なぜ?女子プロの「ドライバーが曲がらない理由」って…!? 横山清人プロが解説

22年シーズンが始まりましたが「女子プロってホントに曲がらないなぁ」と思う人も多いことでしょう。ただ思うだけでなく、アマチュアも方向性を上げる秘けつを学んでみませんか?

お手本は、20-21年シーズンにフェアウェイキープ率のトップ3に入った女子プロたち。多くのアマチュアをレッスンしている横山清人プロに詳しく解説してもらいます。

最初は、フェアウェイキープ率で3位に入っている吉本ここねプロのスイングを解説していきます。

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FWキープ率3位の女子プロが曲がらない秘訣は?

フラットな軌道になるため手元は低く、トップでの左腕のラインも地面と平行に近い角度になる

吉本選手は体主体とは違い「クラブ主体」のスイングですね。クラブや腕を積極的に振るスイングですが、手打ちではありません。手打ちとは、手でクラブをボールに合わせようとして、スイングにブレーキがかかる打ち方です。クラブ主体は、クラブを振るために腕をきちんと振っていることをいいます。

フォローは水平素振りのイメージから一転、手元とヘッドを大きく振り上げる。これは安定したドローボールを打つコツになる

みなさんも直立した姿勢から両腕を伸ばし、クラブを胸の高さまで上げてシャフトと地面を平行にして振る「水平素振り」をしたことがあると思います。安定した軌道で振れる「スイングプレーンを安定させて体を回す感覚」をつかむのに有効な素振りです。吉本選手は上体を前傾しても、水平素振りと同じ軌道で振っている感じ。そのため、軌道はフラットですが、トップからフィニッシュまで頭の位置が変わりにくくなるため、上下動を防ぐコツにもなっています。球筋はドローが打ちやすいです。

このスイングは、クラブの動きにそって自分も無理なく動くので体への負担が少ない。手首の使いすぎにさえ気をつければ、誰でもマネやすく、方向性がいい弾道が打てるスイングです。

スイング=吉本ここね

●よしもと・ここね/2000年生まれ、北海道出身。161cm。20年は日本女子オープンで7位タイ、21年はゴルフ5レディスで8位タイに入った。20-21年シーズンのフェアウェイキープ率は78.80で3位。不二サッシ所属。

「体主体」のスイングで方向性アップ!篠原まりあのスイングを解説

篠原プロのスイング。ボールがつかまりやすい体勢を作るには、グリップは両手ともストロング(フック)がオススメ

次はフェアウェイキープ率79.57で2位の篠原まりあプロです!

篠原選手は「体主体」のスイングが特徴で、方向性がいいのは「つかまる形を作ってから、つかまらないように振る」点にあります。グリップはストロングで握り、ボールがつかまりやすいアドレスを作っている。その形のままクラブを上げているので、トップではフェースが上を向く。つまり、かなりフェースが閉じた状態になっています。このままだとボールは左に飛んでしまう。さらに、手や腕を使って振る「クラブ主体」だと引っかけてしまうので「体主体」のスイングで振っているのです。

目線を目標側に送る「ルックアップ」をしてもOK。体の回転が止まるのを防げる

体主体のスイングのメリットは、フェース向きのバラつきがなくなること。普通、インパクトにかけてクラブは慣性によって閉じようとしますが、思いきり体を切る(回す)動きで、スクエアなフェース向きのインパクトを作り出しています。体主体のスイングはとにかく体を止めずに、テンポよく回り続けることが大事です。回転が止まると手打ちになり、左に引っかけてしまいます。

このスイングは、大きく捻転できる柔軟性や筋力がしっかりあるアマチュアにオススメ。それ以外の人は体を痛めたり、飛ばなくなるので注意が必要です。

スイング=篠原まりあ

●しのはら・まりあ/1996年生まれ、大分県出身。162cm。初シードを獲得した20-21年シーズンは、日本女子オープンの14位タイが最高位だが、フェアウェイキープ率は79.57で2位に入った。大岡産業所属

クラブを遠くに投げ出すイメージ

コックはほぼ入れずにヘッドを体から遠ざけるイメージで上げていく

最後に、 20-21年シーズンに フェアウェイキープ率1位の酒井美紀プロのスイングです。

フェアウェイキープ率がずっと1位の酒井選手は、タイプ的には2位の篠原まりあ選手と3位の吉本ここね選手の中間ですね。体とクラブの両方をいい具合に使って打っています。

彼女のスイングは円弧がとにかく大きいことが特徴です。クラブを大きく上げて、フォローも大きくする。アマチュアはボールに当てにいこうとするから、フォローが小さくなることが多いですが「インパクトはスイングの通過点」と考え、フォローを大きくとったほうが方向性がよくなります。

円弧を大きくするコツは、バックスイングではヘッドを遠くに動かすことを意識する。小さく動かすと体が緩むので、緩ませない感覚で振り上げるといいでしょう。このとき手元まで遠ざけすぎるのはオーバーワーク。アドレス時の胸と手の距離感は保つ。酒井選手はその距離感がトップでも変わっていません。

シャフトが首に巻きつくようなフィニッシュは、最後まで大きな円弧で振った証拠

フォローはクラブを左に投げ出す感じで、ヘッドを体から遠ざけます。頭の高さはキープしますが、顔ごと体を左に回すのはOK。体が鋭く大きく回り、クラブを大きく振っていけます。

この大きなフォローを作る感覚を養うには、フォローからスタートしてバックスイングに入る逆振りが効果的です

スイング=酒井美紀

●さかい・みき/1991年生まれ、福島県出身。165cm。20-21年シーズンのフェアウェイキープ率は82.44で1位。この部門が設立された17年シーズンから4年連続で1位を獲得している。国際スポーツ振興協会所属。

いかがでしたか? 彼女たちのスイングを参考にして、方向性アップを目指してみましょう。

解説=横山清人

●よこやま・きよと/1980年生まれ、熊本県出身。03年プロ転向後、陳清波に師事。現在は東京都三鷹市の東京ゴルフスタジオ、埼玉県川口市のフォーシーズンズゴルフガーデンなどで多くのアマチュアをレッスン。

写真=相田克己、田中宏幸

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