムボディ、ステンレススチールダブルウィング&ホーゼル、タングステンウエイト、ピュアロール搭載3mm厚インサート、ウレタン、アルミニウムビーム●長さ/33、34インチ●価格/4万8400円
「ハイブリッド系ブレード」の魅力は?
今年の女子ツアーで大流行しているのが、慣性モーメントの高いハイブリッド系ブレード。そこにはパターの常識を覆す性能がある。
ショートパットを外すことが多い人にピッタリ!
パターがブレード型からマレット、そして大型マレットへとどんどん大きくなったのは慣性モーメントの高さを追求するためです。その結果として、近年の大型マレットパターは、慣性モーメントが5000g・cm²を超えるモデルもありますが、今年発売されたオデッセイの「TRI-HOT 5K」は、ブレード型の形状でありながら高慣性モーメントを実現しています。
「TRI-HOT 5K」は、ヘッドの左右にタングステンを配置することで5000g・cm²を超える慣性モーメントを実現した。「タングステンを左右に配置することで慣性モーメントを高めています」(鹿又)
慣性モーメントが高いと、ミスヒットしたときにヘッドがブレにくい。ハイブリッド系ブレードは、ブレード型の操作性のよさに大型マレットのミスヒットの強さを融合。今、考えられるテクノロジーでは、究極のパターと言っても過言ではありません。ハイブリッド系ブレードと相性がいいのは、従来のブレード型で1、2メートルの短いパットを左右に外してしまう人。ハイブリッド系ブレードは、短いストレートラインが格段に打ちやすい。さらに、これまで同様、ブレード型ならではの距離感の調整や操作性の高さを持ち合わせています。
オデッセイ
TRI-HOT 5K
振った感覚はマレット。ヒールヒットに強い!
いい意味で不思議な感覚があります。構えた感じはブレード型。でも、打つとマレット型のよさがある。とくにヒールヒットしたときに慣性モーメントの高さを感じ、フェースが開かないので真っすぐ打ち出せます。
SPEC●ロフト角/3度●ヘッド素材/ステンレススチール、アルミニウム、タングステン、ホワイト・ホットインサート●長さ/33、34インチ●価格/6万500円
「王道パター」の魅力は?
ハイブリッド系パターは間違いなく今年のトレンドだが、それでも王道のブレードやマレットと相性のいい人もいる。それがパター選びのおもしろいところ!
自分の感性をもっとも生かせるのは王道系!
ツアープロのクラブを見ると、ドライバーはほとんどの選手が最新モデルを使っていますが、パターは10年以上前のモデルを使っている選手も多い。その理由は「慣れ」です。ハイブリッド系パターはテクノロジーがすごい反面、今までのブレード型やマレット型とは振り感が違います。慣れてしまえば違和感はなくなりますが、ツアープロのような繊細な感覚を求める人には、王道のブレードやマレットが合うでしょう。微妙な調整が効くことで、傾斜のある曲がるラインや高速グリーン、下りのパットが打ちやすいのが最大の利点です。
ただし、ツアープロでもハイブリッド系パターを使う人が増えているのも事実。それは、パターに対してプラスアルファの性能を求めるからです。アマチュアのみなさんも今のパターに不満がなく、「新しいパター」がほしい人は王道パターでもOK。パッティングに対して悩みがあり、それを解決したいならハイブリッド系パターをぜひ試してほしいですね。
ピン
PLDパター
ヒッカケ癖がある人にオススメ。長い距離も合う
ハイブリッド系パターとの違いは、ヘッドを意図どおりに動かしやすい。とくにヒッカケ癖がある人は、王道パターとの相性がいいはずです。ロングパットの距離感を合わせやすいのも魅力ですね。
SPEC●ロフト角/3度●ヘッド素材/303ステンレススチール●長さ/34インチ(長さカスタム31~36インチ)●価格/6万6000円
解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。
いかがでしたか? ハイブリッド系パターの良さを頭に入れつつ、新しいパター選びの参考にしてみてください。
構成=野中真一
写真=相田克己
協力=ジャパンゴルフスクール
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