高橋彩華、“涙の初V”の裏に武井壮のアドバイス!2人の対談の中身とは?

2022年4月22日~24日で行われた、国内女子ツアー「フジサンケイレディスクラシック」にて初優勝を果たした高橋彩華プロ。初優勝できた理由として、高橋プロが挙げていたのがこれまでとの目線の違い。そのきっかけになったのが、ツアー開幕前の2022年1月に行った本誌企画での武井壮との対談。

あらためて、その対談の様子をご紹介していきます。

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ミスを想定する幅を広げ、安定した成績を残せるようになった

武井:昨シーズンは、2年に渡っての戦いでしたが、非常に安定感のある成績を残しましたね。

高橋:そうですね。勝てませんでしたがトップ10に入れた試合も多かったですし、内容的には満足できたシーズンでした。

武井:52試合中21試合で、トップ10入りしたんですね。

高橋:21年だけだと、38試合中19試合がトップ10でした。

武井:半分! すごい強さですね。その成績が出た要因は?

高橋:以前よりスコアを作る力がついたので、調子が悪くてもスコアの波がなくなりました。

武井:それは何によって身についたんですか?

高橋:マネジメントと考え方ですね。ミスを想定する幅を広げました。

武井:今日は、スタートから2ホール続けて短いパットがカップをクルンと回って外れてしまいましたが、それも想定内?

高橋:あれは想定外でした!「ヤバい!」と思いましたね。武井さん上手で、このペースでいったら追いつけないなと焦っていました(笑)

武井:といいながら、しっかりバーディ獲ってくるあたりは、さすがですよね。ツアーでもあれだけの安定した成績を残しているし、精神的にも強い選手だなぁ、と感じました。

3・4番ホールは武井ボギー、パー。高橋はパー・バーディでスコアはイーブンに。「まだ並ばれただけ。ショットは思いどおりに打てている」と好調の武井

高橋:最後のツメが甘くて……。メンタルの問題なのかなって。

武井:メンタルではないかも。メンタルが強くないと1年間の半分もトップ10に入れないと思います。ショットに不安はないでしょ?

高橋:まだオフ中なので今は3割くらいの仕上がりですが、あまり不安はないですね。どちらかというとパットのほうが怖いですね。今日みたいに(笑)

武井:やはりメンタルで「負けている」のではなく「メンタルの強さ」が、このすごい安定感を生んでいるのでは? 「そのうちパットさえ入る日がくれば、私、勝ちますよ」くらいの感覚でいいと思います。

高橋:そうですかね⁉

武井:そういう気持ちのほうが今年すぐに1勝。そのあともポンポーンと勝てそうな気がします。今年はアメリカツアーのQTも狙っているそうで。

高橋:はい。私は海外志向が強くて、世界最高峰の舞台で戦ってみたいです。

ロボットのようなアイアンショットが打てたら満足!

武井:すでに奥嶋(誠昭)コーチの指導もあって、かなり完成度が高まってきていると思いますが、アメリカツアー挑戦に向けてどうなっていこうとしていますか?

高橋:私の理想はアイアンショットがロボット。ロボットのように毎回同じ球を狙ったところに打てるようになったら満足。そうなったらパターが入らなくても勝てるかも(笑)。まずは国内1勝を目指しますが、武井さんの「勝てないのはメンタルのせいじゃないよ」というお話は、そういう考え方もあるんだって思えてすごくよかったです。

武井:勝ち切れないとかよくいうけど、みんな勝とうと思ってやっているんだから。出場選手100人の中には、その週にたまたまパッティングがハマって勝つ人もいるし、100分の1のくじ引きみたいなときもありますよ。それよりも、あのレベルのなかでずっと上位にいるほうが、ひとつ勝つよりも難しい。それをやってのけたのは技術だけじゃない。強いメンタルがあったからと自負していいと思います。

高橋:ありがとうございます!

武井:メンタルは技術との掛け算。技術が高まってくるとメンタルも揺れなくなる。技術がメンタルの安定剤だとすると、高橋プロは間違いなく、今年勝つでしょう。そんな高橋プロとの対決は、プロの安定したショットにジリジリと追い詰められてしまい、残り2ホールでそれまで曲がらなかった僕のドライバーが曲がって自滅……。逆転負けしてしまいましたが、楽しかったなぁ。

高橋:私もとても楽しかったです。2ホール終わった時点では負けるって思いました(笑)

最終ホールは武井ボギー、高橋パーで、結果、2打差で高橋の勝利

武井:きっと今年はツアーでも勝ちますよ。このコーナーでたくさんの女子プロとプレーしていますが、勝てるゴルファーには共通のオーラとスイングがある。高橋プロにもそれを感じるから「あのころは『まずは1勝』なんていってたのに、もう複数回勝ってるじゃん」と半年後にはなりそう(笑)

高橋:それって、どんなスイングですか?

武井:クラブの使い方に遊びが少ない。最小限の動きなのにボールがすぅーっと前に飛んでいく人。僕も奥嶋(誠昭)さんには、昨年末に一緒にプレーしたり練習を見てもらったりしているから、高橋プロは姉弟子。「彩華姉さん」と呼びたいんですが、奥嶋さんのコーチングってそういう感じですよね。

高橋:これさえできれば曲がらないよ、という教え方。ほかを考えなくていいので、とてもいい効果が出ています。

武井:彩華姉さんは、アイアンでグリーンを狙えるところにあればいい、狙えるところにあったら私の勝ち、と飛距離よりもアイアンの精度が武器の選手ですが、ドライバーもフェアウェイウッドも曲がりませんよね。構えた向きにラインが出ていく。

高橋:いや~。当たりが薄くて、やっぱり今日は3割くらいの仕上がりでした(笑)

武井:それでも「あの子とハーフ対決して7ホールまで勝っていたんだよ」と自慢したいので、たくさん勝ってください(笑)

高橋彩華

●たかはし・さやか/1998年生まれ、新潟県出身。162cm。10歳からゴルフをはじめ、16年の日本女子アマチュアゴルフ選手権で優勝。18年に2度目のプロテストで合格。19年に賞金ランキング19位でシード権を獲得。20-21年シーズンはメルセデスランキング8位、賞金ランキング11位と自己最高位をマークした。22年「フジサンケイレディスクラシック」にて初優勝。東芝所属。

武井 壮

●たけい・そう/環境省サスティナビリティ広報大使、日本フェンシング協会会長など、芸能の枠を超えて活躍するマルチタレント。新プロジェクト「# スポーツを止めるな # 音楽を止めるな」をスタート。YouTubeでは「武井壮百獣の王国」を配信中。
●オフィシャルサイト gogotakei.com/
●twitterアカウント @sosotakei
●インスタグラムアカウント sosotakei

協力=取手国際ゴルフ倶楽部

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